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スペース・ロック  作者: 祈鈴銀
地球と出会い編
3/50

第3話 「ヒーローショーでどうでしょー!」

「出来たぁぁぁ!!!」


大阪の堺市のとある場所。

ここに新たなカフェが出来上がった。

かなりの貯金をしていたのと、色々経営を勉強していたので店を構える事自体はすんなりと進んだ。

金髪の青年と三十路に足を突っ込んだ男の2人が声を上げて喜んでいた。


「やっと出来たの!クリ・ザ・トリスコーヒー!」


なんともギリギリというか、ほぼアウトな名前である。

思いっきりアソコじゃねぇか。

ビラ配りも事前に終えていたので、今日からオープンするこのクリトリスコーヒーで客を待つだけである。

ギラギラと輝くお天道様に歓迎されつつ店の中に入る2人であった。

カフェなんざ言ってしまえばどこにでもある。

宇宙貿易が始まったら尚更である。

しかし、銀之助の考案でとある特色がこのカフェにはあると言うのだ。

それはなんとカフェとしても経営する上、「なんでも屋」もすると言う。

つまりは「よろず屋」。

勿論、法に触れるような事は行わない。

それ以外の範疇で人種は当然の如く、異星人たち問わず話を聞き依頼があれば別途料金で仕事をするのだとか。

そのためにパルムと銀之助はカフェをオープンするにあたって様座な資格取得や日雇いなどを行いある程度の動きが出来るように準備していた。

そう、この2人はただのドスケベたちでは無いのだ。知らんけど。






「………………誰もんな…。」


カウンターでパルムが両手で頬杖をつく。

開店してから2時間程度経ったが誰も来ない。

立地自体は駅近…とはいえ徒歩10分程度ではあるが便利である。

それに今は昼時。

やはりこの間に建てられた駅前の大きなモールも影響しているか。

またもや白目を向く2人。

しかし、その状況を打破するかのように昔ながらのドア上部に付けられた鈴が鳴り響いた。

お!!!と喜ぶ2人。

大きな声で客2人をもてなした。


「へぇ〜、随分と昔ながらの店なんだな。」


「まるで地球の昭和時代と平成時代のいいとこどりだ!良いところじゃないか!」


入ってきた客。1人はビシッと決まったリクルートスーツに藤色のネクタイ、皮膚の色は真っ白で顔には大きく?のマーク。そこから横にかけてオレンジ色の横線が浮かんでいる異星人。

