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1話 えすえふ学園

1話 えすえふ学園


 一ヶ月前にこんなことがあったな。それがすべての始まりだったんだな。


                      *


 「あなたは死ぬ覚悟が出来てますかねぇ」

 俺の前には一枚のテスト用紙。そこには問題が一問しかなかった。しかも二択ではいかいいえのマークシート方式。

 幼い頃に両親を失った俺は、中学3年間をなんとか無事に過ごしきった。しかし高校からはお金がないため進学することが出来ない。つまりはフリーターまっしぐらになっちまうってわけだ。さてどうするかと思っていた時に救いの手が差し出された。

 救いの手だったのだろうか?

 高校の名前はえすえふ学園。これは正式名称であって、ひらがな表記されているのだ。

 もちろん偏差値なんてデータはどこにもない。なんたってテスト問題がこれなのだから。

 音重時南(おとしげつきな)と名前を書き、俺はテスト用紙の質問のはいと言う欄に印をつける。その瞬間に周りの風景が一変した。

 「だろうねえ。最初から変すぎるとは思ってたぜこの試験会場」


 両親が死んで遺品などを整理していた時だった。何重にもある箱の中に手紙と一緒に赤い宝石が置かれていた。

 そこに書かれていたものはほとんど試験問題と同じだった。

 『死ぬ覚悟があるのなら、この玉を飲みなさい』

 と。当時両親を失ったショックにより死んでもいいと思えてた俺はその玉を何のためらいもなく飲んだ。その結果がこれだ。

 自分が解放したいと願うだけで武器を解放出来るようになった。手には二つの銃剣。軽くて使い勝手も良好。まさしく俺専用武器だ。

 今まではこんなの解放したら警察行きだから無駄に解放できなかったけど、俺が今度行く学校は、きっとこういうことなんだろう。


 今までとは変わりきってしまった試験会場から声が聞こえてきた。

 「はぁ~いこんにちは。あなたはこれから一匹の敵と戦ってもらいます。いわゆる実技試験ね。倒せればえすえふ学園にご招待。でも質問に答えてくれた通りここで死んじゃう可能性もあるから気をつけてね」

 録音か?などと思っていると、それを覆すかのように声が返ってきた。

 「録音じゃありませーん。この部屋はテスト会場だから、思考内容もチェック出来るようにしてあるの。ちなみに私は試験会場案内役&試験管のヘルア・リハートです。よろしくね」

 年齢は20代前半くらい。ずいぶんと元気な口調だ。っとこんなことも向こうには伝わっているんだろう。そう思うと嫌な気しかしなかった。

 「わかったから、さっさと始めようぜ。こんな部屋に長時間いると無駄に精神力を使いそうだ」

 「了解。じゃあ敵転送。一応もう一回忠告するけど、これはシュミレーシュンじゃありません。ほんとに死ぬこともあるからね?」

 わかってる。と心の中で言った。

 「了解」

 やっぱりテレパシーかなにかかで伝わっているのだろう。


 目の前にはクマみたいな奴が現れた。いやどー見てもクマだ。しかも目が赤く光っている。

 「はーいじゃあスタート」

 戦闘が開始された。クマは猛スピードで突進してくる。

 「うおっ、マジ?ちょっと早っ」

 あくまで俺は人間だ。瞬間移動とかジャンプでかわすなんて偉業技は出来ない。だっさいけど走ってかわすしかないんだ。

 こーゆー場合は先手必勝だよな。

 俺は両手の銃剣から銃弾を発射した。俺の銃剣は双方違うタイプで出来ている。左手は小指で銃弾を発射するタイプ。つまりはナイフ感覚で接近戦で力を発揮する。右手の方は人差し指で銃弾を発射するタイプで拳銃感覚で攻撃をする。刃はしたの方にあり、忍者とかのクナイとかそんな感じの攻撃方法なのだろうか?

