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この星空の下で  作者: sinson
第二章 王都アントワーヌへ
29/32

解決そして発見

…解決そして発見…


トントン

「誰?」

「リア、スズキだよ」

「いいわ、入って」

ギィ

僕は扉を開けながら言った。

「ただいま~」

帰った途端、レリア姫に質問をされる。

「スズキ、遅かったわね。何かあったの?」

「いや~宿屋の娘さんに、なぜずっと帽子を被っているのか怪しまれてさ」

「もしかして……バレたんですか!」

ソレーヌが声を荒らげた。

「いや、人族とはバレていないよ」

僕の答えにソレーヌが声を強める。

「じゃあ、どうしてバレなたったのですか」

「それはな……」

そう言って、帽子を脱いだ。


僕を見たソレーヌは目の瞳孔を広げ、レリア姫は口をあんぐりと開ける。

そしてリリアーヌは、なぜか剣をつかんだ。

「お前は誰だ! レリア姫後ろに下がってください。ソレーヌ、そこから離れろ」

リリアーヌの掛け声とともに、ソレーヌが動けないレリア姫を引っ張り、リリアーヌの後ろに下がる。

僕は困惑しながら答えた。

「誰って、スズキだけど……」

「確かにその見た目、声はスズキそっくりだ、だがスズキは人族だったはずだ! その耳はなんだ!」

リリアーヌが剣先を僕の耳に向けた。

今、僕の耳はエルフのようにとんがっている。

宿屋の娘に言われたときは、僕も驚いたな……


~十数分前~


「すいませんでした! 人族ではないかと疑ってしまって」

「あ、ああ」

なんて答えればいいのだろうか。

僕は実際は人族だし。

さっき帽子を脱いだ時からこんな調子だ。

宿屋の娘さんが僕を見上げて言った。

「その耳、長くてかっこいいです!」

耳が長い?

僕は手で耳を触れた。

冷たくてスベスベして、細くとんがっている。

だけど耳が触れられた感じがしない、その代わりさっきから耳が冷たい何かに覆われている感じだ。

「と、とりあえず顔を洗わせてくれない?」

「は、はい」

僕は水を汲んであるバケツを覗き込んだ。


そこには僕の顔が写っていたが、顔の左右には長くとんがった耳が付いていた。

……はぁ??

水面に映った顔が困惑した表情になる。

「あの……どうかされたんですか?」

うわっ、驚いた。

娘さんが僕の顔を覗き込んできた。

「いや、ちょっと考え事してて」

僕はそう答えると慌てながら顔を洗った。

俺の耳に何が起こたんだ!

落ち着け、落ち着くんだ。

今はこの状況から抜け出すことが先決だ。

顔を洗いタオルで拭きはじめた。

「肌が黄色いエルフの人初めてみた……」

「うん、何かいった?」

「いや何でもないです!」

宿屋の娘さんは首を横に振り、慌てながら言った。

否定する時は首を横に振る。

また黄色人種系のエルフはいないと。

僕は頭の中にメモった。

「ご家族も耳が長いですよね。あのリアさんとか」

確かに今まで見てたエルフの中では一番耳が長いだろう。

「そうだね」

「もしかして王族の方ですか?」

レリア姫~もうバレッちゃっていますよ~

「どうしてそう思うんだい?」

僕は動揺を隠しながら聞いた。

「王族は代々耳が長いと噂されているので……、私は見たことないですけど……」

なるほど噂か。

「まあ、そう思うよね。でも別に僕は王族ではないよ」

少なくとも俺はこの国の王族ではない。

「そうですか……でも耳がそれほど長いともてますよね」

耳の長さも容姿のステータスの一種なんだろうな。

長いほどモテるのか……憶えておこう。

「ああ、それが嫌で帽子をかぶっていたんだよ」

僕は少し困った表情を作り言った。

完璧だ……これで疑われまい。

「本当にすいません。もうそろそろ朝食を作らなくてはいけないので」

宿屋の娘さんがそういいながら、宿の裏口へと消えていった。

「……青スラ、お前だろう」

僕がそう言うと耳を覆ってた感覚がなくなり、その代わり右肩に重みがのしかかった。

その肩に腕を伸ばしスライムをつかんで目の前に持ってきた。

「お前……その能力すごいな!」

そう言うとスライムは嬉しそうに体をくねらせた。

「次も頼むぞ。そうだ! レリア姫たちに見せよう。きっと驚くぞ」

そう言うとスライムは指の間から抜け出し、僕の耳をまた覆った。

「さてと部屋に戻るか」

そして僕も宿の裏口に消えた。

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