もう片方は灰色の肌に少しピッチリしている紺色のシャツにカーゴズボンを履いた異星人。

顔は…思いっきりタイマーウォッチである。

2人とも身長は軽く2mを超えている。


「めんどくせぇけど…。」


と聞こえるか聞こえないか程度の大きさで免許証を見せるハテナ男。

パルムは不思議ながらも会釈しマジマジとそれを見つめる。


「あのぅ…お二人とも成人してるでしょうし、気にせんでもええですよ。星人だけに。なんつって!!!」


一人でボケるパルムを横に一緒に笑う銀之助。

異星人二人は不思議そうな顔をしているので、どうも噛み合わないなと少し会話を進めた。


「ここ、今どき珍しい喫煙可の店なんでわざわざご丁寧に免許証見せてくれはったんですよね。大丈夫ですよ!」


「えっ…?あ、いやそ〜れもあるけど…魔力見ないでもいいんですか?」


話を聞くと信じられないことに魔力の数値により入店可能や不可の店が多いらしく、そのために免許証を見せたというのだ。

はっきり言って、差別である。

ハテナ男の名は「Mr.クエスチョナー」。

タイマー男の名は「グレート・ザ・タイマー」というらしい。

しかも驚くことにクエスチョナーの魔力は310万パワー、グレートは200万パワーである。

パルムは自身の魔力を超えている事にも関心を覚えたと同時に、あの宇宙ギャングのボスが頭によぎった。たかが20万程度であんなにイキリ散らかしていたのかと顔が歪む。

銀之助とパルムはそんな制度ありませんよと、笑顔を見せると二人も笑顔になりカウンター席に着いた。






「でよぉ〜、魔力なんざ生まれつき決まってて死ぬまで数値変わらねぇのに酷いと思わねぇか?」


「せやなぁ。クエスチョナーで入ったらあかんのやったら、1500の俺なんか今すぐに自決せにゃならんレベルやんけ。」


ガッハッハッ!!!と笑う四人。

他に客が居なさすぎてほぼ貸切状態のカフェ。

話し込みすぎて仲良くなり、全員がタメ口で話していた。

どうやらクエスチョナーとグレートは埼玉県から大阪府に転勤してきたようだ。

クエスチョナーは服飾の仕事をしており、公務員たちの服からオーダーメイドのコスプレやらなんやらの服までを手がけているらしい。

グレートは靴職人で、内容はクエスチョナーの靴バージョンみたいなものである。

二人は決して高給取りと言うわけではないが、平均よりかは稼いでるらしい。

クリームソーダにプリン・ア・ラ・モードを頼み美味しそうに頬張るグレート。

てかどうやって食ってんだ。

口はおろか、目も鼻もそれらしきものが見当たらない。

作者は何も考えずにこの話を書いている。

考えるな。感じろ。

クエスチョナーはエスプレッソコーヒーにシフォンケーキを美味しそうに食べていた。

徐ろに口を開く。


「マスター、あんたなんか面白い事もするんだってな?表の看板に書いてあったぜ。確かなんでも屋だとか。」


「ん?そうそう、軽い相談から依頼業までね。他のカフェと差別化はせんとあかんからよ。」


グレートとクエスチョナーはお互い顔を見合わせ、軽く頷く。


「じゃあよ、1つ頼まれてくれねぇか?」


「お!!!記念すべき最初の客人からまさか依頼も来るとは!有り難い話や。どうしたんや?」


「俺らそれぞれ仕事は持ってるんだけどよ、派遣…ではねぇけど、副業みたいな事もしててな。」


「こんな時代だ。どこの宇宙も子どもは減少傾向にある。でもどこの星でも子どもは宝だ。その子どもたちが喜ぶような事がしたいって今に至るまで思ってんだ。」


「ええ事やないか。素晴らしいぜよ。」


「それでたまにヒーローショーもやってるんだ。ほら、ローカルのデパートの屋上とかでやってるようなやつ。」


そこで悪役を演じて欲しいとの事であった。

事前に悪役の人を雇っていたのだが、病欠でこっちに来られないらしい。

そこで銀之助とパルムに依頼したいという話だ。

勿論タダとは言わない。

自分たちよりも高い日当を払ってくれると。

当初は悪役は3人だったらしいが2人でも大して変わらないだろうとの事。

銀之助は勿論やらせてもらうとパルムと二つ返事をしたが、気になるのは日時である。


「2時間後だな。」


「2時間後かぁ…………ん?2時間後ぉ!??!」


まるで時間が無い。

デパート自体はすぐそこの駅前のモールである。

移動の時間はたかが知れてる。

問題はリハーサルしかり練習時間である。

ショーの流れもわからないのにぶっつけ本番、しかも時間が無いときた。

クエスチョナーは笑いながら流れはやってたら分かると笑うものの、少し不安な銀パルであった。

しかしここで少しでも相談カフェとして実務を稼げば長い目で見たら高利益である。

食べ終わった食器などをシンクにつけ、すぐに準備をしカフェの前に【依頼中】の看板を立てるのであった。


四人がデパートに向かった5分後あたりに1人の男がカフェの前に立つ。 

髪は茶髪で背丈は180cm程あり、これまた小綺麗なスーツにサラリーマンが好みそうなカバンを右手に持っている。

頭からは触覚が生えており、先端部分はピンク色で球状。

丸メガネをかけており、顔自体は地球人と変わらない風貌であった。

これまた高そうな腕時計を一瞥し、小さく舌打ちを放つ。


「チッ、留守かよ。居留守…って訳でもなさそうぁだな。店主が居たら揺すってやろうと思ってたが…まぁいいや。後日改めて来てやらぁ。」


見下すような顔で嘲笑い、その場を去っていった。

なんなんだろうコイツは。





「で、これをこうしてこうするんか!!?」


「違う違う、これを…こうだ!オッケー!それそれ!」

 