 とりあえず俺はクマめがけて銃弾を発射した。

 弾はクマの腹部にヒットした。俺の命中率もそこそこのもんだ。腹部から血が流れ始めている。

 「効いてる」

 しかし、あろうことかクマは突進してきた。腹部には銃弾が4発確実に命中している。なんで倒れねぇんだ?普通のクマだったら狩られているだろ。

 俺はまただっさい走りで突進をかわす。

 銃弾こそ設定上は無限だが、なんだか知らないけど銃をチャージするのに体力を使っている・・・ような気がする。

 とりあえず俺は銃弾を発射。さらに腹部や手にヒットする。がまだ倒れない。

 なんでだ?普通死んでるだろこいつ?一向にクマは倒れない。

 考えろ俺?これは技術試験。突然現れたクマ。普通のクマだ。普通だったら4発当てれば死にそうなクマだがそれ以上当てても死なない。この部屋に仕掛けはない。

 「そうか!」

 俺は銃剣に弾を2発チャージした。

 その間にもクマは突っ込んでくる。しかしそれがチャンスだったんだ。

 「普通のクマだったらもう死んでるはずだ。だけど死なないってことは普通じゃないところが弱点なんだよなぁ!」

 赤く光っている目に向けて銃弾を発射した。ターゲットが小さくて当てづらいのだが、こっそり練習してたことがある。問題なく両目にヒットした。

 正直これで死ななきゃかわせないから死ぬだろうな。まぁいいや俺だって死ぬ覚悟はとっくの昔にできてらぁ。

 クマは目の前に倒れこんだ。そして目の前から消えた。

 「ごーかぁーくっ」

 すげえ元気な声が聞こえてきた。

 「はいよく出来ました。じゃあ一ヶ月後くらいに紹介状贈るから準備しておいてね。じゃあ今日はもう帰ってもいいよー」

 声が終わると景色は元に戻った。いつもの風景だ。


                     *


 目の前にはすげえありえない扉。なんか魔法空間って言うのはこういうことを言うんだろうな。

 「入って入って」

 この世界に未練はないだろうか。多分戻ってくることは出来ないんだろうな。まぁ友達だっていないし家族もいない。俺一人がいなくなったくらいで誰かが悲しむ世界じゃないか。

 俺は異質な扉に脚を踏み入れた。

 その先は、一つの部屋だった。

 「はぁ~い、えすえふ学園にようこそ。私はあなたの先輩であり師匠でもあるヘルア・リハートでーす。これからよろしくね」

 「はあ?何?はあ?」

 目の前には一人の女性。やっぱり歳は20代前半くらいで黄色い髪の毛。鮮やかな髪だ。クリーム色とか金髪じゃなくて本当に黄色の髪。それを後ろでしばっていて少し持ち上げているポニーテールだ。そして瞳の色は黄色。完全に別世界の人間だった。

 「はあ?じゃないでしょ。一回会話したことあるでしょ。もう忘れちゃったの」

 「いやいや覚えていますよ、試験管の人でしょ。俺は何でこうなっているのかが分からなくて」

 「それを今私が教えてあげようってことですよ」

 それから、なんだっけ?そうそうヘルアさんが長々と説明をし始める。

 「まずこの学園システムは騎士団とかそういった類のものだと思ってもらっていいわ。一応授業見たな物はあるんだけど、そんなものは週に2回だけ。この世界で言う土曜日と日曜日に勉強があるわね」

 うわっ、めっさ逆じゃん。

 「ほとんどは武器の解放。まぁリバレイションした武器の特訓を行うことが本業だと思ってね。それで一応あなたもクラス分けがされてあって今度の日曜日にランキング戦があるのよ」

