火に油を注いだのは誰か
野望に燃える男、登場。
労働組合結成の一報から2時間後。
会議室でクロノと労働組合の面々が対峙する。
長机の向こうに、溶岩大公マグマリオン。
その背後には、腕を組んだ怪人たちがずらりと並ぶ。
そして、その列の端に――
やけに静かな男が立っていた。
黒い長衣。
細身。
戦闘用の傷一つない。
灰燼参謀アシュレイ=ノクト、その人であった。
元・戦略企画副主任。
かつてクロノの“横の席”に座っていた男である。
クロノが席につくと、マグマリオンが口火を切った。
「閣下。我らは“怪人労働組合”を正式に発足した」
クロノが静かに答える。
「団結権は認めます」
怪人たちがざわつく。
あまりにもあっさり認められた。
そのとき、静かな声が差し込む。
「随分と聞き分けが良いですね、新閣下」
アシュレイが一歩前に出る。
薄い笑み。
「かつては主任だったあなたが、今や“我らの上”とは。組織とは実に面白いですね」
マグマリオンが低く唸る。
「アシュレイが言うには、我らは“都合よくインフラ要員にされる”危険があると」
クロノは内心でため息をつく。
(やはり君か)
アシュレイが続ける。
「あなたは戦闘特化ではありませんでした。後方支援、戦略立案、損益管理。運営に向いているのは確かでしょう。しかしこれまで最前線で血を流してきた存在を軽視しないという保証がどこにありますか?」
視線が鋭くなる。
会議室の空気が張り詰める。
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