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7.ルードヴィッヒ視点

今日の目標。


 散策に持ち込んで、ロマンチックに君の花だよなんて言いながら。薔薇をユリアンナの髪に飾りたい。

 上手く行けば、その先も。


 邪な想いいっぱいのお茶会は、またもや、空回りしていく。

 上手く話したいのに……。贈った翡翠のドレスがよく似合うユリアンナが薔薇の妖精のようでバクバクと高鳴る胸の音が上手く呼吸することすら邪魔をした。


 また、見るだけで精一杯の時間が過ぎる。


 諦めかけたその時ユリアンナが話しかけてくれた。


「ルートヴィッヒ、私達あと三ヶ月で結婚よね。」


「あぁ。」


 高鳴る鼓動が邪魔をして情けない事に上手く言葉がでない。頑張れルートヴィッヒ。今こそ散策だ、散策に誘うんだ。


 私の想いが届かぬうちにユリアンナが続ける。


「私ね。好きな人が出来たの。だから、この結婚を取りやめに…」

 その言葉が私の胸にグサリと突き刺さる。ユリアンナの表情が切なくて。そんな顔を初めて見た。

 好きな人なんていつ?ユリアンナの全ての出会いをきっちり潰してきたというのに。


「好きな人?どういう事だ?この結婚は政略結婚だ。そんな事が出来るわけが……。」

 なんとか思いとどまらせようと出した政略結婚の4文字が自身の胸をこれでもかと抉った。


 権力にモノを言わせただけの関係。


 そして、ユリアンナの冷静な「王族に番が出来たら、すぐに破談になるじゃない。」というツッコミが追い打ちをかけた。


 子供の頃の約束を盾にしたが、ユリアンナの心は冷めていた。


 もう駄目だ。番も駄目、結婚も駄目私に何が残るのか?世界がモノクロに見えた。

 ふと思い出したのは、血の制約の解除条件だ。結婚や番の申込は生涯ただ1度だけ……。


 でも、相手が了承後に約束を違えた場合にはその約束に関する制約は消える。

 これ以上嫌われたくない。無理強いなんてもってのほか。

 だけど、ずっと18になる日を指折り数えていたルートヴィッヒは平和にユリアンナを手に入れる事を諦めた。


「君から、その約束を反故するんだね。」

 他の男を好きになった君が悪い。逃がしてたまるものか。制約解除のワードを引き出す。


 番からの約束の反故。番側が加害者。番の決意が固いこと。確認したよ。

 さあ、始祖たる神龍の血の制約よ、消滅せよ。


「そう。わかったよ。」

 婚姻に関する血の制約が消滅するのがわかった。残念ユリアンナあと三ヶ月あった君の期限の利益は喪失したよ。もう私を縛るものは無い。


 嫌われてもいい。他の男に奪われるなら、身体だけでも手に入れる。攫って閉じ込めてしまおうね。

 君の心を奪った男など見つけ次第八つ裂きにしてやりたい。


 ユリアンナを捕まえてしまおうと近づいた私の髪が彼女に捕らわれた。


 え?


 髪は逆鱗が変化したもの。番に触られると堪らない多幸感がこみ上げてくる。


 ユリアンナの美しい指に自分の髪が一筋巻きついている。その夢にまで見た光景に身体が固まった。


 間近で見るユリアンナが可愛い。怒りに満ちた暁の瞳が私を映してる。

 怒りか、無関心よりずっと良いが……。


「ユリアンナ、何を?」 

 

 この期に及んでも、私を惑わすなんて、ユリアンナなんて残酷な女なんだ。


 ユリアンナの右手にキラリと光る短刀が……。


 殺されるのか?


 それも良いな。神龍に近い私はどんな強力な武器であろうと傷つける事は出来ない。


 ただ一人番を除いては……。


 愛おしい番に殺されるなら本望だ。ユリアンナに憎まれて生きる地獄よりも、ユリアンナの心に傷として残ろう。

 ただ、最後に彼女の微笑みが見たかったが……。


 ヤケになった私は胸を差し出した。

 

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