 「ラン?キング?セン?」

 「あらすごい片言ね。そうランキング戦。特別なフィールドが用意されていてそこで戦闘してもらうの。どちらかが先頭不能になるまで戦ってもらうわ」

 「それって死ぬんじゃ?」

 「だから特別フィールド。簡単に言うと、なぜか痛みだけは体に残るけど傷はあっという間に回復。気絶したら負けっていうルールなの」

 もうなんでもありって感じだな。

 「ということで、私が時南君の師匠ヘルアでーす。よろしくね」

 「だからっ!なんで試験管のアンタがそのまま師匠やってんだって」

 「あら、試験管なんて最初から設定されてないわよ。実技試験者が現れるたびに、この世界の一人が試験管役として選ばれるわけ。それでそのまま師匠を務めることになるのよ」

 「なるほど。ものすごいスピードで理解できたぜ」

 「そりゃどうも」

 とりあえずここが俺の住む場所になるらしい。そしてこの人、ヘルアさんが俺の師匠となるらしい。そんでもって俺は日曜にあるランキング戦とやらに出て目標は優勝。ということだ。

 「じゃあさっそく始めましょうか。リバレイション」

 ヘルアさんの片手から、一本の普通の剣が出てくる。

 「普通だな」

 「うるさいわねっ。普通が一番なの」

 「でもどうすんだ?ここじゃ傷は回復しないんだろ?俺また命の危機ってやつかい」

 「まあここで戦うのは冗談。普段は素振りやシュミレーシュン形式の実践ってところね。それにいきなり私と勝負したって、時南君じゃ勝てないよう?」

 イラッとくる言い方だったので少しむかついた。それにヘルアさんの実力もまだまったくわかってないのだ。

 「でもあなたの武器は珍しいわね。銃剣なんてなかなか使う人はいないわ。便利ではあるんだけどね。それにあなたのはさらに特別。双方の形が違うんだもの。扱いづらいでしょ?」

 「そうでもないっすよ」

 何回も練習しましたから、なんて言えないよなぁー。

 「まぁいいわ。ささっランキング戦に向けてまずは身体能力の強化よ。時南君にはこれから三日ほどで攻撃をかわせるくらいまで上達してもらうわ」

 「ななな、何を?つまりアニメみたいに銃弾かわせってことですか?」

 何を言ってるんだろうこの人は?前から思っていたことだけれども言うことすることがむちゃくちゃ過ぎるような気がする。

 「そうよ」

 あっさり肯定したし

 「じゃあヘルアさんは銃弾かわせるんですか?」

 「不意打ちとかじゃなかったらかわせるわよ」

 どんだけすごいんだよ。

 「それにクラスのみんなだってそれくらいは出来るはずよ」

 俺がすごくないだけだったらしい。そう考えると俺は今ランキング予想ではビリと言うことになっているのか。

 と言うことで俺とヘルアさんの二人で身体能力教科トレーニングを黙々とし続けた。

 初日目から体が悲鳴を上げてギブアップしそうになった。いやしようとしたんだけどあの人が無理やりにでも始めるもんだから、ここで死ぬんじゃないかって思った。


                      *


 「はいよく出来ました」

 何だかんだで俺はそのトレーニングをやりきった。自覚はないがそれでも成長しているんだろう。なんか身のこなしが良くなった気がする。

 「よく頑張ったぞ時南君」

 ヘルアさんが、缶ジュースを投げた。俺はそれをキャッチする。

 『おしるこ青汁』

 缶にはでかい文字でそう書かれている。

 「なんでこんな不味そうなもん買ってくるんですか?」

 ・・・自分はオレンジジュース飲んでるし。

 「健康によさそうよ」

 「はぁー」

 俺は缶を開ける。そして以上にどろっとしている半液体状の物を飲み込んだ。

 やっぱり不味い。

 「そんな嫌そうな顔しないの。まぁとりあえず明後日がランキング戦ね、時南君結構センスあるし結構いい所までいけると思うの。頑張って」

 こぶしをぐっと握って突き出してくる。

 俺も同じポーズを取った。


 明後日に備えて眠ることにした。

どーもです。

2作同時進行という形になります。こういうのも書いてみたかったんですね。

更新速度はゆっくりですがよろしくお願いします。


これは最初からフラグが立ってますが、回収してしまう時がいつか来るのだろうなと作者自身感じています。

それでもよろしくお願いします。

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