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「相沢さん、彼に説明してくれるかしら」

「間違い…ないのね」

「ええ、信じられなかったけど間違いないわ。正真正銘本物。それは私が保証する。教えられたほどすごい存在には感じないわね。まだ成長過程なのかもしれないけれど」

教えられた?何の話をしているんだろうか。俺の話のはずなのに置いてけぼりだ。

生徒会室に呼び出されていきなり血を吸われるなんて予想もしてなかったぜ。

それにしても生徒会長は血を吸うのが上手い(?)のだろうか。相沢に血を吸われたときは服まで血が垂れて大変だったんだが、今回は完全に無事。服どころか肌にすら血の感触が残っていない。

血を吸われた部分に手を当てて確認してもそれは明らかだ。手を目で確認しても血は無い。

「百鬼君、首を気にしているようだけれど私はそんなミスはしないわ」

あまりに気にしすぎていたためか、生徒会長に呆れられてしまった。

でもさ、血を吸われるって異常じゃないか?気にしないほうがおかしいと思うぞ。

コホンと相沢がわざとらしく咳きをする。

「百鬼君、現状をどのくらい理解してる?」

現状理解していること、相沢と長瀬、そして生徒会長が人間が吸血鬼と呼ぶような存在ってことぐらいだな。俺にも何かしらあるみたいな言動だが予想できん。

「お前らが吸血鬼?」

質問を質問で返した上に日本語がおかしい。こいつらが吸血鬼なのかすら半信半疑、その他のことは全く分からんのが俺の現状だな。

「そう。私達はいわゆる吸血鬼、またの名をヴァンポイア。証拠は私とそれに会長があなたの血を確かに吸ったこと。そして長瀬が百鬼君の血を欲したこと。ま、この程度のことはさすがに予想していたと思うけど一応言っておくは。人間の血を吸う吸血鬼は確かに存在する。何か質問は?」


_吸血鬼。俺、そして大多数の人間が空想上の生物として知っている。

不老、夜行性で光に弱く五感が優れている。十字架とか水、ニンニクが弱点だったか。

「弱点何?」

口に出たのは弱点についてだった。もし、光に弱いのなら学校生活なんて送ってるわけがないし、水に弱いのならプールの授業がある高校に通えるわけがない。ずっと疑問だったんだよな、弱点。

相沢は呆れたように答える。

「自分の弱点を答えるバカがいると思ってんの?あんたバカ? それにさ、こうやって人間生活に溶け込んでる時点で目立つ弱点なんてあるわけないでしょ。もしそんな弱点あったらとっくの昔に淘汰されて消えてるって」

ようは弱点は特に無いってことだな。吸血鬼映画のバカヤロー!弱点があって当然と思い込んでたじゃねーか。よく考えたらそんな弱点あったら生きていけねーよ。

と心の中で叫ぶ俺だった。


そんなこんなで話は進む。

相沢は色々教えてくれた。

まず、吸血鬼に弱点は無い。人間と同じで、例えば火あぶりされれば当然死ぬらしい。

不老不死でもない。ただし寿命は基本的に長い。また、力のある吸血鬼には不老(事故とかで死にはする)の者が多いとか。

人間と同じで力にも差がある。人間の凡人以下の力しかないのがいれば、人間数百人に匹敵するほどの力持ちもいるとか。


恐ろしいぜ…

吸血鬼は基本的に人間と同じように平和に暮らしていて、だからこそこうやって学校にも通っている、ただし、もしもの時のため吸血鬼が通う学校は指定されていてある程度吸血鬼が固まるようにしている。ここもたまたまそのひとつだったってわけだ。

指定の学校の生徒会は基本的に吸血鬼が牛耳っているらしい。有事の時に動きやすく、かつ何か起きてしまったときに誤魔化しやすいからだとさ。恐ろしいぜ。


_純血とかあるのか。これも聞いてみた。

俺の知識だと、 純血>>>>混血 混血は差別されたり弱かったり純血に支配されてるとかな。映画でよくある奴だ。

「答えは、YES。というか純血しか存在しないわよ」

純血しか存在しない?そりゃどういう意味だ?

