第41話 「優しさの固持」
誰もいない部屋の片隅。
長い通路を超え、左手にある倉庫。
中は12畳ほどの空間。電気は点いておらず、窓から微かにかかる太陽の光が埃を映している。
そこに木箱に腰掛け一枚の写真を見つめる男が一人。
バルカンであった。
トーナメントも大詰め。
次は準決勝戦。相手は地球人の銀之助。
写真を見つめる瞳は優しく、どこか寂しげも感じる。
「……………待っていろ。優勝してお前らに好きなもの買ってやるからな。」
バルカンは静かに瞳を閉じ、写真をポシェットに仕舞う。
「………………誰だ。」
優しい表情から冷たい表情に変わり、部屋の隅に顔を向けた。
そこには暗くて分かりづらいが、確かに人影のシルエットが壁にもたれかかり腕を組んでいる。
「あ〜らら。やっぱりわかっちゃった?流石はキャプテン・バルカン。気配は消してたんだけどなぁ〜。」
「微かにだが何か闇を感じたからな。貴様どこから入ってきた。」
「闇…ね。僕はそのものだからね。しょうがないか…。ちゃんと扉から入ったよ。」
「盗み聞きとは中々いい趣味をしているな。お前…レプティリアンか。」
「御名答。僕はディラス。以後、よろしく。」
ニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべるディラス。
相変わらず何を考えているのかわからない雰囲気でバルカンを見つめている。
「なんの用だ。世間話などではないだろう。」
徐に立ち上がったバルカンは少し構えの予備動作を取り、臨戦態勢に入った。
「ちょっとちょっと!別に喧嘩しに来たんじゃないよ〜。いやなに、世間話だよ。ただのね。」
「失せろ。お前からは危険な魔力を感じる。何が狙いだ。」
「あっそ。まぁいいや。単刀直入に聞こうか。君、優勝して大金担いで自分の団員に持ち帰りたいんでしょ?あのトコヨ海賊団の。義賊だもんね。」
「それがどうした。」
「立派だよね〜!素晴らしいよ!全く!今は昔と変わらず…いや、昔以上に人と人の関わりがなくなって冷たい時代なのにさ!宇宙貿易なんざただの資本主義!誰もひとりひとりを見ていない、見ようともしない。」
天を仰ぐかのように両手を広げ語るディラス。
今のところバルカンの称賛だが、ただのおべんちゃらだろう。
「そうだ。平和こそ俺が一番に望むものだ。そのためにわざわざここに来たんだからな。」
「皆と美味しい食事!綺麗な衣服!安心できる居住!素晴らしいよね!そこでみんな幸せに暮らすんだ過ごすんだ!……、…でもさぁ〜…………それ、ホントに心からの【思い】なわけ?」
「……………何が言いたい。」
「例えば…………………【小隊の復讐】とか…。」
「………………ッッッッッッッッッ!!!!!」
あの冷静沈着なバルカンが少しだけ、ほんの少しだけ動機が荒く脈拍が乱れた。
今 動 揺 し た ね ?
気がつくとディラスは目と鼻の先、ほぼ顔がゼロ距離あたりまで接近。
ここまでの領域の侵入を一瞬の乱れにより許してしまった。
そしてバルカンはディラスの目を見てしまった。
「ディヤッッッッッッ!!!!!」
右腕からなる貫手。
ディラスは少し掠るもアクロバティックな動きで攻撃を浅く留めた。そして窓際まで逃げたと思うと、真っ黒なオーラに包まれ始めた。
「心を解放しちゃえよ…。何もかもぶっ潰すためにさ…。」
フフフ…
ディラスは気味の悪い笑いを残し、完全に姿を消した。
バルカンは無言で冷静に気配を探るも完全にこの場から居なくなった事を確認した。
恐らく空間魔法の一つだろう。
頭に残る謎のモヤモヤを感じつつ、バルカンは倉庫を跡にした。
…………………………
(避けたつもりだったんだけどな。)
興味なさそうな目で見つめるは自身の左腕。
手首から先がブラン…と重力のままに垂れている。
あの瞬間にバルカンにへし折られたのだ。
痛みを感じないのか、ディラスはそのまま真っ黒な闇の空間に微笑みながら消えていった。
ワーワー!!!
