主任の青年
優秀な主任。運営を見据えています。
基地に戻ってからも重苦しい空気は変わらなかった。ヒーローを倒し宿願が叶ったにも関わらずだ。
そのとき、会議室の隅で静かに手を挙げた者がいた。
若い男。
銀縁の眼鏡。
黒い制服は整いすぎるほど整っている。
ネメシス連合・作戦統括主任。
名を――クロノ・ヴァイス。
「恐れながら、閣下」
「なんだ、ヴァイス主任」
「世界征服後の統治計画書は、こちらです」
分厚いファイルが差し出され、幹部たちがざわめく。
「いつの間に……」
「ヒーロー討伐成功確率37%の時点で作成を開始しておりました」
冷静な声。
ディアボロスはそれを受け取り、ぱらりとめくる。
●税制改革案
●インフラ維持計画
●ヒーロー残党対策
●怪人の雇用再配置
●戦闘員の社会保障制度
「……なんだこれは」
「世界は征服した瞬間から“運営”が始まります。今後は“住民”が問題になります」
空気が凍る。
怪人幹部《溶岩大公マグマリオン》が腕を組む。
「若造……我らは戦うために生まれた。住民対応など――」
「世界中の電力を止めたままでは、我々の基地も機能しません」
ぴたりと黙る。
クロノは淡々と続ける。
「敵はもうヒーローではありません。物流、財政、世論、インフラです」
重い現実がのしかかってくる。
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