13.確保
短めです
しばらく魔法少女側の視点が続きます
⸻静寂。
「……行ったか」
カリナが炎剣を下ろし、肩で息を吐く。
「なんなのさ、あの竜族は……」
ルミナは腕をさすり、珍しく真剣な声音を漏らした。
イリスは無言のまま氷の結晶を解き、鋭い視線をセリスへ向ける。
「……さて。竜は去った。残る問題は――君だ」
セリスはライフルを肩に掛け直し、にやりと笑った。
そして――
「降参〜」
ひょいと両手を上げる。
「……随分と素直だな」
イリスの声は冷ややかだった。
「そりゃあ、皇国のSランクが勢揃いしてるんだもん。無理だよ、無理無理」
セリスは軽口を叩き、肩をすくめる。
「ほう? まるで、私一人ならどうにかなるとでも言いたげだな」
イリスの目が細まった。
「はは。実際、イリス一人なら勝てそうではあったよね」
セリスの視線は、意識を失ったイリスの仲間たちへと滑った。
「……何故か足手まといしか連れてなかったし」
挑発めいた口調に、カリナの炎が一瞬だけ燃え上がる。
「テメェ、俺たち魔法少女を舐めんなよ!」
カリナが炎剣を握り、セリスの首元へ突きつけた。
「…ここまで来て、まだひよってるのかい?」
セリスは薄く笑い、動じることなく首元に刃を当てる。
「なっ!」
刃が薄皮をかすめ、わずかに血が光る。
「脅しなら、ここまではやらないとね」
セリスの声は冷静そのものだった。
カリナは慌てて剣を引っ込める。
「おい!危ないだろ! それに自分の体は大事にしろよ!」
ルミナが腕を組み、少し呆れた表情で口を挟んだ。
「はー、感情だけで突っ走るからそうなるんだよー」
「でも、そうだねー。脅しならここまではやらないと」
その瞬間、セリスの周囲に異様な光が走った。
複数の剣――光を帯びた刃が宙に浮かび、すべてセリスへ向けられる。
まるで意志を持つかのように、鋭く揺らめき、夜空を妖しく反射した。
セリスは一瞬だけ視線を剣にやり、微笑を崩さなかった
「話してもらうよ――君のこととか、さっきの竜族のこととか」
ルミナは気だるげな声とは裏腹に、鋭い視線をセリスに注ぐ。
夜の空気が、緊張と光の刃で震えた。
いかがでしたか?楽しんでもらえたのなら幸いです。
見にくい、ここの文章がおかしい、などありましたら教えて頂きたいです