22.正体
続きです
「……言ってたな、そんなこと」
カリナが口を開く。
「……いい、今はどんな情報でも欲しい。話してくれ」
「おっけー……話すのはいいんだけどさ、いい加減この光輪、解いてくれない?」
セリスがルミナを見やる。
「ごめーん、忘れてたよ」
ルミナが苦笑いしながら手を動かすと、セリスを覆っていた光輪はゆっくりと消えた。
「よし、息苦しさがなくなったね」
セリスが肩を回す。
「で、カイゼルのことかい? あいつの目的は話したから、次は能力とか性格とかだね」
「うーん……能力か。魔法は持っていないね。単純な身体能力がメインだ」
セリスは淡々と言った。
「いや、俺の炎弾をモロに食らってもピンピンしてただろ」
カリナが口を挟む。
「あれねー、酷いよね。竜族は元々魔力耐性が高いのに、カイゼルは改造でさらに強化されてるんだから。魔力由来の攻撃なんて、ほとんど意味ないと思うよ」
セリスが苦笑する。
「それでは、サイカの神託にいない理由にはならんぞ」
イリスが冷たく言う。
「それはねー……ねぇ巫女様、女神って比喩? それとも本当にいるの?」
セリスが軽く首を傾げて問いかける。
「……そうですね。確かに比喩ではございます」
サイカは静かに答え、瞳に微かな光を宿した。
「私の神託は、実を言えば未来予知にあたります。魔法少女や国、そしてそれぞれの未来を予知し、それらを組み合わせて神託としているのです」
「もちろん、国はこの仕組みを理解しております。しかし国民に対しては、わかりやすく、希望を持てるように神託として説明しているのです」
「その……魔法少女の未来予知って、どうやってるの?」
セリスが素直に尋ねる。
「――妖精です」
サイカは即答した。
「妖精?」
セリスが首を傾げる。
「ええ、この際だからお話ししておきましょう。私が契約している妖精は、妖精界の“女王”なのです。女王は妖精たちの未来を知ることができ、その力を私が借り受けて未来を見ているのですよ」
「先程の女神様は、女王の比喩でもあるのです」
サイカが静かに補足する。
「なるほど」
セリスが小さく頷いた。
「で、これを聞いて何になるのー?」
ルミナが首を傾げ、セリスに問いかける。
「ああ、これでカイゼルが何故見えなかったのか、具体的にわかったよ」
セリスの声には淡い笑みが混ざる。
「なんだって?」
イリスが少し身を乗り出す。
「簡単なことさ。カイゼルは妖精と契約していないからね」
セリスは肩をすくめ、軽く答えた。
「……妖精と契約せずに、あれだけの力を?」
カリナが少し怯えた声で呟く。
「まあ、それに、その理論でいくと……僕の未来も見えないのかな」
セリスは肩をすくめ、軽く笑った。
「「「え?」」」
三人の声が重なり、驚きが一瞬で場を支配する。
「巫女様、どうですか? 僕の未来は見えますか?」
セリスが問いかける。
「やってみますね……」
サイカの顔が次第に青ざめていく。
「た、確かに……セリスさんの未来が見えません」
彼女の言葉に、場内の空気が一層張り詰めた。
「どういうことだ、セリス。貴様は自分を“魔法少女”だと言っていたではないか」
イリスが声を荒げる。
「うん、そうだね。正確に言えば“魔法少女もどき”になるのかな」
セリスはあっさりと肩を竦める。
「もどき?」
カリナが食い気味に問い返した。
「そう、もどき。……せっかくだから僕の出生でも話そうか」
セリスは淡々とした口調のまま、しかし目だけは笑っていなかった。
「僕は、ある“組織”で生まれた。もちろん、両親なんていなかったよ」
言葉の端々が冷たく響く。
「そこには、いろいろな“サンプル”があった。魔物、人間、魔法少女……様々な種族。それらを“こねこね”混ぜ合わせて出来たのが、僕――セリスこと、R型537番だ」
重く、乾いた静寂が場に落ちた。
誰もすぐには言葉を返せなかった。
いかがでしたか?楽しんでもらえたのなら幸いです。
見にくい、ここの文章がおかしい、面白くない、などありましたら教えて頂きたいです
セリスのはルナスが考えた設定でそんな組織は存在しません
ルナスの力を使えば最初からあったとして割り込めますがめんどくさいのでやってません