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六章。人間、いつでも道を進んでいるモノである。

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六章。人間、いつでも道を進んでいるモノである。


○美怜○

「ようやく完全に直ったね」

 望が私を見てそう言ってくれる。私の肌は望の適切な処置も合って、一週間たった今では火傷の痕なぞ微塵も残っていない。そしてようやく長時間、外に出る許可を医者からもらった所だ。ようやく、全てのガーゼが剥がれた。

 金曜日の今日、私は早退し病院へ。そして授業が終わった望が迎えに来た。ついでにお父さんの様子も見てきた。

「お父さんも早く直ればいいのにね」

 あの事件の後、お父さんは私の話を真剣に聞いてくれて――手術行きになった。

「誰だろうね、顔面陥没スレスレまで殴ったのは」

「望だよ! の・ぞ・む! あと少しで危ないとこだったんだよ!」

「ははは、自重するのをしっかり忘れてたよ――人間の拳って凶器になることもね?」

 そんな状態でも、私ときっちり話せてお父さんは嬉しそうに見えた――否、絶対、そうだ。だったら、それは怪我と思うよりは代償なので仕方ないことだろう。だったら、

「仕方ないと思うし――唯莉さんも看病で幸せそうだったから問題ないと思うけど」

 この前、病室で会った唯莉さんの顔が思い浮かんだ。何だか、私には見せたことの無い笑顔でお父さんに接していて、とても生き生きしていた。

 唯莉さんにお母さんの真似をするように頼んだ時、思い出したのは最初の手紙。恋に生きる、そういうことだ。

「ただ、死人が相手じゃ唯莉さんも大変だね? だって、お母さんはずっと、お父さんの中に居て、それと比べられるんだから。……そういえばふうさんの件はどうなったの?」

 不機嫌そうに口をバッテンにし黙る望を見て微笑ましく感じた。

「意気地なし。そんなんじゃ青春できないよ? ……でも安心した。私は家族依存症だよ? ノゾミン成分がなきゃ、死んじゃうんだよ? だから、他の人にはふうさんと言えども、望を盗られたくない気持ちは沸いちゃうから、その点では猶予が長そうなんだもん」

「……美怜は僕が彼女と付き合うって言ったらどうする?」

 私に聞かれてもしょうがないことなのにと呆れつつ、少し意地悪もしたくなった。

「それ自分の変化で私との関係が変わることへの恐怖からきてるよね? 逆に聞くけど望は私が誰かと付き合うって言ったらどうするの? 例えば、霞さんとか」

「どうもしない。と断言できないのは、確かにそれが怖いのだろうね」

「過剰反応というか、臆病風だよね、それ? でもそういうことだよ」

「……僕は家族依存症でミレトニンは毎日取りたい、少なくとも今はそれが一番だから」

 躊躇の無い答えを真顔で言われ、驚きを得る自分。でも、暖かい気持ちが沸いてきた。

「私もだよ」

 飛びっきりの笑顔を望に向けて言ってやった。

「それで、ふうさんの件はこれからどうするの?」


長い文章にお付き合いくださいありがとうございました。

美怜というアルビノ少女と変人である望はお互いに依存症になりましたが、望はどういう結論を下すのでしょうか?

もし、機会がございましたら続きでお会いしましょう。

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