くつろぐ初代首領とクロノの独白
労組が結成されてしまいました。
その頃。
引退した初代首領グラン=ディアボロスは、郊外の温泉宿にいた。
湯に浸かりながら、ニュースを見る。
『ネメシス連合、地熱発電計画を発表』
「ほう」
番頭が恐る恐る尋ねる。
「前首領様は、何もなさらないのですか?」
ディアボロスは湯をすくい、静かに答える。
「若者の仕事を奪うもんじゃない」
そして小さく笑った。
「世界征服より難しいぞ、あれは」
深夜。
首領のために作られた部屋で玉座に腰掛けるクロノ。
クロノは一人、資料に目を通していた。
ふと、ヒーローの最後の言葉が脳裏をよぎる。
「世界の命運を懸けた戦いだ」
(あなたは、守ろうとした)
(私は、回そうとする)
玉座に座り、ぽつりと呟く。
「戦っていたときのほうが、はるかに楽だったな」
そのとき、警報が鳴る。
「閣下、大変です!」
戦闘員が駆け込む。
「怪人たちが労働組合を結成しました!」
クロノは眼鏡を外し、こめかみを押さえた。
「……組合長は誰ですか」
「マグマリオン様です!」
小さく息を吐く。
「……会議室を押さえてください」
玉座から立ち上がる。
戦闘は終わった。
だが、交渉が始まる。
世界征服後の最初の敵は――
“団結権”だった。
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