第9話 「女も陰湿ないじめとかせずにサシで殴り合え」
ダダダダダダダダッッッ!!!
街の中を疾風のごとく走り抜ける女2人。
しかも走りながらなんともまぁ器用に殴り合っている。見た目はさながらスタントマン。
しかしスピードがあまりに速いのでパッと見ただけでは何をしているのか全然わからないだろう。
まさかパイポジとチンポジを賭けて戦っているなんざ誰がわかるのか。
「へぇ!!!あんた以外とやるんだねぇ!!!私と並走出来る上に殴り合いが出来るなんて地球人とは思えないよ!!!」
「こっちのセリフじゃ!!!ウチと渡り合えるのはエメちゃんぐらいやった!!!なんやねんアンタァ!!!」
サーシャは50m走のタイムは6.9秒。
女子にしてはかなり速い方である。
しかし、これは全力で走っていない。
サーシャはあまりそういうのでは目立ちたくない性格でありわざと軽めに走った結果に過ぎない。
一度家付近で測った事がある。その時のタイムはなんと2.4秒。絶対にこの女地球人じゃねぇ。
因みにエメリィは元気いっぱい運動大好き女の子なので全力で走った結果3.1秒。
どっちもバケモノである。ちなみに【そういうのでは目立ちたくない】と言ったが目立ちたいのは歌やアイドルとしてらしい。女の子らしく憧れがあるのだ。まぁ残念ながら歌は下手くそである。なので近くの【シャボンタン】というボイトレ教室に通っている。
そんな女と渡り合う女、ファニィ。
見た目がセクシーなだけではないという証拠だ。
そろそろ極楽湯が目の前といった場所まで来た時である。
(クソッ!ほんとにこの女地球人なのかい!ここまで強いなんて思ってもなかった!それにコイツ走りながら屁こいてやがる!)
通行人は疾風のごとく屁をくらい気を失っていた。しかしそんな事気にしてはいられない。気にしてほしいけど。
(この異星人…!若干やけど右の鼻の穴になんか見えるけどこれ鼻くそなんかなぁ…!!!アカン、気になる!!!)
そんなもん気にするな。集中しろ。してるけど。
埒が明かない上、もう目と鼻の先まで目的の大衆浴場に来ている。そこでとっさの判断をファニィは取った。
「あ!!!なんでこんなところに小田和正が居るんだい??!?!!」
バッッ、と指を遠くに指す。
当然であるが居るわけがない。
いやまぁお忍びで来てるかもしれんけど。
兎に角今は居ない。
しかしサーシャは笑顔で目をキラキラさせながら、えぇ!?どこどこぉ!?と指の先に振り向いた。
この機を逃さずファニィはプロ顔負けの蹴りをサーシャに放った。
ンマッッッッ!!!と情けない声を出しながらサーシャは反対車線の奥まで吹っ飛んだ。
やっぱバカじゃねぇか!前回の謝罪を返せ!!!
ゴロゴロと転がるサーシャを横目にファニィは極楽湯に入店。律儀に券売機でタオルと入浴代を購入。スムーズに受付に渡した。
………なんでタオルも…?