ガヤガヤ…
「アプリン大丈夫?ディアちゃん強いで。マンナちゃんとルーヴァちゃん撃破したんやからな!」
ガッツポーズでアプリコットを応援するサーシャ。周りのマンナたちも激励をかける。
「アプリン?大丈夫…!なんとかやってみる…!」
しっかりと全身を解すようにストレッチ。
近接格闘が得意なマンナ、遠距離と近接の合わせ技のルーヴァ。
この2人を突破したディアと対峙するのだ。
生半可な覚悟では挑めない。
アプリコットはボーロとの試合が終わった立場で、形としてはシード枠に近いものがある。
ディアはルーヴァとの試合で少しの休憩時間を取ったかと思うと、すぐにリングに戻り審判たちにこう告げた。
「私もうインターバルいいし〜、さっさと始めてもらっていいけど?時間も無いんしょ?」
確かにその通りである。
一つの試合にこんなに時間がかかるとは思っていなかった。
本来ならば2日か3日に分けてトーナメントは行われるのだが、今回は場所取りや色々な問題でたった1日しか会場を設けることが出来なかった。
スタッフはアプリコットにも試合を始めてもいいか、と聞きに来た。
首を縦に振り返事。
そして今柔軟を行なっているという訳だ。
「それにしても…まだインターバルはあるのに…。ディアさん、大丈夫なんですかね…。」
「相当な自信があるみてぇだ。そうじゃなきゃ、まだ時間取るだろ。体にせよ、心構えにせよな。」
「ピエロさんの方こそ大丈夫なんですの?棄権した方がよろしいんじゃないかしら。」
マクロビの言い方はどこか嫌味があるが、もしかしたら心配の意もあるのかもしれない。
「大丈夫!…………って言いたいけど、やっぱり怖いよ。でもどうであれ結局は対戦カード的にぶつかるのは必須。避けられない。それに…棄権だけはしたくない…。」
アプリコットの瞳には決死の覚悟が見える。
冷や汗と少し震える体がビビっている証拠ではあるが、それを凌駕する何かを持っている。
やる気だ。
アスカは少し近づき最後のアドバイスをかけた。
「あのディアって子、バランス的に右に重心が偏る傾向がある。左を狙うのがベストだと思う。読まれないようにね。」
アプリコットは頬を叩き、ガッツポーズを取りその場を去った。
これが終われば残るは決勝戦。
「……………サっちゃん。」
「ん。」
「決勝戦で会おっか。」
「…………………うん!」
ウオオオオオオォォォォッッッッ!!!
ワーワー!!!
[お待たせ致しました!!!この試合が終わればいよいよ決勝戦!あの三木サーシャ選手と戦いの火蓋を切るのはどっちなのか!!!盛り上げていきましょう!]
大歓声の雨嵐。
男の部は準決勝の対戦カードが既に決まっている。
順番的にこっちの女の部の方が早く終わる予定だ。
[青コーナー!抜群のプロポーションで難なくマンナ選手とルーヴァ選手を打ち破った氷の姫!ディア・フローズンッッッッ!!!]
ウオオオオオオォォォォ!!!
(難なく…ね。ホントに私の試合見てたのかっつーの…。)
[赤コーナー!ボーロ選手とともに跳躍を見せ華麗に勝利をもぎ取った可愛い道化師!キャラメール・アプリコットッッッッ!!!]
ウオオオオオオォォォォ!!!