「吸血鬼と人間は基本的には別の生物。人間でいう人種程度の差じゃなくて、遺伝子的な差があるの。そりゃあ人間が吸血鬼に恋をすることがあるし、その逆もある。けど基本的には子供は出来ない。もし混血とかあったら地球は吸血鬼ばっかりになってたんじゃないかなあ。人間の数を減らさないために混血が出来ないような体のつくりになっている可能性がある。と聞いたことあるし」

子供が出来ない、か。もし人間と吸血鬼が恋をしたら生涯二人暮らしになるってことだからそれは寂しいんだろうな…

「ちょ、ちょっとあんた。エロいこと考えてない?」

俺が長考していたせいか、変な勘違いをされたらしい。

「エロいことってなんだよ。俺はただ『人間と吸血鬼が恋をしたら生涯二人暮らしになるから寂しいんだろうな』って考えてただけだぞ」

相沢は顔を真っ赤にして下を向いてしまった。意味が分からない。


しかしあれだな。世の中で不妊症で困ってるって言ってる人達って実は人間と吸血鬼のカップルだったりしてな。で、どちらがそれを黙ってるからもう一人のほうが不妊症だと勘違いして病院に相談する。と。

普通にありそうなところが恐ろしい。


_食事 血を吸わないと生きられない…なんてことはなく、吸血行為は人間で言う嗜好品的なものらしい。ただし、相手の血が好みだと相当の吸血欲求が生まれるとか。ホントかよ?


その後にも色々吸血鬼について説明を受けた。無駄に知識を得てしまったぜ。


「つまり、だ。長瀬が俺に迫ったのは本能的に血を吸いたくなったから。で助けたはずの相沢が俺の血を吸ったのは長瀬と同じで本能的に吸いたくなったから。そういうことだよな。お前らそんなことでよくバレずに生活遅れてるな」

長瀬が胸を張って答える。

「そりゃそうだ。人間と暮らせるといってもちゃんと吸血鬼専用訓練とか教育を受けたからこそこうやって学校に通えてるんだからな」

本能をある程度は抑えることが出来る、か。でもさ

「お前俺の血を吸おうとしたじゃん…」

俺の血を狙ったような奴がそんなこと言ったって信用できない。

長瀬は苦笑。

「聖沢先輩がさっき俺の血を吸ったときは普通に自我を持っていたけど、あれはなんでなんだ」

長瀬、そして相沢が血を狙ったときはなんとなく様子がおかしかった。しかし、生徒会長はそんなことなく特に変わったようすがなかったのだ。

「それは当然よ。だって、本能なんかではなく私の意志で吸ったんだもの。確認するためにね」

先輩の意思で吸った…?確かに俺の血を吸って何か察したようだったな。

「今までの吸血鬼知識は前提。今からが本題よ」

本題。本能を抑えられる訓練を受けたはずのアイツ等がなぜ俺の血を狙ったか、だな。」

「先程長瀬が言ったように、私達は吸血鬼として教育を受けた。そのとき、すべての吸血鬼が必ず教えられること。それは吸血鬼の伝承」

吸血鬼直伝の伝承。なんだかすごいかっこいい響きだ。

「私達の生まれとかは省くけど、吸血鬼伝承っていうのは簡単に言えば歴史ね。私達の祖先が経験してきた事象、病気などを記した書。そしてその伝承の中で極めて重大なこととして覚えさせられたこと。それが現在の状況の理由よ」

ゴクリ。TVだったら、長い溜めの後、「ついに明かされる真相!続きはCMの後で!」とか言ってCM入り→提供紹介→またCM のパターンだ。

いよいよ説明!というところで勢いよく生徒会室のトビラが開いた。









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