店員にお礼の言葉を言い足早に男湯に向かう。
後ろから「そこ男湯ですよぉ!?」とかけられるも知ったことではない。装置の場所に向かうのみだ。
「痛ったぁ〜〜〜………。あ〜んのクソ女ぁぁぁ!!!どこに和正おるんなッッッッッッ!!!嘘付きやがってよぉぉぉぉぉぉッッッッッッッッッ!!!!!!」
擦りむいた頭を抑え、怒りがほぼ頂点に達する。
騙された上に蹴られて思いっきり回転してズッコケだ。許せない。必ず報復してやる。
絶対にマンコ蹴り上げてやる。下品。
それほどの憎悪を抱き、そのままなんと反対車線から大ジャンプ。
一気に極楽湯に入店した。
本来女の戦いは露骨にじみた嫌らしいものが多い。しかしここでは真剣勝負。拳の語り合いがわかりやすい。この場には嫌らしい事象など存在しえぬのだ。
いや、この勝負自体嫌らしいか。
怖い顔のまま店の玄関で全身を震わせる。
店員も少し恐怖心を抱きつつ、券売機の場所を促す。
「………金払わなアカンのか………?」
当たり前だろ。
「ウチは皆のために身体張っとるんや…。やのに金払わな中入れてくれへん言うんか…?」
口を思いっきり食いしばり目をガン開きで店員を睨む。フシューフシューと歯と歯の間から息が漏れる。
傍から見たらバケモノでしかない。
金も払わない、土産コーナーで買い物する気配もない。全身傷だらけの女が血走った目と歯ぐきが見えるほど食いしばった口で睨んでくる。しかも話す内容も支離滅裂。何をわけの分からない事を言っているのか。
内情を知っているのはあくまでも6人だけなのだ。
怖すぎる。何しに来たんだこのバケモノ女。
通報したほうがいいんじゃないか。
「えぁっ…い、一応…そういう…お、お店…なので…。」
頑張った店員さん。
若い男性である。大学生であろう。
サーシャというバケモノはそれを聞いた途端財布を弄り始めた。
恐ろしい形相で券売機のボタンを押す。
誤ってレンタルタオルも押してしまった。お前もか、サーシャ。
キャンセルボタンが分からず怒りのまま金を払い、店員からタオルをぶんどりドシンドシンと音を立てて男湯に向かった。余分に金を払ったのも憎しみの糧となる。
もう訳が分からなさすぎて注意する力もない店員たち。トラウマにならなければ良いのだが…。
最初にたどり着くのは更衣室。
「うわぁ!!!ここ男湯やぞ!!!」
「じゃかぁしいんじゃッッッッッッ!!!ウチはお前らのチンポ守ってる言うとんねんッッッ!!!有り難く思えやッッッ!!!」
意味がわからない。
形容するならば未知との遭遇。
理解が遠く及ばない。
目の前の巨漢にどけぇ!!!と叫び倒し戸を大胆に開ける。
本来ならば誰が来ようが誰も気にしない。
そもそもすっぽんぽんの男が入る場所なのだ。しかし今回は違う。本日2人目の女だ。
サーシャの目の前には例の機械の付近で裸の太っちょを踏んづけているファニィの姿が。
太っちょは少し光悦な表情を浮かべている。
Mで助かった。いや、色んな意味で助かってない。
ファニィは手の甲を口に当てて高笑い。
煽っていやがる。サーシャは白目で睨み口を大きく開く。
「よくも騙しやがったなクソ女ァァァァッッッッッッ!!!!!どっこにも和正おらんかったやんけぇぇぇぇぇッッッッッッッッッ!!!」
「あ〜んな単純なトラップに引っかかるなんてとんでもないおバカさんねぇ〜ッッッ!!!」
周りの男たちは怯えるばかり。
女が2人いきなり入ってきて叫び倒している。
これは本当に現実なのか?
一部の男は喜んでいるが、大多数は軽いパニック状態だ。
てかなんでコイツら女なのに男湯に設置したマシーンを触りに来たのか。
後2つあるんだから普通そっち選ぶだろ。
頭おかしいんじゃねぇのか。
「ぶっ殺したらァァァァッッッッッッッッッ!!!!!」
走り出したサーシャ。
いや、走ってしまった!
ここは風呂場である!滑るぞ!