アプリコットはキツケをしたがやはり相手が相手なので冷や汗を流している。
しかし覚悟はしている。大丈夫。
自分と戦ってきた仲間に見守られつつ、サーカスの団員たちのために勝つのみ。
「キャラメルサーカス団ね。名前は聞いたことあるけど…見たことないわ。」
「フフッ…良かったらこのあとどう?私が勝ったあとに見に来てよ。」
「へぇ〜、私に勝てると思ってんの。ウケるわ〜。アンタも氷のアートになるだけっしょ。」
「やってみてよ…。」
拳を合わせ、両サイドに分かれる2人。
ディアは常に冷静、アプリコットがどう出るか頭の中で予想し分析。
アプリコットはゴクリと生唾を飲み、ゆっくりと深呼吸。
「頑張れ〜!アプリン〜!」
「ぶっ飛ばせ〜!」
アプリコットはサーシャたちに微笑みすぐさまディアに向き直った。
カーーーーーーーーンッッッッ!!!
ゴングが鳴った。
その瞬間アプリコットは素早く印を組み、両足のバネを活かし高く跳んだ。
ディアは冷気を身体から滲ませ構えている。
「バネミサイルッッッッ!!!」
グググッとバネの両腕を後ろに伸ばし、左右のストレートを放つ。
「ストレート過ぎっしょ。それ。」
シュンッ!!!
(速ッッッ………!!!)
爆撃機かのような音を発しリングの一部が拳状に半壊。
間一髪でディアは避けられたものの、流石に舐めてかかれる相手ではないとその2撃で理解したのだろう。冷気を強める。
ジュゥゥゥ……………
「あぇっ…?」
自分の冷気が微かに乱れている。
何かしたのか…?と壊れたリングを見ると陽炎が出来ており、熱気が籠っていた。
「……………熱か…。」
「御名答ッッッ!まだまだいくよ!バネマシンガンッッッ!!!」
バネミサイルの2撃とは打って代わり今度は連続パンチ。
バネの特製を活かした高射程の攻撃。
ディアは氷の壁を立てるもすぐに壊され連撃を浴びせられる。
「やっりぃ!!!」
「熱魔法か。やるなあの道化師さん。しっかし…その戦法は…。」
「私が実践済みです。私は魔力を持たないので激しいシバリングで身体の熱を内側から出しました。確かに、ディアさんの氷には強いかもしれませんが…これには弱点があります…!」
「体力やな?」
その通り。
どんな魔法でも所詮は身体能力の延長線上にあるもの。
使えば使うほど身体は疲れ、体力が消耗される。
マンナは魔力が0パワーなので魔力消費はしないが、アプリコットはそもそも体の機能として備わっているシバリングと同時に熱魔法を使っている。
その分体力消費が激しくなるのだ。
「マジウザいんですけど!!!アイス・エッジッッッッ!!!」
ディアがリングに手を叩きつけ、氷の刃を空中のアプリコットめがけ発動。
足を軽く抉られたりしたがまだまだ軽傷。
寧ろそのアイス・エッジを利用してアイススケートが如くディアに接近を試みる。
その間ディアが氷を様々な形でぶつけてくるが、曲芸さながら全て躱していく。
「よっしゃぁ!!!流石サーカス団の副団長!」
「でも接近しすぎたら氷漬けにされるぜ!ある程度距離取らねぇと!!!」
ガッツポーズを取るアスカに対し、冷静に叫ぶベラニー。
ボーロたちも心配しながら試合を見届ける。
「ハッ!バッカじゃないの!?さっきの試合見てなかったわけ!?近づいたら…!!!」
両手に魔力を込め、至近距離まで近づいてきたアプリコットにかざそうとした瞬間。
「ベースフラッシュッッッッッッッッ!!!」
ディアの目の前で猫騙し。
しかしそれだけではない。
手のひらからこれでもかというほどの光量を発生。
目眩ましだ。
思わず目を瞑るディア。
アプリコットは自身の技だからか、もしくは慣れているからなのかその隙を逃さずディアに足を絡ませ、首を絞め始めた。
「スプリングチョークッッッッ!!!」
光が落ち着いた頃合い、みんながリング上の2人を見ると見事なチョークスリーパーが決まっているではないか。
しかもアプリコットの腕と足のバネ部分が鋭い刃先に変貌しており、熱も相まってディアを苦しめていた。
ジュゥゥゥと熱音とともに鋭利なバネが体に食い込み体中から出血するディア。
ここに来て初めての流血か。
「グ…………ッッッ、ガァ…………!!!」
「降参しないともっと酷い目に合うよ!早く降参して!」
これで決着を付けたい。
そもそもアプリコットはまともにディアと打ち合えるとは最初から思っていない。
計算した上でこのチョークスリーパーに持ってきたのだ。
これが通用しなければ…負ける。
(もっと…力入れないと…!!!)
