38.終わり
この設定でやり始めたの後悔してます
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ルナス視点
「いやー……いいね! 絶体絶命からの覚醒! 王道だけれど、好きなジャンルだ」
ルナスは玉座の上で、子供のように嬉しそうに手を叩いた。
だが、その笑みは一瞬で冷たく消える。
「はー……飽きてきたな」
その声音は、先ほどまでの軽さとはまるで別人のものだった。
空気が凍る。
黒い羽が一枚、音もなく床に落ちる。
「やっぱり、物語は“見る側”の方が性に合ってる。演じるのは疲れるんだよね」
ルナスは頬杖をつき、虚空を見つめながら呟いた。
「カイゼルを演じるのも……もう、めんどくさくなってきたし」
唇の端に、微かな嘲笑が浮かぶ。
「――そろそろ終わらせようか、ルネ」
その言葉に、背後の空気が震えた。
音もなく姿を現したルネは、片膝をつきながら頭を垂れる。
「……了解しました、マスター」
ルナスはゆっくりと立ち上がる。
玉座の周囲の闇が波打ち、空間が歪む。
「ここに――幕を引こう」
その声が響いた瞬間、
遠くの戦場で、再び空が軋んだ。
セリスたちが見上げる空の向こうで、黒い裂け目が開き始める。
まるで“語り手”が、物語そのものを閉じようとしているかのように。
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セリス視点
「あれは……?」
誰よりも先に空を見上げたルミナの声が震える。
戦場の上空――闇が広がっていた。
まるで世界そのものが“上書き”されるように、空の青が黒に染まり、星々の輝きが吸い込まれていく。
「……カイゼルの闇だ」
セリスは即座に判断する。
銃を構えたまま、魔力の波動を読み取る。だが、そこにあるのは既知のものではなかった。
(……おかしい。ルナスが動くには、まだ時間があるはずなのに……)
「セリス、どうする!?」
カリナが叫ぶ。崩れかけた瓦礫の上で、まだ立ち上がれない仲間たちを支えている。
セリスは一瞬だけ空を睨み、すぐに決断した。
「――全員、一度本部に撤退する!」
鋭い声が響くと同時に、仲間たちの間に緊張が走る。
ルミナが結界を張り直し、カリナが肩に手をかけて頷く。
「本部まで持たせる、今のうちに!」
「了解!」
イリスが最後尾を警戒しながら、崩壊した都市の残骸を抜けていく。
そのとき――
セリスの視界の端で、空の闇が“形”を成した。
人の形をしている。
けれど、それは人ではない。
闇の中からゆっくりと姿を現した“それ”を見て、セリスは息を詰めた。
(まさか――ルナスが……直接……?)
空が軋む。
黒い裂け目の奥から、聞き慣れた声が囁いた。
『――やあ、セリス。いい戦いだったね』
その瞬間、銃口を構えるセリスの手が震えた。
その声には、明確な“終わり”の意志があった。
まるで、神がページを閉じようとしているかのように。
いかがでしたか?楽しんでもらえたのなら幸いです。
見にくい、ここの文章がおかしい、面白くない、などありましたら教えて頂きたいです