開始まで残り10分程度。

ザリガニのような着ぐるみを着た銀之助とパルムがグレート、クエスチョナーに指導されていた。

最終チェックであろう。

雇い主である異星人はその光景を見つつ心配そうな顔をしていた。

今日は休日ということもあり親子連れが多い。

中止にしようとも思ったらしいが、グレートたちに待ったをかけられたようだ。


「最初銀之助が、【ガニガニガニ〜!!!みんなハテナマンたちが来る前に襲ってやるガニ〜!!!】から始めるんだ。」  


「そしてその後にパルムが【でもハテナマンもウオッチマンも俺たちからしたら敵じゃないガニ〜!!!】って言うんだ。頼んだぞ!」


元気よく了承する。

しかしやはりというか、雇い主は心配そうだ。


「あんたら、ホントに大丈夫なんだろうな?ショーなんかやった事無いって聞いたぞ?」


「なんとかしてみますわ!運動神経自体は!僕らそれなりにありますんで!それに昔からウルトラマンとか見てたんで感覚でわかります!」


「俺も銀ちゃんに円谷御大の作品ようけ教えてもらったからいけますわ!」


動きの形もそれなりには見える。

この2人を連れてきた異星人も【ね?】と表情で雇い主に訴える。

それに今更辞めますなんて客人には言えない。

後は信じて送り出すしかないだろう。

そうこうしている内に時間となり、銀パルコンビは颯爽と楽屋を出ていった。

外ではアナウンス役のお姉さんが皆を盛り上げさせる。段取りがやはり上手である。


「ガニガニガニ〜!!!え…お前ら…なんやっけ…子どもたち…全員攫ってやるガニ〜!!!」


「ガニガニガニ〜!!!ガニガニガニ〜!!!」


ズコー!!!


「初手でセリフ曖昧じゃねぇか!!!」


勢いよく飛び出したは良いものの、勢いのせいでセリフが曖昧になった銀之助。

そしてセリフを全部忘れたパルム。

ガニガニしか言えないのであった。

しかしそんなものはこっちの話。

子どもたちが盛り上がればどうとでもなる。

実際に子どもたちは悲鳴を上げ、ヒーローの名前を叫んでいる。

アナウンスのお姉さんもアドリブで来たか!と少し興奮気味だ。

違うんです。セリフ忘れただけなんですこの変態2人。


「そうはさせるか!!!」


「何ッ!!!貴様らは!!!」


トウッ!!!と煙とともにカッコよく現れるハテナマンとウオッチマン。

空中で大回転し、華麗に着地。

そして自分たちの名前を叫び、決めポーズ。

これだけで子どもたちは救われるのだ。


「ハテナマン参上!!!」


「同じく!ウオッチマン参上!!!」


ウォオオオオオオオオ!!!!!

子どもたちはヒーローの登場に大喜び。

良く見たら大きなお友達も喜んでいるが、とても平和である。

上手いこと殺陣を繰り広げる4人。

小さな声で上手いと褒めるハテナマン。

それに対し、少しはにかみながら悪役の顔をしつつパンチを決めるパルム。

その時であった。


「ウッッッ!!!」  


演技…なのだろうか。

パルムからしたら本気で一瞬苦しんだように聞こえた。眼球だけ動かし、子どもたちの方を見るも誰も気づいていない。

ホッと気持ち的に胸をなで下ろし演技を続ける。

当たり前だが本気で殴ったりしているわけではない。

それにも関わらず何故か目の前のハテナマンは脂汗を流し苦しんでいる。

一体どうしたというのか。


(お、おい!クエスチョナーどないしたんな!)


(ま…まさか!!!アイツ!!!)


(なんや知っとるんかグレート!!!)


取っ組み合いをしている銀之助とグレート。

ボソボソ声で話し合っていたのだが、どうやら相方が何故あんなに苦しんでいるのか知っているらしい。


(アイツ!!!クエン酸飲んでねぇな!?!!)