やはりツルッ!!!と滑ったサーシャ。
シャワーを浴びているおっさんを大量に巻き込みながらどこまでも滑る。まるで市場のマグロ競りのようである。
「うわぁぁぁぁぁぁッッッッッッ!!!!!」
「がぁぁぁぁぁぁぁッッッッッッ!!!!」
シャワーを浴びたり頭を洗っていただけのなんの罪もないおっさんたち。
1人の女のせいでおっさん同士が絡まる絡まる。
風呂場が阿鼻叫喚と化す。
周りの男たちはその現状に慄きどうする事もできない。
サーシャはそんな事気にもとめず、おっさんを踏み倒しファニィに殴りかかる。
しかしその拳を軽く躱す。
フフフッと小さく笑うも、太っちょは汗かき。
こちらも大きく滑り、近くにいたおっさんたちの頭にエルボードロップ。
ファニィ自身は後頭部が壁に激突。
サーシャも勢いでファニィ事浴槽にドボン。
お互いに濡れながらプロレスの始まりの定番、ロックアップ。
濡れているのでサーシャはデカチチのブラジャーが透けている。しかし全然エロくない。
あまりにも怖いのだ。
殴り合う2人。
「うわぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!変な女が取っ組み合いをしとるぞおおぉぉぉッッッッッッッッッ!!!」
サーシャがファニィの髪の毛を鷲掴みし、頭突きを食らわす。
まともにクリーンヒットしたものなのでファニィもふらついてしまう。
続けざまに蹴りを入れようとすると何か引っかかって動けない。太っちょだ。
「邪魔じゃどけやブーヤンッッッッッッッッッ!!!ウチの事考えろやッッッ!!!」
こっちのセリフである。
男たちの事を考えて欲しい。風呂入りに来ただけなのに何故こんな目にあうのか。
お前が考えろよ。
怒りのまま太っちょを蹴り倒す。
本人は嬉しそうなので別にいいが。
「マシーンは手に入れたからもう用済みよッッッ!!!じゃあね小娘ッッッ!!!」
太っちょを蹴り倒している隙にストレートがサーシャの顔面にヒット。
死にかけているお爺さんをカタパルトに体操選手のような回転をしつつ大ジャンプ。
しかし濡れているせいでマシーンを手から滑らせてしまった。
その先はおっさんが。
ゴンッッッ!!!!!と鈍い音を立ておっさんは気絶。デカいたんこぶがその証拠だ。
華麗に回転しおっさんを気絶させたファニィ。
しまった!と思い着地するも下には泡が盛りだくさん。
顔面を床に殴打してしまった。
サーシャは今だ!と湯船からあがろうとすると否やケツポケットのマジックテープに何かひっかかる。
ロンゲのおっさんの髪だ。しかもほぼハゲているのにある箇所だけ髪が伸びている。
「おっさんが…髪ぃ伸ばすなやぁ…ッッッ!!!」
そんなの人の勝手でしょ。
変に絡まっているので力任せに進むサーシャ。
「痛いぃぃ!!!助けてくれぇ!!!」
ブチブチ!!!と毛根ごとかっぱらい進む。
途中めんどくさくなったのかズボンを脱ぎ可愛いらしいシャボン玉のガラパン姿になるサーシャ。
ズボンのプレゼントは毛根を頂いたサーシャなりの懺悔なのか。
しかし、失われた代償は大きい。
おっさんは悲しみの涙を流した。
鼻血を流しながら起き上がるファニィ。
すると猛スピードで何かとんでくる。
柄杓だ。
サーシャはまた滑るかもと思い柄杓を拝借。
それを投げたと言うことだ。
しかしファニィは頭を下げそれを躱した。
店員を呼びに行こうとした若者に柄杓は直撃。
気絶。
「避けんなボケェェェッッッ!!!」
「避けるに決まってんでしょ!!!」
またもやサーシャは考えた。
四つん這いで走ればいい。
人はもともと四足歩行だった。原点に帰ったという訳だ。知らんけど。
四足歩行で近づく女に恐れを抱くおっさんたち。
後ろに下がるとファニィの豊満なおっぱいに後頭部が埋もれる。それが最後の幸福だろう。
次の瞬間サーシャは体を捻り小さな竜巻のようなものを発生させ、おっさんたち事その場を薙ぎ払った。初の風の魔法だ。
この作品でやっと出てきた魔法である。貴重だね。
ファニィも両腕で防ぐも竜巻に押し負け壁に叩きつけられた。
サーシャはまた柄杓を手に取りトドメを刺しに行く。
「やってごらんよバカ女ァァァァッッッ!!!」
「ウガァァァァァァァァッッッッッッッッッ!!!」
雄叫びを上げるサーシャの前にはファニィ。
しかしファニィは無実のおっさんを盾にしていた!
