青いストーカー
…青いストーカー…
「痛ってー」
「スズキ、お疲れ様」
「リリ、俺は初心者なんだから、少し手加減してよ」
「強くなるには、これぐらいしないと」
リリアーヌは宣言通り、日の出前に僕を起こして稽古をつけた。
いろいろダメ出しをされて、朝から精神的にも肉体的にもボロボロだ。
「まず、スズキ、お前体力なさすぎ、多分レリア姫にも勝てんぞ」
「わかったから、それ以上言わないで」
これ以上言われると、僕の精神が持たない。
「罰として、薪拾って来い、昨日みたいに遅れるなよ」
リリアーヌにそう言われ、僕はとぼとぼと森に入っていった。
〜森に入って数分〜
なんだかデジャブを感じる。
今日も、草むらから青いスライムが現れた。
もしかして、昨日から狙われていたのか。
ゲル状の体をプルプル動かしながら、こっちに向かってきた。
僕は木の棒を構え、警戒した。
だがスライムは、少し離れた距離にとどまった。
あれ、襲ってこないのかな。
僕はそう思い警戒を解いた。
スライムはまだ動かない。
「スズキー遅いぞー」
遠くからリリアーヌの声が聞こえた。
「はーーい」
僕はそう言って戻ろうと歩き出すと、スライムも付いてきた。
僕が立ち止まると、スライムも止まった。
試しに全力で走ってみた。
止まって振り向くと、スライムがいた。
「……」
こいつどうやって走ったのだろう。
スライムはうねうね体を動かしている。
なんだか、どこまでも付いてきそうな勢いだ。
もう諦めよう。
「……はぁ、いいよこっちおいで」
僕がそう言うと、スライムのうねうねした動きが加速しながら、近づいてきた。
少しキモかった。
「お手」
冗談でやってみたが、スライムは体の一部を伸ばして見事にお手をした。
「おおっ、お前すごいな」
僕はつい犬を飼ってたくせで、反射的にスライムを撫でた。
すべすべしてて、気持ち良かった。
暖かくはないようだ。
スライムは撫でられると嬉しいのか、プルプル震えた。
「思ったより、ちっさいなお前……そうだ肩に乗っけれるかも」
肩乗りインコに少し憧れていた僕は、肩乗りスライムに挑戦した。
「ちょっと、肩に乗っけるから、動かないでね……よいしょ」
うまく、肩に乗った。
スライムはなんだか左右に揺れている。
嫌がってはないようだ。
「連れて行くか……」
僕は肩にスライムを乗っけて、テントに戻った。




