表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この星空の下で  作者: sinson
第二章 王都アントワーヌへ
26/32

寝床騒動

…寝床騒動…


「ふ~、お腹いっぱいだ」

「安宿にしては、まあまあでしたね」

お腹をさすりながら、リリアーヌがソレーヌと談笑している。

僕らは夕食を終えて部屋に戻ってきた。

いただきさすとごちそうさまを言ったからだろうか、宿屋の娘さんが、怪訝そうな顔をしていた。

今回の夕食は、あの固いパンに薄い塩味のスープ、そしてお酒だった。

僕はアルコール類が全く飲めないので、水にしてもらった。


「さてと、みんな揃ったわね」

おもむろにレリア姫が話し始めた。

「これから寝る際、どうするか話していきたいと思うわ」

忘れていた、部屋が一つしか取れなかったんだっけ。

僕が頷くとレリア姫が話を続けた。

「そこでまず大きな問題があります。この部屋にはベットが二つしかありません」

さっき部屋に入った時は慌てていて気づかなかった。ベットが二つしかないのか……って

「えっ!」

まじかよ。

確かにそう言われてみれば、大きめのベッドが二つしか置いていない。

宿屋のおっさん、何考えているんだ……

リリアーヌが大きなため息をつきながら言った。

「はぁー、スズキは気づいてなかったのか」

「もうボケが始まりましたか」

ソレーヌ……二十歳でボケるとかないから。

「そこで、私にいい案があります」

「おおっ」

レリア姫の案どんなのだろうか。

僕は少し嫌な予感がした。

「ソレーヌ、スズキを押さえて」

えっ

「はい」

ソレーヌに後ろから羽交い締めにされた。

「なっ、ちょっ、放せ」

僕は逃げ出そうともがいたがビクともしなかった。

レリア姫が話を続けた。

「そこでリリ、スズキを眠らせて」

眠らせてっておい、まさか……

リリアーヌが無言で近づいてきた。

「ちょ、ちょっと待ってくれ」

「なあに、スズキ」

僕の言葉にレリア姫が答えた。

「気絶させるのは無しで!」

「あら、残念ね。リリ、もういいわ」

あれ、案外早く引いてくれた。

「姫様、そんなこと言ってないでやってしまいましょう」

何言ってるのこの人、てかもう離して、何だかキツくなってきた。

「ちょ、ソレーヌ、痛たたたた、ギブギブ」

痛すぎて、床を叩いた。

「ソレーヌ、離しなさい」

レリア姫の言葉で僕はソレーヌから解放された。

「し、死ぬかと思った……」

「ちっ」

今、ソレーヌに舌打ちされたような……

「他に何かいい案ないかしら」

「はい、姫様! 私にいい考えがあります」

「はい」

ソレーヌが手を挙げて言った。

僕も手を挙げたが少し遅かったようだ。

「ソレーヌ言ってみなさい」

「スズキには、野宿してもらいます」

「あらそれはいいわね。そうしましょうか」

レリア姫は頷きながらそう言った。

せっかく、宿に来たのに野宿か……

僕がそんなことを思っていた時、レリア姫にリリアーヌが近づいて耳打ちをし始めた。

「……さま、……スズキを…………させる……に……す…………ません」

「だい…………だと…………ど、ソレーヌごめんなさい。その案はできないわ」

「姫様、わかりました。後で理由をしっかりお聞かせ願います」

よくわからないけど野宿だけは避けられそうだ。

「リリ、何かいい案ない?」

レリア姫がリリアーヌに聞いた。

「レリア姫、残念ながら良い方法が思いつかなくて」

「まあ、そんな時もあるわ。さてスズキ、さっき手を挙げていたわよね。何かいい案でもあるの?」

いい案というか、これしか思いつかなかったのだが。

「僕は床に寝て、3人はベッドで寝る。幸い大きめのベッドみたいだし、一人と二人に分かれればいけると思う」

「スズキ、それいいわね。ソレーヌ、スズキの案はどうかしら、なかなか良さそうだけど」

「できれば出て行ってもらいたい、ところですが姫様がそうおっしゃるのであれば……」

ですが、をそこまで強調しなくてもいいと思うが……

なんだかソレーヌに徹底的に嫌われているようだ。

「何かが起こりそうになれば、私がスズキを切り捨てます」

リリアーヌがそう言いった。

なにこれ、僕、切られるの? 何かしそうと思われたなら、切られてしまうの? 

……泣きたい。


「ところでスズキ、スライム様はどこにいるんだ」

リリアーヌがそう尋ねてきた。

「ああ、あいつならここだよ」

僕はそう言うとかぶり続けてきた帽子を脱いだ。

「ほら、ここで寝てる」

その帽子の中でデローンとしたゼリー状の物体がいた。

「ね、寝てるのか……、というか寝るんだな」

そう言いながらリリアーヌが帽子の中を覗いた。

「スライム様も寝ているわけですし、私たちも寝ましょう。スズキ、私たち着替えるから早く、部屋から出て行ってくださいな」

「わかったよ、レリア姫。終わったら扉をノックして」

僕はそう言うと帽子をかぶり、扉を開け部屋から出た。












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