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龍は世界を渡る  作者: 人外主人公大好き
1章 魔法少女の世界
32/48

32.結束

遅くなりましてすいません

続きです

――――――――


皇国・医療室


白を基調とした無機質な部屋に、機械の音だけが静かに響いていた。

規則正しく点滅するモニターの光が、ベッドに横たわるセリスの顔を淡く照らしている。


「……目を覚ましたか」

低い声とともに、カーテンの向こうからイリスが現れた。

腕には包帯が巻かれ、目の下には疲労の色が滲んでいる。


セリスはまぶたをゆっくりと開き、天井を見上げながら息を漏らした。

「……ここは……?」


「皇国の医療室だ。あの戦いのあと、お前は意識を失っていた」


イリスの声には安堵と、わずかな怒気が混ざっていた。

「まったく……あんな無茶をして。死ぬ気だったのか」


セリスは目を伏せ、小さく笑う。

「……そうかもね。でも、勝てたなら安い代償だよ」


「勝てた? やつは逃げたんだぞ」

イリスの声がわずかに震える。


セリスはゆっくりと視線をイリスに向けた。

「……“逃げた”じゃない、“撤退した”だよ。あれはまだ死んでいない」

「それに――僕らが生きているのなら、それで勝ちだよ」


「……気楽だなお前は」

イリスが呆れたように息を吐く。


セリスは小さく笑いながらも、まっすぐイリスの瞳を見据えた。

「……で、何か聞きたいことは?」


「…………」

重い沈黙が、二人の間に落ちる。


やがてイリスが目を伏せ、静かに言った。

「……皆の前の方がいいかもしれないな」


「……そうだね」

セリスは軽く頷き、ベッドの上で深く息を吐いた。


機械の規則的な音だけが、静かな部屋に響いていた。


――――――――


皇国・司令室


硬質な空気が漂う部屋の中央に、円卓が置かれていた。

壁面の魔導パネルには、先日の戦闘データとゼロの姿が投影されている。


「……全員、揃ったな」

イリスが前に立ち、全員の視線を確認してから口を開いた。

その隣には、まだ包帯を巻いたままのセリスが静かに座っている。


重い沈黙が場を支配していた。

誰もが――あの戦いの終わり方を、そしてゼロの言葉を忘れられずにいた。


「……さて、セリス」

イリスがわずかに視線を向ける。

「お前が“話す”と言っていたこと――今、聞かせてもらおう」


セリスは小さく頷き、目を閉じて一度深呼吸をする。

そして、ゆっくりと口を開いた。


「……あのゼロが言っていたこと。嘘じゃない。

 ――僕は、カイゼルの“分身”として造られた存在だ」


ざわめきが走る。

数名の隊員が息を呑み、イリスの表情も一瞬だけ揺らいだ。


セリスはその反応を受け止めるように、まっすぐ前を見据える。

「僕がこの力を持っているのも、ゼロやカイゼルと“同じ系統”だからだ。

 ただ……僕自身は、カイゼルの意思からはもう切り離されている」


イリスが静かに問う。

「……“切り離された”とは?」


「簡単に言えば、僕は失敗作なんだ。

 感情が芽生えた時点で、制御を失った――それが理由で処分されるはずだった」

「まあ、その前に組織は壊滅したけどね」


短い沈黙。

最初にそれを破ったのは、カリナだった。


「……はぁ? 分身だぁ? そりゃ冗談だろ」

腕を組みながら眉をしかめるが、その顔に動揺はない。

「けどまあ……そういや妙に人間離れしてたしな。納得っちゃ納得か」


イリスが冷静に問う。

「カリナ、お前はそれで納得できるのか?」


「できるもできねぇも、今まで一緒に戦ってきたんだ。

 あいつが敵の手先なら、とっくにアタシら殺されてる。違うか?」


セリスは目を伏せ、小さく笑みを浮かべた。

「……ありがと、カリナ」


「礼なんざいらねぇよ」

カリナはそっぽを向き、鼻を鳴らす。

「裏切る気がねぇなら、それでいい」


ルミナがソファにもたれたまま、片目だけを開く。

「……で、カイゼルはどうするの」


「倒すよ」

セリスの返答は即答だった。

「たとえ自分が奴と同じ存在でも、放ってはおけない」


ルミナは短く息を吐き、肩をすくめる。

「……なら、そうすれば」

それだけ言って、また目を閉じた。


静寂の中、サイカが立ち上がる。

巫女服の袖が静かに揺れた。


「……セリス様」

その声は柔らかくも、どこか神聖な響きを帯びている。

「貴方の存在が“造られしもの”であろうと、心に宿る光まで偽りではありません。

 皇国の巫女として、私は――貴方を信じましょう」


セリスの瞳が揺れる。

その言葉には、誰よりも深い“赦し”と“信頼”があった。


イリスが静かに頷き、全員を見渡す。

「……決まりだな。セリスは、これからも我々の仲間だ」


カリナが口の端を上げて笑う。

「へっ、最初っからそう言ってんだよ」


ルミナは小さく微笑み、サイカは祈るように目を閉じる。


こうして、真実が明かされた日

だがその静寂の裏で、別の影が――動き始めていた。



いかがでしたか?楽しんでもらえたのなら幸いです。

見にくい、ここの文章がおかしい、面白くない、などありましたら教えて頂きたいです

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