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2話 こんな地味でも魔法少女

『では第一学年A組のランキング戦を始めます』

 よくよく聞かされると、この学校には授業と言うものがほとんどない。土日のみが授業を受ける日となっており、それ以外は自由に行動していいそうだ。

 だけどこの学校はさまざまな以来を受けているそうで、それを生徒に行わせているらしい。それを行うのが自由の5日間ってことになる。

 また以来をする時には自由に人を誘ってパーティーを組むことが出来るらしい。もちろんそれは人気が高い生徒であったりランキングが高い生徒の方が誘われやすい。また以来を達成すれば報酬があるらしい。

 いかにもうさんくさいRPGゲーム設定だけどそう決まってるんだから仕方ない。まったく誰がこんなシステムを考えたんだか。考えた奴に出会ったら思いっきり笑ってやるぜ。

 食事は寮なので学食がある。ただお金は必要となる。またお金がない者が出てくる可能性があるため食事は無料で支給されるようになっているらしい。

 でもそれってニートってことだよな・・・

 とりあえずそんなこんなで、ニート生活にならないためにも、このランキング戦はかなり重要なイベントになるってわけだ。

 『では、OOさんとOOさんはルームへどうぞ』

 俺達は今別の部屋に待機させられている状態だ。結構広い部屋で、中央付近には戦闘フィールドを写している巨大モニターがおいてある。

 今そこに二人の生徒が登場した。

 一回戦。つまりここで負ければランク過半数より下は当然ってことだ。それだけは避けたいな。

 「では、開始っ」

 大きなリングの音が鳴り響き戦闘が開始された。二人ともリバレイションとか言って、自分の武器を解放し始める。

 俺は恥ずかしいから絶対言わない。無言で解放してやる。

 「おおっ」

 周りの数人に見られてしまった。一人の武器はどう見てもナイフ。指と指の間に合計8本のナイフを構えて戦闘態勢を取っている。

 もう一人は、説明しにくい武器だ。鎖の先に鉄球が付いている。


 すごくシュールだ。でも違う。

 ナイフを持った人が四本ナイフを投げる。スピードもなかなかのものだし、あのまま進んでいけば4本とも体に命中する。ずいぶんと使い慣れているように見えた。

 しかし鉄球野郎はその鉄球で四本のナイフをはじき落とした。ずいぶん重そうに見えるが軽がる動かししている。そしてそのまま鉄球を相手に投げた。

 スピードもそこそこ、でもかわせないスピードじゃない。

 「えっ」

 しかしナイフ装備の人は、それをかわすことなく、もろに腹部にヒットした。そのまま後ろに吹き飛ばされて壁に叩きつけられた。

 まったく外傷は追ってないが、ものすごく痛そうな顔をしている。呼吸が出来ないのか苦しそうな表情さえ伺える。だがまだ気絶はしていない。

 つまり現実ではまだ死んではいないということだろう。

 ジャラジャラ

 鉄球が引きずられていく。


 ん?

 「な、なんだありゃー」

 と俺は小さい声で呟いた。

 鉄球野浪は鎖についているレバーみたいなものをぐるぐる巻いて鉄球を引き戻しているのだ。

 ダサい。そして戻すスピードがすげえ遅い。

 ナイフ装備の人はその間に呼吸を止めて、残っているナイフ4本の内日本を投げつけた。そのナイフは一直線に進んでいき、レバーを回している手と反対側の手に刺さった。

 上手い、これならレバーを回せなくなる。鉄球を失ったからには奴はもう隙だらけということになった。

 ナイフを持った人は、そのままナイフを雑に握った。そうよくドラマで人を殺すかの様な握りで。そのまま相手に向かって走りこみ、心臓部分めがけてナイフを突き出した。

 鉄球野郎は逃げ出そうとしたようだが、手が鉄球を握ったままだったのでかわせなかったようだ。見事心臓部分に突き刺さったナイフは、抜き取られ、鉄球野郎は気絶した。

 そして試合終了のゴング

 あーあ、あいつもうランク下位だぞ。

 そして気絶した鉄球野郎はどこからか来た二人に抱えられてランキング戦を後にした。

 このような感じで一回戦が終了した。俺の番まではまだかなり残っているので試合を十分に観戦することが出来るのだが、思ったよりレベルが・・・低い気がするぜ。

 鉄球もかわしていないし、ナイフの時だって簡単にやられてたし、でもナイフのスピードとか命中率は結構なものだったし・・・ん~よくわからん。

 とりあえず俺は自分の番まで待つことにした。


                       *


 『決勝戦~』

 やっぱりだった。

 みんな弱すぎる。

 今まで決勝まで銃弾一発打ち込んだだけで、相手はかわすことなく気絶していった。かわさなかったんじゃなくてかわせなかったんだと思うが。

 あの俺の、血と涙の特訓は何だったんだ?馬鹿みたいじゃないか?でもこれでランキング2位以内はもらったようなもんだ。

 俺は決勝戦へと向かった。

 「ふ~ん?あなたが決勝戦の相手?見ない顔だけど本当に戦ってたの?八百長とかじゃないの?」

 「失礼な奴だな」

 俺の戦闘時間が3秒だったから目に付いてないだけだよ。まあ相手にプレッシャーを与える意味でも言っておけば良かったが、目の前の女の子もずいぶんと自信に満ちた顔をしていたので言う気がなくなった。

