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龍は世界を渡る  作者: 人外主人公大好き
1章 魔法少女の世界
24/37

24.決別

今回は短めです

―――――――

二日後、セリスに支給された施設にて。


「明日から僕が先生かー、実感ないよね」

「……うん、誰もいないよー」


セリスは広々とした空間の真ん中に立ち、空に向けて独り言を漏らしていた。

ここは彼女に支給された“実験用施設”――防音も結界も完璧で、外部に気配が漏れることはない。


「うん、魔法少女たちから僕だけの施設もらったんだー。ここなら喋れるし、何なら本体も来てもいいよー」


その瞬間、空間がぴしりと音を立て、裂けた。

亀裂から淡い光が漏れ、次の瞬間、その中から人影がぬるりと現れる。


「よっ」


現れたのは、ルナスだった。

その姿は影のようでありながら、どこか月光を思わせる柔らかな輪郭を持っている。


「久しぶり、本体」

「いや、カイゼルの方では何回か会ってるね」


ルナスも微笑みを返す、その瞳は全てを見通すように透明だった。

「そうだね。こうして“ちゃんとした形”で会うのは初めてかな」


ルナスはゆっくりと施設の中を見回す。

「ここ……思ってたより快適そうだ。結界も厚いし、監視の目もない。さすが“先生”の支給品って感じ」


「まあね」

セリスは肩を竦め、軽く笑う。

「本体と話すには、こういう場所がちょうどいいと思ってたんだ」


ルナスは意味深に笑った。

「で、明日から“先生”やるんでしょ? 君が子供たちに何を教えるのか、ちょっと楽しみだな」


セリスは手をひらひらと振りながら息をつく。

「僕自身もね。どうなるかは……やってみないとわからない」


空気の中に、わずかな緊張感と、二人だけが知る秘密めいた親密さが漂っていた。


「で? 本体……呼びにくいね。ルナスって呼ぶよ。ルナスは今後どうするの?」

セリスが肩の力を抜いて尋ねる。


「今後ねー、こっちとしては、セリス、君がどう動くかで決めるつもりだよ」

ルナスは淡い微笑を浮かべる。

「君が魔法少女たちを裏切るのか、それとも最後まで共にいるのか――それ次第ってことさ」


セリスは静かに息を吐き、瞳を強く光らせた。

「……僕はこの星で生まれた。例え、ルナス……君の分身として作られたとしても、僕はこの星で生まれたものとして、この星を守るよ」


その言葉に、ルナスは微かに肩を揺らすように笑った。

「……ふふ、もはや分身とは呼べないね。いいよ、セリス、君を個人として認めよう」

「だから、これからは接触や連絡は無しだ」


その空気が一変する。ルナスの雰囲気が鋭く変わった。

「これからは、妾とお主たちとの戦いだ。ルナスではなく、カイゼルとして相手しようぞ」


「……はは。ルナスはキャラの切り替えがすごいね」

セリスは冷や汗を滲ませる。例え演技だとしても、怖いものはやはり怖い。


「そうさな。一度やり始めたのなら、最後までやり抜くことが妾の信条だからの」

カイゼルの口調には揺るぎない覚悟が宿っていた。


「では、またな、セリスよ。次は戦場で会おうぞ」

カイゼルの声が響き渡ったかと思うと、空間を裂くように姿を消していった。


いかがでしたか?楽しんでもらえたのなら幸いです。

見にくい、ここの文章がおかしい、面白くない、などありましたら教えて頂きたいです

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