31.代償
短いです
「まあ、普通ならね」
セリスは握った拳を開き、指先を軽く広げた。
「……策があるのか?」
イリスが慎重に問いかける。
「うん」
セリスは軽く頷く。
「そうか。私は何をすればいい?」
「見てて」
セリスの視線は、鋭くゼロを捉えていた。
「は? 見ててとは……」
イリスの問いに答えることなく、セリスはそのまま飛び出す。
「おや、1人だけか?」
ゼロが微笑み、腕を組むように構えた。
「はは、君なら僕1人でもどうにかできるんだよ」
「ほう? ならやってみ……」
ゼロが言葉を紡ぎかけた瞬間、セリスは動きを止めずにナイフを生成した。
鋭い刃が閃き、ゼロの腕を切断する。
一瞬の出来事に、空気が凍りつくようだった。
「がぁ……貴様、吾輩の腕を何故! どうやって──」
「…やっぱりね。なぜかは知らないけど、数週間前にこの力を身につけた。これはあらゆるものを腐らせ、破壊し、消滅させる力だよ」
「この力なら君を殺せる」
セリスの声は静かだが、確信に満ちている。口元から血が一筋垂れ落ちた。
「使えるのは、この力を弾に込めたものを一日に三、四発くらいだけ。今回は無茶したよ」
セリスは短く笑い、痛みに耐えるように拳を締める。
ゼロは腕から飛び散った血を見下ろし、口元が歪む。怒りと驚愕が混ざった声が漏れる。
切断された側の腕からは黒い煙のようなものが立ち上り、空気に嫌な匂いが満ちたが、それはすぐに引き攣るように収縮して消えた。
ゼロの目が鋭く光る。
「生きて帰れると思うなよ……っ!」
そのときゼロが止まる。
「はっ……了解しました、カイゼル様」
ゼロは空に向かって話しかける。まるでそこにいる誰かと会話するかのように。
「……ここまでだな。カイゼル様より帰還の命令が下った。運が良かったな、貴様ら」
「…君の方が運が良かったね」
セリスは嘲るように言う。
「……貴様は必ず殺す」
狂気じみた笑みを浮かべると、ゼロの影が床いっぱいに広がり、その身体を飲み込んでいった。
「……行ったようだ」
イリスが周囲の気配を探る。
「………」
セリスが膝から崩れ落ちる。
「セリス!」
冷たい風だけが戦場に残り、瓦礫の間に静寂が戻った。
いかがでしたか?楽しんでもらえたのなら幸いです。
見にくい、ここの文章がおかしい、面白くない、などありましたら教えて頂きたいです