 「お前は楽しませてくれんの?」

 その代わりと言ってはなんだが、挑発をしてみた。

 「ええー?それはこっちのセリフなんだけど」

 逆に挑発し返された!?まあ別に俺は短気じゃないからそんなことじゃ我を見失ったりはしない。

 目の前の女の子は鮮やかなピンク色でショートカットの髪をしており、身長は小さめ。それ以外はスタンダードすぎる可愛い美少女だ。

 「大体アンタの武器レベルいくつ?」

 「は?レベル?」

 ヘルアさんからもまったく聞いたことのない単語が聞こえてきた。

 「何?レベル知らないで参加してたの?アンタの師匠どうかしてるんじゃないの?」

 ・・・否定は出来ない部分がある。

 「しょうがないから教えてあげるわ。私達はリバレイションすることで個人の武器を解放して戦う。その解放する武器にはレベルがあって、どんな種類でも1~10までのレベルがあるの。レベルの上がり方はよくは分かってないけどレベルが上がれば武器の姿が変わったり、新しい事が出来たりとさまざまなことがあるわ。それでアタシはレベル3。これは高等部2年レベルなのよ。どう?アタシがすごいの分かった?」

 ベラベラと長い説明をしてくれた。だが、おかげでレベルのことについては良く分かった。多分ヘルアさんの言い忘れだと思うので後で聞いてみることにしよう。

 「おーおー、とりあえずお前がすごいってのは分かった。まあ始めようぜ」

 「いいわよ。すぐに終わらせてあげるわ」

 試合開始のゴングが鳴った。それと同時に武器を解放した。

 俺はいつもどおり拳銃の銃弾一発を発射した。

 「これで終わんねーかな」

 実際終わんなかった。銃弾は少女の前で静止し、そのまま床に落ちた。

 「アンタ危ないことしてくるね?」

 少女の手にはステッキのようなものが握られている。

 どうみても・・・

 「私の武器は魔法の杖よ」

 魔法少女だった・・・

 ただ変わっているのはステッキを持ったという所だけで、服装はまったく変わっていないので地味すぎる魔法少女だった。

 「地味だな」

 「うるさいわねっ!」

 やっぱり気にしているらしい。

 「やっぱ今までどおりにはいかないってわけね」

 「さっきのはプロテクロね。レベル2で習得できるのよ」

 「そんなん知らん!」

 「何よ!それにアンタの武器は何?変な形してるわね。そっから銃弾が出るなんて思いもしなかったわ」

 思いっきり拳銃の形をしているのに銃弾が出てくると思わない神経もどうかしていると思うのは不自然なことなのだろうか?

 「まあいいわ。あなた面白いわね。名前は?」

 「音重時南」

 「ふ~ん時南くんね」

 「そういうお前は?」

 「私は、イリー・ローキュル。イリーでいいわ」

 そっか、ここは日本じゃなかったな。

 いきなり出てきた外国の名前に驚いてしまった。

 「まあ始めましょ」

 イリーはステッキを魔法少女のように足と足の間に挟みこんで空に浮かんだ。いや魔法少女なのだけど。

 俺はすかさず銃弾を発射するが、先ほどと同じように銃弾はプロテクトで防御され無効化されてしまう。

 遂にイリーも反撃に出たのか、空中から急降下して突っ込んできた。結構スピードがあるがかわせないほどのスピードじゃない。

 俺は引き付けてから横っ飛びしてかわすことにした。

 実際にやったことがないが、俺は銃弾すらかわせる身体能力を持っているらしい。これくらいは余裕だ。

 「時南くんなかなかやるのね?」

 イリーは少し驚いた表情をした。

 「俺も無駄に決勝まで勝ち残ってないからね」

 「そう?でもめんどくさいからちゃちゃっと終わらせちゃいましょうか」

 イリーはめいいっぱい上昇して何やら力を蓄え始めた。

 「な、なんだアレは?」

 ステッキの先から、光る球状の物体が膨らんでくる。そしてその大きさはどんどん大きくなっていってる。

 「これは、魔法少女お決まりのビームって所かぁ?」

 「その通り」

 イリーは俺の呟きにウインクをしながら答えた。その間にもどんどんとレーザーは大きくなっていく。

 「どうする?降参する?今ならとめてもいいけど?」

 もう光はイリーの体を包み込んでおり、聞こえてくる声だけで姿は確認できない。

 「ふぅー」

 俺はため息混じりに息を吐き出した。

 「いや。降参はしない」


 いつだっただろう。この武器が手に入った時、もっとないか出来ないかと思って強く願っていたらこの武器は、そう進化した。

 そうただ願うだけでいい。

 俺の武器は進化する。これがレベルと関係してるのかもしれない。

 拳銃部分の発射口がピラミッド型になり、三連射。またはあのようにレーザーを打つことが出来る。アレと勝負して勝てるかどうかは分からないが、あのでかさをい見る限りかわすスペースはない。一か八かにかけるしか方法はなかった。

 俺も拳銃部分に力を込めてレーザーを準備する。

 向こうは白。こっちは紫色の鮮やかなレーザーだ。ピラミッドの中心部分にレーザーが集中する。こっちも準備万端だ。

 「そろそろ行くわよ」

 「望むところだ」

 「「いっけえ」」

 同時のタイミングでレーザーを発射。白と紫のレーザーは互いにぶつかり合い押し合ってる。後は出力の問題だ。

 「俺はかぁつ」

 刹那

 俺の放ったレーザーがイリーのレーザーを打ち消して、紫色のレーザーがイリーの体を包み込んだ。

 「うおおおっ」

 レーザーの衝撃が強かったのか、放った方向も悪かったのか、俺のレーザーはモニターに写すはずのカメラをぶっ壊してしまった。また壁の一部が損傷した。

 そして試合終了のゴング。

 『決着~』

 そこには気絶しているイリーの姿が。相変わらず外傷はない。どうやら俺は勝ったみたいだ。優勝だ。

 『機器及びフィールド破壊により音重時南失格!優勝イリー・ローキュル』

 「はぁぁぁ~?」

 俺はひざを付いてうなだれた。

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