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世界征服よりも世界運営のほうが大変だとは思わなかった  作者: ももらら
第1章 新首領、仕事に取りかかる

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9/28

くつろぐ初代首領とクロノの独白

労組が結成されてしまいました。

 その頃。


 引退した初代首領グラン=ディアボロスは、郊外の温泉宿にいた。


 湯に浸かりながら、ニュースを見る。


『ネメシス連合、地熱発電計画を発表』


「ほう」


 番頭が恐る恐る尋ねる。


「前首領様は、何もなさらないのですか?」


 ディアボロスは湯をすくい、静かに答える。


「若者の仕事を奪うもんじゃない」


 そして小さく笑った。


「世界征服より難しいぞ、あれは」



 深夜。


 首領のために作られた部屋で玉座に腰掛けるクロノ。


 クロノは一人、資料に目を通していた。


 ふと、ヒーローの最後の言葉が脳裏をよぎる。


「世界の命運を懸けた戦いだ」


(あなたは、守ろうとした)


(私は、回そうとする)


 玉座に座り、ぽつりと呟く。


「戦っていたときのほうが、はるかに楽だったな」


 そのとき、警報が鳴る。


「閣下、大変です!」


 戦闘員が駆け込む。


「怪人たちが労働組合を結成しました!」


 クロノは眼鏡を外し、こめかみを押さえた。


「……組合長は誰ですか」


「マグマリオン様です!」


 小さく息を吐く。


「……会議室を押さえてください」


 玉座から立ち上がる。


 戦闘は終わった。


 だが、交渉が始まる。


 世界征服後の最初の敵は――


 “団結権”だった。



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