41.召喚
とりあえず、召喚物にしてみます。続かなそうだったら別のジャンルに変更するかもです
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???視点
……眩しい。
最初に感じたのは、それだった。
「――っ!?」
次に襲ってきたのは、急激な浮遊感。
足場そのものが消えたかのような感覚に、思わず声が漏れる。
「な、なんだ……?」
目を開くと、そこは見覚えのない場所だった。
足元には淡く光る複雑な模様――魔法陣。
円の内側には、俺と同じように戸惑った表情を浮かべたクラスメイトたちが立っている。
「……ここ、どこだ?」
「え、なにこれ……ドッキリ?」
誰かがそう言う。
だが、冗談めいた口調とは裏腹に、全員の顔は引きつっていた。
「さっきまで……俺、学校に……」
確か、帰りのHR中だった。
夕焼けをぼんやり眺めながら――それで……。
「召喚、成功しました!」
前方から響いた声に、全員がびくりと肩を跳ねさせる。
豪華な装飾が施された広間。
その奥、壇上に立つローブ姿の人物が、こちらを見下ろしていた。
「異世界より集いし勇者候補の皆さま。どうか落ち着いて我が王の言葉をお聞きください」
……勇者?
理解が追いつかない。
混乱する意識の中で、ふと一人の人物に視線が引き寄せられた。
――何か、違う。
黒い瞳。
人智を超えた美しさを持つ顔立ち。
そして何より、背に広がる黒く美しい翼。
この状況に似つかわしくないほど、静かで落ち着いた佇まい。
まるで――
この事態そのものを、最初から知っていたかのような。
その瞬間、背筋に冷たいものが走った。
(……あれ?)
理由は分からない。
ただ、本能が告げている。
――あの人は、俺たちと同じ“召喚された側”じゃない。
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ルナス視点
(ん……呼ばれたのは、十六人くらい?)
魔法陣の中心で、ルナスは静かに周囲を見渡していた。
(もっと多かったはずだよね。……あぁ)
内心で、軽く息をつく。
(途中で“落ちた”か)
召喚。
それは、ありとあらゆる存在を術者のもとへ引き寄せる高等魔術。
同一世界の存在を複数呼び出すだけでも成功率は低い。
数が増えれば増えるほど座標はズレ、次元は歪み、いくつかは――消える。
(それを世界越え、しかもクラス単位、ね)
三十人前後。
全員を無事に転移させるなど、常識的に考えて不可能だ。
(術式が甘い。……まあ、そこまで想定しろって方が酷かな)
何人かは、次元の狭間に弾かれた。
何人かは、そもそも固定に失敗した。
そして――
(……龍は、完全に“想定外”)
本来、この魔法陣が呼ぶはずのない存在。
弱体化しているとはいえ、“龍”。
それでも術が成立してしまったのは――
ルナスは、わずかに口角を上げる。
(運が悪いのか。それとも、運が良すぎたのか)
ちらりと、こちらを警戒する視線を感じる。
(もう気づいたやつもいるか)
魔法陣の光が、ゆっくりと収束していった。
(……さて。召喚主は、どう反応するかな)
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???視点
「勇者の皆様、混乱されているとは思われますが、どうか落ち着いてお聞きください」
ローブ姿の男が一歩前に出て、そう切り出した。
「私はアストレア王国国王、レオンハルト・アストレア。
この度は、勇者の皆様のお力をお借りしたく――」
「ふざけるなよ!」
鋭い声が広間に響いた。
声を上げたのは、担任の魚町先生だった。
「勇者? アストレア王国?
何をふざけたことを言っているんだ!」
先生は壇上を睨みつけ、一歩も引かない。
「いいか! これは立派な誘拐だぞ!
たとえドッキリやテレビ番組だったとしても犯罪だ!」
周囲のクラスメイトたちが、ざわりと揺れる。
誰もが、言葉にできなかった不安を代弁された気がした。
「理解したのなら、今すぐ私たちを元の場所へ戻せ!
それと――いなくなった生徒たちを返せ!」
王国側の人間たちが、一斉に沈黙する。
レオンハルト王は、すぐには答えなかった。
数秒の沈黙の後、深く息を吸い――ゆっくりと頭を下げる。
「……ご指摘は、もっともです」
その姿に、どよめきが走った。
「我々の行いが、あなた方の世界の倫理に反していることは理解しています。
恐怖と混乱を与えてしまったこと、心より謝罪いたします」
だが、と王は顔を上げた。
「それでも……我々には、他に手段がなかった」
「言い訳をするな!」
魚町先生が食い下がる。
「理由があれば、何をしてもいいのか!?
子どもたちを巻き込んで――」
「……お戻しすることは、できません」
王の言葉が、静かに、しかしはっきりと告げられた。
広間の空気が、凍りつく。
「召喚は不可逆。
すでに世界を越えてしまった魂を、元の場所へ正確に送り返す術は存在しないのです」
「な……」
誰かが息を呑む音がした。
「そして――」
王は、魔法陣へと視線を向ける。
「今回の召喚で、すでに……全員が揃っていない」
胸が締め付けられた。
「……失敗した者たちが、いる」
ざわ、と悲鳴にも似た声が上がる。
「失敗……って……」
「それ、どういう……」
俺の喉が、ひりついた。
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ルナス視点
(あー……言っちゃったか)
ルナスは、内心で肩をすくめた。
(まあ、隠し通せる話じゃないよね)
誘拐。犯罪。倫理。
それらが正しいことは、元人間だったルナスにも分かる。
(でも――)
王、教師、そして怯える生徒たちへ視線を巡らせる。
(この人たち、もう引き返せないところまで来てる)
術式は完了している。
魂は固定され、世界は確定した。
(今さら「ごめんね」で終わる話じゃない)
黒い翼を、わずかに揺らす。
(さて……)
このまま傍観するか。
それとも――
(少しだけ、口を出すかな)
ルナスは、楽しげに目を細めた。
いかがでしたか?楽しんでもらえたのなら幸いです。
見にくい、ここの文章がおかしい、面白くない、などありましたら教えて頂きたいです




