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グラビティムーンの独白
責任は重く、期待からは逃げられない。
小さい頃から、私は重圧の中で生きてきた。
人より強い重力で体を押しつぶされないように、下を向いて、必死に歩いてきた。
その重圧が、私にとっては辛くて、苦しくて、でも、どうしようもないくらいに逃げられなくて、結局、押しつぶされそうになりながら今までなんとか過ごしてきた。
時々、夜に浮かぶ月を眺めながら私は思う。
ああ、もしも、私があの月に行けたのなら。
この重苦しい重圧から、地球の重力から、逃げられたのなら、どれだけ幸せなことだろう?
ずっとずっと、そう思って私は生きてきたんだ。
だから、私の『これ』はきっと、ただの逃避願望。
誰かに責任を擦り付けて、自分が楽になりたいという、誰にでもあるような、ただの逃避願望。
重くて苦しい場所から、この現実から、幻想のような月の場所へ逃げてしまいたいという、滑稽な妄想。
それが私、グラビティムーン。