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【コミカライズ発売中!】番の身代わり婚約者を辞めることにしたら、冷酷な龍神王太子の様子がおかしくなりました  作者: 降魔 鬼灯


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11.ルードヴィッヒ視点 最終話裏

ユリアンナの短剣が振り下ろされる。


 もう私の心はズタズタに傷ついている。ひと思いに殺せば良い。


 ザクッ


 ユリアンナが勝ち誇った顔をして、私の髪を一房握り締めていた。


 あんなに捧げたくても捧げられなかった髪が彼女の手の中にある。


 戦利品を手にしたかのようなキラキラした笑顔、あんな顔をして笑うんだ。


 最近はいつもつまらなさそうな顔で砂時計が落ちるのを待つ彼女しか見ていない。私の胸が鷲掴みにされる。


 私の番が尊い。可愛すぎて、萌死ぬ。


 ユリアンナ、君は一体何度私を恋の沼に突き堕とせば気が済むんだ?


 胸が高鳴りすぎて苦しい。



 「これは記念に頂いていくわ。」


 そんな私を嘲笑うように髪を見せびらかし高く掲げたユリアンナが宣言した。



「私の髪が欲しかったの?」


 放心状態の私の口から漏れたのはその言葉だけだった。記念に欲しいくらいなら、いつでも言ってくれれば……。 


 彼女の真意はどうであれ。ユリアンナが切ってしまった以上、彼女に番の意思があろうとなかろうと番契約が発動する。


 ユリアンナごめんね。

 

 君はもう逃げることは叶わなくなった。まあ、婚約破棄の件でかたほうの制約が外れた時点で監禁は決定していたのだけれども……。


 番契約が成立してしまった今、始祖たる神龍の制限が全て消滅した。


 この私が危険なのは否めない。

 

そんなほの昏い執着心でいっぱいになった私の耳に信じられない言葉が響いた。



「子供の頃、くれるっていったのは、ルートヴィッヒじゃない。」


 心に光明が差した。出逢った日の私の精一杯の番請い。覚えてくれていたんだ。


 ずっと忘れられたと思っていた。彼女にとっては取るに足りないものと。


「そうだね。確かに言ったよ。その手の中の私の髪はその時の返答の変更ということでいいのかな?」


 感無量で泣きそうだ。


「ええ、婚約同様に気が変わったのよ。これまで婚約者として勤めてあげたんだから、これくらい貰ってもいいでしょ。」



 気が変わった、ユリアンナ本当か。私の番になってくれるということなのか。


 ずっと、ずっと願っていた。ユリアンナと番になりたいと。


 先程までのモノクロだった世界が薔薇色に変わる。私の番、私の番が可愛すぎる。


 ユリアンナとの距離を驚かせないようにじわりじわりと詰める。


 今のユリアンナは先程までの勢いが嘘のように、子猫のように震えている。

  

「ユリアンナは私の髪が欲しかったんだね。」


 可愛いな私の番は。


 こんなに震えているのに、握りしめた私の髪だけは死守するように背中に隠している。


「ええ。」


 その返事に心が熱くなる。髪に触れて欲しい。優しく触って。そして、全てを捧げさせて。



「そう。触りたい?そんなに欲しかったのなら、触りたいよね。」


 ユリアンナの手にある物騒なモノを取り上げる。ぶるぶる震えるユリアンナが危なっかしい。


 傷付いたら危険だ。取り上げておこう。


「ひいっ」


 何を勘違いしてるのか。ユリアンナが私を見て怯えているように見える。

 

 自分の命より大切な番を傷つける神龍の子孫はいないのに。ユリアンナはおバカさんだな。


「どうぞ、存分に触りなよ。」


 ぶるぶる震える手が差し出された。触りやすいようにユリアンナの前に片膝をつく。


 震えるその手に触れて髪へと導く。


 可愛い可愛い私の番。その甘い薫りにおかしくなりそうだ。

 

 今まで何年もの間、我慢に我慢を重ねてきた自制心が焼ききれそうだ。


 おずおずと髪に触れられる感触に夢じゃないと泣きたくなる。

 だが、だんだんと遠慮なく髪を撫で回し始めたユリアンナに一言だけ言いたい。男の自制心舐めるなよと。


 髪は逆鱗が変化したもの。身体に直接触れられるより感覚はダイレクトに伝わる。

 快感に暴走仕掛けた私の異変に気付いたのか、ユリアンナが手を引く。


 もう逃さないよ、ユリアンナ。その手首を掴んで、私の残りの髪を全て握らせる。


 万が一にでも放さないように彼女の手の上から私の掌を重ねた。


 彼女を見つめる視線が交差する。ずっと視線を逸らされ続けてきた男にいきなりそれは刺激が強すぎる。


 我慢できない。だけど、その前にちゃーんと正式な儀式を済ませて置こうね。


 ほら、ちょうど良いサイズの短刀がここに。


 彼女への思いの詰まった髪をザックリ切り落とした。



「ユリアンナ、私の髪が欲しかったのならいつでも言ってくれれば良かったのに。」


 気が変わったん時点で言ってくれれば、私はこんなに苦しまずに済んだし。


 鳶に油揚げをさらわれることもなかったんだ。


 ユリアンナの心を奪った男のことを思い出し、はらわたが煮えくり返る。

 



 ぶるぶる震えてる可愛い我が番は、とっとと閉じ込めてしまおう。


 黒い考えに支配される。


 ああ、そういえば史上最弱と言われた5代目国王は髪を切った事を盾に番を脅したんだっけ。

 

「そう言えば、好きな人がいるって言ってたけど。私の髪をこうした責任とってくれるんだよね。いいよね。」


 手記を読んだ時は、なんて卑怯なって思ってけれど、今思えば最善だったんだな。



「……。」


 沈黙は肯定として受け取っておこう。間男め、見つけ次第八つ裂きにするからな。


 

「さあ、式まで三ヶ月しかないから、いろいろ準備もあるし今日から私の宮に泊まりこめばいいよ。ね、愛おしい私の番。」


 じっくり身体から堕とせば良い。ユリアンナを抱き上げた。

 甘く甘く香り立つ番の薫り、蕩けそうに潤んだ瞳。

 たくさん愛し合おうユリアンナ、他の男なんて思い出せないくらい愛すると誓うよ。



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