譲位
2代目首領、誕生です。
――数日後
グラン=ディアボロスは、会議室に幹部全員を集めた。
目は、どこか穏やかだった。
「我は、退く」
どよめく幹部たち。
「世界征服という悲願は達成した。だが我には、その後の世界を率いる情熱が残っておらぬ」
沈黙が会議室を包む。
「新たな時代には、新たな首領が必要だ」
ゆっくりと視線が向く。
クロノ・ヴァイスへ。
「ヴァイス主任。次の首領は貴様だ」
会議室が爆発する。
「なにぃ?」
「主任だぞ!?」
「現場叩き上げでもない!」
クロノは、わずかに目を見開いた。
「閣下、それは……」
「世界運営は、世界征服より面倒だ」
ディアボロスが静かに話を続ける。
「我は戦いには強い。だが運営は、貴様のほうが向いておる」
重いマントが外される。
王冠が掲げられる。
「クロノ・ヴァイス。これより、ネメシス連合第2代首領に任ずる」
その瞬間。
怪人幹部たちの視線が一斉に刺さる。
かつての上司。
武功を挙げた古参。
武闘派の大幹部。
その全員が、今この瞬間から部下になる。
クロノは、深く息を吸った。
「……承知いたしました」
声は震えていない。
「世界征服は完了しました。これより――世界運営を開始します」
その言葉に、誰も応えなかった。
だがその数秒後。
溶岩大公マグマリオンが、ぼそりと呟いた。
「運営って……我々は何をすればいいのだ? 何ができるというのだ」
静寂。
クロノは眼鏡を押し上げた。
「まずそこから説明します」
世界征服は、終わった。
戦場での戦いとは違った、新たな戦いが始まるのだ。
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