5.つぶやき
ユリアンナが薔薇園が大好きなのはわかっている。
だから薔薇の綺麗な季節には予約をもぎとって、薔薇園でのお茶会をセッティングしている。
以前美味しいと言ってもらった洋ナシのタルトも完璧に出来上がった。それにお土産には薔薇のジャムを手作りした。健気だよな私。
ユリアンナの喜ぶ顔がみたい。喜ぶ顔が見れたらそれだけで幸せになれる。
彼女の望みはなんでも叶えてあげたい。
お茶会までの時間、薔薇園を散策する。良い雰囲気に持ち込めれば、2人で散策なんてしたいなあ。
今回こそは散策に持ち込みたい。薔薇園中の薔薇の品種も花言葉も全て頭に叩き込んでいるから何でも教えてあげられるのに。
ふと、ユリアンナの暁の瞳そっくりの咲初めの薔薇と目があった。
ユリアンナの代わりにうちに来るかい?
そっと切り取った花からユリアンナのような優しい薫りを感じて愛おしすぎて、口づけしてしまった。いかんいかん。
「愛おしい番に早く会いたい。結婚式まであと三ヶ月か…。」
三ヶ月長いような、短いような。微妙だ。
番にはなれなかったけど、結婚だけは出来るんだ。結婚したらユリアンナを独り占めにしよう。ユリアンナを幸せにしてあげたい。
番になれたら、出産の痛みも身体のダメージも全部引き受けてあげられるから子供を何人でも持てるけど……。
番じゃないから、子供は一人だけかな。
薔薇園で、ユリアンナに想いをはせるルートヴィッヒは知らない。
その呟きがユリアンナを傷つけていた事を。