グググ…と更に力を込め、バネが食い込んでいく。
「ハハッ…。」
「…………!!?!な、何が面白いの…!」
「アンタさぁ…、戦闘経験そんなないっしょ?」
「…………な、何を…!」
「確かに…キッツイけどさ………!本来チョークスリーパーってのは…相手の頸動脈を絞め上げる技…!アンタ腕がバネになってるから…隙間空いてんじゃん…!!!」
その通りであった。
丁度ディアの頸動脈。
そこはアプリコットのバネの空いてる部分にあった。
それがどうしたと更に力を込めるアプリコットであったが、ディアは話を続けた。
「それにさ…アンタこの熱魔法…。【バネ】の部分にしか無いわけね…。」
「え…。」
次の瞬間、ディアは右手をアプリコットの顔に押し当てた。
一瞬、何か部位が抉れる音が響きアプリコットは少しだけその場から転がるように吹き飛んだ。
「両腕空いてるし。痛ったぁ〜…………。もうちょいパワーあったら仕留めれたかもね。」
肩に手を当て首をリラックスさせるディア。
熱で抉れた皮膚も氷で修復していく。
アプリコットは右目に手を当て、体を震わせていた。
抑えている指の隙間から血がボトボトと流れ落ち、ゆっくりと手のひらを見つめるアプリコット。
「なッッッ!!!」
「持ってかれたな…。」
右目の眼球が潰された。
ディアがアプリコットの顔、とくに右目に手のひらを当て氷柱を突出。
「お返しね。」
ディアは次々と氷の魔法を繰り出し、痛みで苦しむアプリコットを痛めつけ始めた。
氷の鞭で皮膚を抉り、刃で皮膚を切り裂く。
氷の礫で体中をズタズタに引き裂いた。
「アプリンッッッッッッ!!!」
「もう無理だッッッ!!!降参しろッッッ!!!死ぬぞ!!!」
ドザァァァッッッ
跳ばされリングに叩きつけられたアプリコット。
「お〜わり。じゃね。」
振り返り歩き始めたディアであったが、足取りを止める。
後ろを見ると少しづつではあるが、身体を起こそうと奮闘するアプリコットが居た。
「えぇ…まだやんの…?」
「う………………うぅ……………………。」
「……………なんでまだやんのよ。どう考えても負け戦っしょ。さっさと荷物まとめて田舎帰んなよ。」
「まだ……………負けて………ない………。」
ディアはだんだん呆れから怒りへと変わり、ズカズカと歩き出しアプリコットに向かい怒気を含んだ声で喋り始める。
「アンタさぁ、さっきから見てて思ったんだけど。人の痛みとか苦しみとか分からないっしょ。な〜んかボンボンのええとこ育ちみたいな。今までの人生順風満帆で恵まれてきた。そんな眼してるし。」
「ハァ………ハァ………そ、そうだよ…。」
「うっざ。」
ディアの言う通り、アプリコットは貴族育ちであった。
今までの人生で特別苦しみや悲しみを味わったことがない。
悲惨な過去など持つわけなかった。
アプリコットが成人を迎えたあたりに1人の男と出会った。Mr.C.Bだ。
その男は一人で体の不自由な人や何かしらのハンデを背負っている人のための施設を立ち上げようとしていた。
アプリコットはサーカス団の一員としてバイトをしていた経験から、障害者のサーカス団などはどうかと提案。
C.Bはなるほど…と相槌。しかし、障害者が披露できる芸には限界がある上心ないものから見世物小屋と非難されるだろうと思いアプリコットはやっぱり辞めようと言ったが、C.Bはサーカスの提案をえらく気に入りやる気であった。
