9.最終話
私の手にはルートヴィッヒの髪が残されていた。
何だか重いわ、途轍もなくズッシリと。実際の重さ以上の何かとぐろをまた情念のような重さを感じる。そんな事言ったらこの国の全女性陣から首を絞められそうだけど……。
奇跡的に私の首はまだ繋がっていて、手の中にはルートヴィッヒの髪。
私の前にルートヴィッヒが片膝をついていて、私に髪を渡している。
ん?
なんかこれ、処刑というより、憧れのあのシーンに似てるんだけど。
「ユリアンナ、私の髪か欲しかったのならいつでも言ってくれれば良かったのに。」
遠くから見れば、一見愛おしい人に愛を語っているように見えるのだろう。
しかし、間近で凄まれながら、黒い笑顔で髪を押し付けられている私には、ヤカラに絡まれて押し売りされる構図にしか見えない。
声も出せずに震えていると。
「そう言えば、好きな人がいるって言ってたけど。私の髪をこうした責任とってくれるんだよね。いいよね。」
責任。そのうち念書を書けとか言われそうだな。
「……。」
沈黙は金なり。今、その好きな人がルートヴィッヒだとバレるのはマズイ気がする。
「さあ、式まで三ヶ月しかないから、いろいろ準備もあるし今日から私の宮に泊まりこめばいいよ。ね、愛おしい私の番。」
短くなった髪をかきあげて企むように笑うルートヴィッヒが強烈にかっこいい。
短い髪のルートヴィッヒ初めて見たけど、男らしさと色気が増した気がする。
強引にグイグイくる感じもまた……。
ばあや、ユリアンナは身も心も眼の前の凶悪な男に捕まってしまいました。
たぶん、おうちにはもう帰れないけど不肖のユリアンナをお許しください。せめて、最高に幸せになってやります。
そうして、身ぐるみはがれた私はルートヴィッヒによって文字通り全てを奪われたのだった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
本編はここで完結ですが、本日12時より、さらに甘い番外編3エピソードを一挙公開します。 最後までお付き合いいただけると嬉しいです!




