悪の組織、面接をする1
元公務員との面接です。
ネメシス連合本部・第7会議室。
入口のプレートにはこう書かれている。
“人間職員採用面接会場”
その下に小さく、
※溶岩飛散の可能性は現在0%です
クロノ・ヴァイスは深呼吸を一つ。
隣には人事担当怪人《帳簿の魔女カリグラ》。
後方の壁際には、腕を組んだマグマリオン。
そして、少し離れた位置に灰燼参謀アシュレイ。
彼は面接官ではない。“オブザーバー”だ。
表向きは。
ドアが開く。
入ってきたのは30代半ばの女性。
ピシッとしたスーツ姿で、背筋が伸びている。
「本日はお時間ありがとうございます。元・東央市役所危機管理課、高瀬梓です」
マグマリオンが小声。
「……危機管理?」
クロノが頷きながら声をかける。
「どうぞ、おかけください」
彼女は座る。
視線は揺れない。
クロノが問う。
「なぜ、当組織に応募を?」
少しの沈黙。
「世界が変わったからです。これまで私は“災害対応”をしてきました。怪人の侵攻、ヒーローとの戦闘による都市被害……」
マグマリオンが気まずそうに目を逸らす。
「正直に申し上げます」
彼女は続ける。
「壊した側と戦うより、動かすほうが早いと思いました」
室内が静まる。
クロノの目がわずかに細まる。
「恐怖はありませんか?」
「あります」
即答。
「ですが、恐怖だけで仕事は選びません」
アシュレイが静かに口を開く。
「もし、あなたの上司が溶岩の怪人だったら?」
一瞬の間。
高瀬はマグマリオンを見つめる。
「温度管理マニュアルを作ります」
マグマリオンが小さく笑った。
「悪くない」
クロノがメモを取る。
(現実的。感情より機能)
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