ファニィに両脇から軽く持ち上げられている浴槽のおっさん。怖かっただろう。
「ひぃぃぃ!!!辞めてくださいいぃぃッッッ!!!」
サーシャはおっさんに当てないように狙いを定めるも、それに合わせてファニィも動くので中々当てられない。
しかもファニィは時折こちらに拳を振るってくる。ボコボコ一方的に殴られてしまうだけだ。
だがこのままでは埒が明かない。
サーシャは先読みし柄杓を当てにいった。
コンッッッ!!!と甲高い音を響かせ柄杓は直撃。
おっさんの右脛に。
「ぐわぁぁぁ…!」
小さくも力強い、おっさんの心の表現。
可哀想な事に少し薄紫色になっている。
いや、ホントに可哀想。
サーシャは柄杓を投げ捨て、おっさんの頭に両手を置きブリッジの形でファニィの顔面めがけ蹴りを入れた。
「ンブッッッ!!!」
「罪もないおっさん盾にすんなアホンダラッッッッッッ!!!」
その罪もないおっさんの脛を紫に染めた張本人が正義に燃える。
そのまま両足でファニィの頭を挟み、ルチャ・リブレ。
放った先がまたもや湯船。
電気風呂である。
2人同時に痺れている。
「「アガガガガガガ!!!!!!」」
(電気風呂やっぱ…痺れるわ…!!!!!でも、お陰で冷静になってきた…!機械は…あそこか!)
(し、痺れるわね…!それにコイツ…!私じゃなくて機械をさっさと回収して外で壊す気ね…!だったら…!!!)
両者ともに電気風呂から脱出。
四つん這いで機械目掛け走る。
途中途中蹴り合いなどするも今機械奪取が優先だ。
そして先に機械を手にしたのは…!
「よっしゃぁぁぁぁぁッッッッッッ!!!!!取ったどおおおぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」
我らがヘロイン、サーシャである。
そのまま上手いこと這いずりながら戸を開け外に出る。
「待てコラ!おい!コラ返せ!おい!」
ファニィが横で何か言っているがお構い無し。
「待てって言ってるだろぅが!!!」
グイィィ…!とサーシャのパンツを引っ張るファニィ。
可愛らしい桃のようなお尻が露出。
そして直でケツを大きく激しくビンタ。
パチーン!!!パチーン!!!
「痛い!!!痛い!!!」
「私のビンタは痛いからねぇ!!!離さないとそろそろ尻の肉が裂けはじめるよ!!!」
ピンクがかったケツはみるみる内にリンゴのように変色。
次にどでかい一撃を加えてやろうとした次の瞬間…。
「ハッ…、アホが。」
「え?」
ブゥゥオオオオォォォォォォォォォッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!
大きめのブロアーでも使ってんのかというくらいバカでかい音がサーシャのケツから発射。
そう、得意技の屁である。
まともに浴びたファニィはたまらず気絶。
サーシャは機械に上から思いっきりアームハンマーを叩き込む。
ドゴオオオオォォォォォッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!
爆音が木霊し、機械は完全に潰れた。
「ケツの肉が裂けはじめるて…、元々ケツは縦に裂けとるやろがい。」
勝負に勝ったサーシャの顔はどこか勇ましい。
少し疲れたのでその場に座るのであった。
ビビりまくっている男たちをそばに…。
ポジショニング・マシーン
1つ目撃破。




