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I'm here for you  作者: 君影しのぶ
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5 勢力図

「そうだね、仕方ないね……なんて言うと思ってんのか、ボケ」

 超低温ボイスが辺りに響く……うん、冷気を放っているね。冷凍庫いらずだね。

「だってアイツ等がっ……!」

「黙れ」

 反射的にしろ、この人に噛みつけた猿をやっぱり人外だと確信する。

「誰か説明しやがれ」

 我が校2大俺様……この場合、鈴木は役職なしだし全校生徒に知れ渡っているわけでもないので省かれ、もう一人は当然生徒会長……監査委員長である兵頭先輩に人外以外は萎縮しまくり、説明役を視線で押しつけあう。

 めんどくせぇ……。

「その人外がですね……」

「誰が人外だッ!」

「お前、自覚あったの?」

 まさか、自覚があるとは思わなかった。

「ッ! お前、失礼だぞッ! なんなんだよッ、お前はッ!」

 どうします? と兵頭監査委員長に視線を飛ばす。

「黙れと言った」

「俺が被害者なんだから俺が説明したっていいだろッ! そんな無礼な奴の言うことなんか聞く必要ないッ!」

 いやぁー、お前に失礼だの、無礼だの言われたかねーんだけど。

 もう話す意志ありませーん、と肩を竦めてみせれば、兵頭監査委員長は顎で風紀委員どもを動かす。

「連れてけ、邪魔だ」


 我が校のシステムでは、二つ生徒による組織がある。

 執行部が頭で学級委員が手足な生徒会長を筆頭にした組織。コレは行事を仕切ったり、執行部……要するに生徒会役員どもは各委員会や部活動にどう金を配分するかってのを決める。

 そんで、監査委員長を筆頭とした監査。こっちは選挙管理をしたり、生徒会が決める会計を監査する組織。で、こっちの手足となるのは各委員会の長と、運動系と文化系それぞれの部長の中から選出される運動部長と文化部長。そして、今現在超重要視されてきているの監査の役割の一つとして、生徒会不信任決議が出来るってことがあった。

 ちなみに、教師の方はと言うと、理事会と職員会の二つって建前だけど、一番力があるのはPTAで理事会は言いなり、もしくはPTAと理事会両方所属、でもって、理事長に教師が逆らえるわけもなく……ってのが実状……我が国が尊ぶ公平性なんて皆無のこの学園の出来上がりってわけ。


 ぎゃーぎゃー喚く人外が退場したところで、兵頭監査委員長から無言の圧がかかるのでため息を一つついて話し出した。

「あの人外……1年S組の浅井光君がですね」

 と言ったところで、お前、ちゃんと名前知っていたのかと役立たずどもから視線が集まる。知ってるっつーの、呼びたくなかっただけ。

「編入してからのアレコレで親衛隊の怒りを買いまして、コレを機会に制裁をってよくある話ですよ。まぁ、大人しく制裁されるようなタマじゃーなかったらしく、親衛隊側に負傷者を出したあげく、窓ガラス数枚大破してくれちゃいました。以上です」

「お前は親衛隊側に立つわけだ」

「いいえ、親衛隊は別に好きませんが、人外の方から、より迷惑を被っているだけです……ま、主に友人が、ですが」

 親衛隊にも迷惑は被っていたけどな、主に友人が。

「ていうか、兵頭先輩も、でしょう?」

 あの人外に迷惑を被っているのは。今現に、ここへ足を運んだのは人外にイかれた風紀委員長&副委員長が仕事をしていない所為。

「アイツの所為にする気はない」

 ほっほー、つまり人外の尻を追っかけて仕事をしない生徒会役員及び風紀委員長&副委員長共に責任を取らせると。

「まー、そーなりますよねー」

 人外が来なければ引き起こされなかった事態だが、実際にサボった奴が悪いのは当然のこと。

「だが、今回のことでは処分を考える」

「退学とか停学とか?」

「そこまでは無理だろう」

「えーせめて停学ぐらいはいけるでしょう。常識的に考えて」

 まーこの学園の世間からずれた常識ですけどー。

「奴が理事長の甥ではなかったらな」

「……へぇ? でもそれ、俺に言ってもいいんですか?」

「鈴木に言うってか?」

 おやおや、鈴木君をご存じで? さすが監査委員長ってとこ?

「なんのことだか」

 言わなくてもすでに知ってそうだけど、一応ね。報告しますよ、そりゃね。情報を誰がどこまで知っているって言うのも情報の内だしね。

「まぁいい。なにかあればまた聞くかもしれん」

「了解しました」

 心の中ではえぇぇぇぇぇぇって感じだけど、ため息一つで返事。



「って感じ」

「ご苦労」

「ホント、ご苦労だよ。なにあの人外。意志の疎通は不能。ほぼ話し合いなしに拳で解決しようとするし。つーかしてないし。なぜあんなのがこの世に存在しているのか、不条理にも程がある。一般常識通用しない度が高いこの学園内でさえ、アイツの存在は非常識極まりない。頭もダメ、顔もダメ、もう存在自体がダメ……」

「ストップ」

 俺の愚痴を遮る帝王サマ。

「ね、親衛隊復活しない?」

「しない」

「えー、マジでー」

「誠一郎」

「何で俺の親ってその名前にしたかなって思うよね。似合わね、ぷぷぷ」

「お前、壊れすぎ」

「ストレス溜まってるんだよっ。あの人外のお陰で散々だっ。お前等の地下に潜ったファンをちゃんと管理している俺に感謝しろっ」

「してるしてる」

 きゅっと絞めたくなった。マジ絞めたくなった。

 米田誠一郎、高校生の春。

やっと語り手の名前が出た。

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