33.龍は次の手を考える
短いです
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カイゼル(ルナス)視点
地面の裂け目から黒い影が溢れ、人影がゆっくりと浮かび上がる。
「…はぁ、はぁ……カイゼル様、御身の前に」
片腕を失い、息も絶え絶えなゼロが膝をつき、深く頭を下げる。
「……無様だな」
カイゼル、冷ややかにゼロを見下ろす。
その瞳は漆黒に輝き、体の一部分のの黒い鱗が光を反射して微かに震えた。
「……申し訳ございません」
「その腕は、セリスが?」
「はい……」
ルナスは玉座の上で静かに考え込む。
(うーん……あれは単なる破壊ではない。腐食も混ざっている。愉悦の神に対して出した力が、セリスにはまだ及んだのか。
繋がりが完全に消えていなかったのが、まずかったな……)
「カイゼル様?」
ゼロの震える声が沈黙を破る。
「……すまぬ、考え事だ」
カイゼルは視線をゼロに戻す。
「しかし油断したな、ゼロよ。確かにあれは妾の木端だ。だが木端とはいえ、妾の力を引き継いでいる」
ゼロの瞳に悔しさが滲む。
「まあ、よい……お前は下がれ」
「……御意」
ゼロは影に潜り、静かに姿を消す。
ルナスは玉座に座ったまま、黒い尾をゆっくりと揺らす。
「……行ったね」
横に立つルナ――影の従者が慎重に口を開く。
「申し訳ございません、マスター。一体くらいはこういう存在もいた方が物語として面白いと思いまして」
ルナスは肩をすくめ、ため息をつく。
「確かに、あんなのも必要だろう。しかし、対応する身にもなってほしいものだ」
「アイツ、全部本気で信じてるんだよ。カイゼルが星の魔力を手に入れようとしているとか、セリスやカイゼルが組織で作られたとか。全部設定なのに……」
ルナは慎重に答える。
「マスター、全てを知る者が増えては、物語は成立しません」
「そうだけどさ……演技とはいえ、面倒なものは面倒だよ」
ルナスは視線を遠くに泳がせ、黒い翼を軽く揺らす。
その瞬間、口元に笑みを浮かべる。
「………セリスが魔法少女たちに“カイゼルの分身”という設定を伝えたな。いい設定だ、使わせてもらおう」
ルナスの瞳が悪戯っぽく光る。
――この世界の物語は、まだ始まったばかりだった。
いかがでしたか?楽しんでもらえたのなら幸いです。
見にくい、ここの文章がおかしい、面白くない、などありましたら教えて頂きたいです