(!!??!!!!)


(アイツは【尿管結石】持ちなんだ!あのシフォンケーキにはピーナッツとかが入ったはずだ!なんで飲んでねぇんだよ!!!)


なんと尿管結石持ちだったのだ!!!

世間では尿管結石持ちは水を飲め。などと言われるが見当違いである。

そんなもので済むのであれば可愛いものだ。

尿管結石に一番通用するのは【重曹】または【クエン酸】である。

みんなも覚えておこう!!!


(え?!!あ!!!?大丈夫かいなクエスチョナー!!!)


(だ………大丈夫……だ。)


明らか動きが鈍くなっている。

確かに後は大技を決め、銀之助とパルムが退場するだけなのであるがいかんせん、色々な意味で目の前のクエスチョナーが退場しそうである。

顔には怒りと我慢の血管が浮かび、大量の脂汗が流れる。

腹と股間を抑えるその姿は、子どもたちの目からしたらザリガニパルムに対する敵対心にしか見えない。そう、股間を押さえながら相手に怒りを覚えるヒーローそのものに見えてしまっている。

僕達を守ってくれているのだ…と。

親御さんは割とマジで心配になってきているが、子どもたちにはそんなもの関係ない。

どんなフィニッシュホールドを決めるのかしか興味が無いのだ。

残念ながらフィニッシュホールドは尿管結石だろう。

時間も時間である。

パルムと銀之助は肩を組み、クエスチョナーはグレートと並ぶ。


(おいクエスチョナー!大丈夫なのか!!!技決めれるか!??!)


(も……………………。)


も。ってなんだよ。

こっちが、も。だわ。

銀之助がどんな形でも良いから終わらせようとしたその時であった。

変な感じがする。いや、さっきから変な感じしかしないのではあるが子ども達がいる席の奥。

鼻と口がやたらめったらに長い目が5つほどある異星人。目を大きく見開き息を荒くしている。

ヒーローショーに興奮している大きなお友達ではない。目線が下に向いている。

その目線の先には可愛い女の子の異星人。

間違いない。性犯罪者的変態である。

チャックを激しく動かしているその姿。

どうせチンケなチンコであろうが、女の子からしたら恐ろしく醜い大きなものに見えるであろう。

気づいたのはここにいる自分だけ。

そう思った銀之助はなんと思いっきりクエスチョナーの手を掴みジャイアントスイングをかけた!!!


「ぶぇふぶぶぶぶぶ!!!!!!!!な………!!!何すんだ銀之…」


「ついでにクエン酸飲んでこい!!!俺も結石持ちやから気持ちは!!!!!!!!」


「わかるんやぁぁぁぁぁっっっっっっ!!!!!!」


ブウウウゥゥゥゥンッッッッッ!!!!!!


まるでブーメランの如く回転し、宙を猛スピードで舞うクエスチョナー。

その勢いよく回転する人間ブーメランに変態は直撃を受け、クエスチョナーともども屋上から下に落ちていった。

後に女の子は語る。

気がついたら目の前にハテナマンのズボンがあった。そしてチャックが閉まっていなかった。

そう、その社会の窓をほおりだしてでも私達のことを守ってくれていたのだと…。





その後、ウオッチマンがその場の流れでなんとか銀パルを倒しヒーローショーは無事に終わった。

変態はクエスチョナーの下敷きになり意識不明で発見。なんと前科4犯の恐ろしい変態犯罪者であった。こんなやつを世に放つな。

無事に被害者もなく、変態は逮捕されクエスチョナーにも事情を説明した。

そして運が良いことに、ブーメランの動きのお陰で結石がチンコから放出。綺麗に出たというではないか。

スッキリしたクエスチョナー。クエン酸は忘れずにね♪

そのヒーローショーは新聞にも載るほど大きな話題となり、雇い主も大喜びであった。

またいつでも来てくれとの事だ。

グレートとクエスチョナーは隣駅の地域で働いているとの事もあり、またいつでもカフェに遊びに行くぜと固く握手を交わしその場を全員後にした。

誰もが喜ぶ1日であったとさ。







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