表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
I'm here for you  作者: 君影しのぶ
2/10

赤石春来 Akashi Haruki

紹介編 二人目

「てかさ、ツキちゃんの前いたガッコってどんな感じぃ?」

 ウチが変わっているのは知ってっけど、ちゃんとどう違うのか教えてもらわねぇとわからなくね?

「あっ、俺も! 俺も聞きたいっ!」

「俺も聞きたいな」

 俺の気になる点は垂穂と真大も気になるらしい。

「いいけど、前の学校もココと違う意味で普通じゃないぞ?」

「え~? どんな風にぃ?」

 身を乗り出す俺たちに、ツキちゃんはため息を一つつき話し出す。

「あぁ……男子校で寮生活なのは一緒」

「男子校!」

 そこで食いついた真大から少しツキちゃんは身体を反らす。

「ホンマ残念なやつやな」

「真大は残念だね」

 普段は標準語で通しているけど、たまに出るツキちゃんの関西弁が俺は結構好き。俺たちに対して構えてないんだなぁってわかるじゃん。

 まぁ、ココが要の……ひいてはツキちゃんの自室であるってのも大きいだろうけど。

「月ならともかく、すべてにおいて残念な垂穂に言われたくないよ」

 こちらも俺たちのみ&プライベートな空間ってことで、本性全開な真大が言う。

 垂穂が反論にもなっていない反論をするが、垂穂が口で勝てる相手なんてこの部屋にはいないわけで……。

 しかしこのまま放っておくと、本題がどっかに消えてしまう。

「真大が残念なのは今に始まったことじゃないじゃん。で?」

 俺が口論をぶった切って話の続きを促すと、垂穂と真大は不満げな素振りを見せたけど、やっぱり聞きたいらしく結局は黙る。

「ああ、男子校だけど姉妹校で女子校もあってそっちと交流が結構あったから、ないことはないけどホモの巣窟ではなかった。ココみたいに」

「女子校っ!」

 今度は垂穂が食いつく。

「イベントとか合同でするのもあったし、文化祭とか体育祭とか? 見に来たり見に行ったり一芸に秀でてるヤツとかはゲストで呼ばれたり?」

「合同イベントってなにするのぉ?」

「クリスマスパーティーとか」

「クリスマスパーティー? なにそれ踊ったりするのっ?」

「うん、する」

「な、なんてうらやましい……」

 思っていることが垂れ流しの垂穂。だから垂って名前につくのか。

「熾烈だぞ。まず垂穂には無理だ」

「へっ?」

「どういう意味ぃ?」

「あのな、イベント時にゲットするしかないわけ。普通の生活では会えないから、ココと同じで。つまりクリスマスパーティーだったら、スマートに誘えてダンスのエスコートが出来なきゃまず無理なわけ」

「俺、踊れない……」

「その前に学校が違うから」

 悩むだけ無駄なことを悩む垂穂にツキちゃんが突っ込む。

「俺は踊れる~。習わされたしね~」

 あのシゴキが生かされるなら、俺的にはそっちの学校の方が良かったかもぉ。どっちかってぇと、俺も女の子のほうがいいしぃ。

「春来なら大丈夫だろうけどな。一発勝負が無理なヤツは、姉妹やら従姉妹やらがあっちの学校行っているってヤツが結構いるから、校内でそれなりに目立てばあっちにも情報が流れる。まぁ逆もしかりだけど。つまり勉強・部活等で良い成績を出せば、女からくっついてくる」

「俺、平凡……」

「で、一般人より会える確率が格段にあがるのがイベント等の打ち合わせだけじゃなくて、月一の会合もする……」

「「「生徒会」」」

「正解。推薦とかで入った場合、箔付けの為に生徒会所属の経歴が欲しいし、頑張らなくても将来安泰のボンボン……坊ちゃん達も、姉妹校に通う女だからそこそこのラインは保証されているわけで、親から女学の彼女だったら自由恋愛で結婚してもいいって言われているヤツが結構いて、マジ狙いしてくる……つまり顔&家柄イコール生徒会と違って無能が生徒会ってのはありえない」

 この子、無能ってはっきり言っちゃったよ……いや、無能だけどさぁ。顔&家柄イコール生徒会だけどさぁ。

「志吹は違うぞ」

 まぁ志吹はねぇ。顔良し、家柄良しは間違ってないけど、要には負けるものの成績は学年2位だしねぇ。剣道の腕前もなかなかのもんで、かなりの優良物件ですよ。

「書記?」

「そう」

「仲良いのか?」

「要と志吹は幼馴染で、俺と真大と春来は幼稚舎から一緒なんだ」

「へぇ」

 ホント垂穂はツキちゃんに懐いちゃったねぇ。さっきからひとっことも喋らない要ちゃんに気づきたまえよ、君。

 それにしても、またひどく能力主義な学校だなぁ。

「で、ツキちゃんはその争いに参加してたの?」

「俺がそんなことするとでも?」

「だよねぇ~」

 でも能力的にも容姿的にもそこそこイケると思うんだけどなぁ。

 ツキちゃんの書いたノートを思い出しながら、目元を隠す前髪と眼鏡を見つめてそう思った。

「そいつ、生徒会長だぞ」

「「「はいっ?」」」

 余計なことをって目で……前髪&眼鏡で見えないけど……爆弾発言した要をたぶん睨みつけている月哉。

「俺の一族が経営している学校だったからな、兄貴も生徒会長だったし、弟も生徒会長になったし……」

「ちょっと待って、月哉の弟って中等部に編入って言ってなかったっけ……?」

「だから言ったろ、強烈なブラコンだって」

 垂穂の言葉に要が答える。

「……なんか副会長に押し付けたらしいな」

 ツキちゃんには兄貴と弟がいる。

 その弟は前の学校で生徒会長に選ばれていたにもかかわらず、すべて放棄して中等部に編入してくる。

 ツキちゃんは話からするに、弟君の前の生徒会長らしい。

 オーナー一族とは言え、当然今までの話からすると、熾烈な争いの勝者ってわけだ。


 いきなりの情報量にどっから聞いたらいいのか混乱する俺たちであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