「人には限界があります。障害者はとくにハンデがある分限界があるでしょう。しかし、それだけで全てを決めるのは烏滸がましい!それに魔力が魔法があります!ひとりひとりサポートは私がします。ご提案ありがとうございますお嬢さん。」
その時はそれまでであった。
アプリコットは頑張ってほしいなと思いつつも普段通りの生活を送った。
すると数日経ってから噂が聞こえ始めた。
どこぞの男が怪しい勧誘を障害者にしている、と。
直ぐにC.Bと分かった。
アプリコットはC.Bの元に走りまた話をした。
「C.Bさん、作業所とかは作らないの?AとかBとかあるでしょ?」
「作業所は…今の時代…すぐに潰される対象になりますからね…。税金の無駄だとか…ね。それと…出来ればサーカス団はほぼチャリティーでしたいと思っておりまして。」
ビックリするアプリコット。
それならば尚更団員に給料が入らないではないかと。
「仕事は私がします。異次元人なもので、やろうと思えば仕事はいくらでも見つけれますから。」
継ぎ接ぎだらけの顔ではあるが優しさが伺える笑顔。自己犠牲で動くなどと抜かすその男。
アプリコットは俄然興味が湧き、両親にこの事を話した。
最初こそ素晴らしいと褒めてくれたが、異次元人の名前を出した瞬間態度が変わり否定され始めた。
「異次元人だと…!?ダメだ!辞めなさい!異次元人は昔から凶悪な種族だ!」
「あの人はそんな感じじゃなかったよ。それに危ないって思ったら離れるから。」
両親はそれでも大反対。
しかしアプリコットの押しが強く、しぶしぶ了承した。危なくなったらすぐに辞めるのだと約束を交わして。
それにやるのであれば、こちらからはお金の援助はしないとの事なのでアプリコットは腹を括りC.Bを追いかけキャラメルサーカス団を作り上げた。
「無いよ…私の過去の傷なんてほかの人たちに比べたらくだらないし…。」
「それでなに?痛みを知らない分際で人に寄り添うって?バカじゃないの?そういう偽善マ〜ジウザいんですけど〜。」
「人の傷を……………人の苦しみを…………」
「は?」
「知らなかったら【寄り添う】事も許されないのかよ…!!!」
片目でディアを睨見つける。
アプリコットのその瞳の眼差しには嘘がない。
ディアは少し口を開けポカンとしていたが、とどめを刺すことにした。
このまま放っておいても出血多量でノックアウトは免れないだろう。
しかし、直接自分で倒したくなった。
それは目の前の道化師が生意気だからか、はたまた違う理由なのか。
「……………そう。」
氷の刃を腕に纏い、ゆっくりとアプリコットに振りかざす。
アプリコットは少しだけ、ほんの少しだけ笑みを浮かべ選手専用客席のサーシャに笑いかけサムズアップ。
「アプリン…。」
アプリコットは印を結び両腕に力を込め、その場からディアめがけ跳んだ。
ディアは反応に少し遅れ、至近距離までの接近を許してしまった。
「これが最後の技だッッッ!!!【バネバラバズーカ砲ッッッッッッ!!!!!!】」
両腕からのツインジェットパンチ。
甲高い音が響く。
…………………………
ディアは氷の壁で受け止めていた。
大きくクラックが入った氷は崩れ始めた。
しかしディア自体は無傷。
技を放ったアプリコットはそのまま惜しくも力尽き、その場に静かに沈んだ。
18分28秒。
ディアの勝利。




