表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍は世界を渡る  作者: 人外主人公大好き
1章 魔法少女の世界
35/48

35.始まり

続きです

――――――――

皇国・戦略会議室


「――今後の対カイゼル戦について、正式に作戦部を再編する」

イリスの声が響くと、場の空気が一気に引き締まった。


セリスは腕を組み、静かに頷く。

「少数精鋭の案、正式採用ってことだね」


「そうだ。サイカ様の予知を無視するわけにはいかない」

イリスは壁面の魔導パネルを操作し、四つの部隊名を映し出す。

•第一戦術部隊〈ヴァルナ〉:主力。セリス・カリナが所属。

•第二魔導解析班〈アルマ〉:ルミナが担当。敵の魔力解析と封印術。

•第三観測班〈オラクル〉:サイカ直属。未来予知と星の魔力監視。

•第四特務班〈イグニス〉:諜報・暗殺任務。イリス指揮下。


カリナが口を開く。

「へぇ、なかなか面白そうじゃん。でもセリス、また無茶すんなよ?」


「……気をつけるよ」

セリスは微笑むが、目の奥は覚悟に満ちていた。


その時――


「報告です!」

兵士が駆け込む。

「北部境界線に異常な魔力反応を確認! 恐らくゼロによるものかと!」


一瞬で空気が張り詰める。


イリスが低く言い放つ。

「……来たな」


セリスは椅子から立ち上がり、銃を手に取る。

「行こう。――ここからが本当の始まりだ」


――――――


廃墟のような大地に冷たい風が吹き抜ける。

月明かりの下、瓦礫の上に立つゼロの姿は、まるで影そのものだった。


「……来たか」

ゆっくりと顔を上げる。残された片腕に宿る魔力が、鈍く紫に光る。


対するセリスは、コートの裾を翻しながら銃を構えた。

「やあやあ、久しぶりだね。僕に吹き飛ばされた腕はくっついたかい?」


ゼロは薄く笑う。

「……愚問だな。カイゼル様の恩寵により、失ったものなど容易く取り戻せる」


「へえ、そう。便利なご主人だこと」

セリスは銃口を軽く傾け、魔力の装填を始める。

背後では、カリナの剣が月光を反射し、ルミナの魔法陣が静かに展開されていた。


ゼロの足元から黒い影が地を這うように広がっていく。

「この場で消し去る。お前たちは“世界の矛盾”だ」


「そんなセリフ、悪役が言うときのテンプレだよ?」

セリスの口元にわずかな笑みが浮かぶ。

「でもいいさ。――君を倒せば、“始まり”に近づける気がする」


ゼロの瞳が赤く光る。

セリスの銃身が閃光を放つ。


夜の静寂が、一瞬で砕け散った。

銃声が夜空を裂き、弾丸が光の軌跡を描き、ゼロへと迫る。


だが、ゼロは微動だにせず、黒い影が弾丸を飲み込む。

「……無駄だ。カイゼル様の影は、あらゆる攻撃を呑み込む」


「だったら――その影ごと貫くまでさ!」

セリスは銃を素早く回転させ、魔力を上乗せする。

引き金を引くたびに、空気が震え、爆ぜる光が戦場を照らした。


カリナが前に飛び出す。

「おらぁッ!」

炎を纏った剣で影を切り裂くが、裂け目から無数の腕のような影が伸び、彼女を掴もうとする。


「ちっ……ウザい!」

一閃。カリナは反射的に剣を振り払い、影を焼き切る。


ルミナが後方で呟く。

「……広域で焼くね」

指先に光が宿ると、無数の魔法陣が宙に浮かび、雷撃が降り注いだ。


ゼロは眉ひとつ動かさず、片手を掲げる。

「闇よ、喰らえ」

雷が影に飲まれ、光は消える。


イリスが即座に距離を詰め、短刀を構える。

「無駄口が多い」

無音の一閃がゼロの頸元を狙うが――影が一瞬、彼女の動きを止めた。


「……浅いな」


「なら、深くするまでだ」

イリスは無表情のまま、再び刃を振るう。


戦場を魔力の光と影が交錯する。

その中心で、セリスの瞳が鋭く光る。

(影が動くたびに、魔力の流れが一瞬だけ乱れる……!)


セリスは瞬時に構え直し、銃口をゼロの右足に定める。

「動きを止める!」


引き金を引く――

弾丸が直撃し、ゼロの足元の影が弾け飛ぶ。


「ッ……!」

ゼロの動きがわずかに止まった。


「今だ、カリナ!」


「任せとけぇ!」

カリナが跳び上がり、炎を纏った刃を振り下ろす。


轟音。

地面が爆ぜ、炎が夜空を照らす。


煙の中から、ゼロの姿が現れた。

ボロボロになりながらも、なお立っている。


「……さすがだな。だが――」

胸の中心、黒い光が脈打つ。


セリスが眉をひそめる。

「まさか、それ……」


「“主”の断片だ。貴様らなど、これひとつで滅ぼせる」


黒い光が暴走し、空間が歪む。

次の瞬間、視界が一面、闇に染まった。


―――――――

カイゼル(ルナス)視点


視界が闇に包まれ、戦場の輪郭はほとんど消えた。

ルナスは玉座のような高みから、じっと観察している。


「ありゃ……」

思わず声を漏らす。


「マスター、どうかされましたか?」

従者のルネが尋ねる。


「うーん……セリスたちが影に入っちゃった」

ルナスは黒い翼を軽く揺らし、闇に広がる影の気配を確認する。


「それは……いいのですか?」


「よくないね」

ルナスは首を振る。

「見えにくいのが一番だけど、あそこは魔力が濃すぎる。魔法少女は耐えられないかもしれない」


影の中で、セリスとゼロの戦いは続く。

銃弾と魔法の光が闇に浮かぶ影の中で交錯し、無数の黒い手が飛び交う。


ルナスは黒い瞳を光らせ、冷徹に観察する。

(……この濃度なら、魔法少女はかなり制限されるね)


影の波動と魔力の揺らぎを追いながら、ルナスは静かに笑みを浮かべる。

(さあ、次はどちらが先に手を出すか……)


戦場では、セリスが影の動きを見極め、銃口を定める。

カリナが炎を纏った剣で次々と影を切り裂き、ルミナが雷撃で広域を焼き払い、イリスは刃の軌跡でゼロの動きを縛る。


しかしゼロは影の中で悠然と立ち、黒い光の塊が胸で脈打つ。

ルナスの観察眼は、体内にある“主の断片”を正確に捉えていた。


(……やっぱり、あの断片はオーバースペックすぎたね)


ルナスは黒い尾をゆっくり揺らし、楽しむかのように戦況を見守る。


闇の中、セリスたちの銃火と魔法が渦巻き、ゼロの影がそれを飲み込む。

ルナスは冷静に息を吐き、次の展開を待つ。


(うーん、ジリ貧だね……この状況ならピンチをチャンスに変えても大丈夫だよね?)


いかがでしたか?楽しんでもらえたのなら幸いです。

見にくい、ここの文章がおかしい、面白くない、などありましたら教えて頂きたいです

愉悦の神はもうしません

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