12.【書籍化記念SS】最終回の翌日、冷酷だったはずの殿下が「あーん」を要求してきます
ばあや、ごめんなさい。ユリアンナは悪い男に唆されて絶賛堕落中です。
「ユリアンナ、愛している。あーん。」
微笑むルードヴィッヒの眼差しが甘い。綺麗な翡翠色の瞳が甘さを含んで、見つめられるだけで蕩けてしまいそうだわ。
「ユリアンナ、美味しい?」
そんなに微笑まないで。ルードヴィッヒと出逢ってからこのかたいつも冷たい瞳でしか見つめられていなかった私にはこの甘さは辛いわ。
甘すぎて今食べているのが、アンチョビだとは思えないほどに激甘なんだけど。
ユリアンナが怒りに任せて髪を切ったあとからルードヴィッヒの態度が激変した。
大体、子供じゃないのだ。ご飯くらいひとりで食べられるというのに。
抱っこであーんなんて、恥ずかしすぎる。
「ずっと、夢見ていたんだ。いつかユリアンナと番になれた暁には父上と母上みたいにこうしたいって。」
もう無理だと諦めていたんだけど夢が叶った嬉しさでつい、とうなだれたルードヴィッヒを見てしまったユリアンナは抵抗を諦めたのだった。
だって雨に濡れた子犬のようで可哀想だったんだもの。
それにユリアンナにとってもルードヴィッヒの両親の仲睦まじさはすごく憧れだったから、ルードヴィッヒの気持ちもよく分かる。
わかるんだけど。ルードヴィッヒを見上げる。
「うっ。」
あら?ルードヴィッヒの顔が赤いわ。ルードヴィッヒも同じなのかしら?
だったら。私もルードヴィッヒに言いたかったこと、言っちゃおうかな。
「ルー、愛してるわ。」
あれ?ルードヴィッヒの様子が変わったわ。
「ユリアンナは悪い子だね。」
ばあやごめんなさい。ユリアンナは悪い男に今から食べられてしまいます。
完結までお読みいただきありがとうございました!
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