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スペース・ロック  作者: 祈鈴銀
第200369回宇宙トーナメント編
23/50

第23話 「鋼鉄の大男」

銀之助の目の前にそびえ立つは身長246cmの大男。

身体は綺麗なスカイブルーに少し緑がかっていて光沢がある。

レフェリーの煽り通り、生半可な攻撃は一切通用しないだろう。

太い鞭のような腕をしならせ三本指の手をゴキッゴキッと鳴らしこちらを牽制。

銀之助は干からびたモヤシのような見てくれで白目をむいている。

この時点でもう既にグロッキーである。


「しっかりしろぉー銀ちゃーん!!!」


パルムが大声で銀之助を声援。

それを聞き少し我に帰るも目の前に鋼鉄野郎が居ることは変わりない。


(アカンアカン…!まだ戦ってもないのにこんなとこでナイーブになったら…!それに下手な結果残したらそれこそサっちゃんにしこたま怒鳴られる…!!!)


「……………ハァ…。」


何やらヨーベイガーは落胆の様子。

こちらの油断を誘っているのかと注意深く観察する銀之助。


「俺の力を見せつけるためにこの大会に参加したってのによ…。相手が地球人って…。ついてねぇよなぁ俺。」


「…………どういう事や…。」


「地球人は魔力も低けりゃ科学力も乏しい弱小種族じゃねぇかよ。そんなカス相手にしたところで俺の力を見せつけれねぇだろうが。」


ヤレヤレとため息を吐くヨーベイガー。

完全に見下されている。

それに対し汗を流しながらあんまり舐めん方がええぞと苦し紛れに口角を上げたところでゴングが高らかに鳴らされた。


[試合開始ぃぃぃッッッ!!!]


ゴングと同時に銀之助はヨーベイガーに接近。

鞭のような腕を振り下ろし銀之助を押しつぶそうとするも身長が低い分小回りが利くので掴み損ねた。

銀之助は相手を調べるためにヨーベイガーの輝くボディに触れ持ち上げようとするも…。


(重たッッッッッッ!!!)


「何してんだテメェ。1tある俺を持ち上げられるわけねぇだろ地球人如きがよ。」


鎧のような足で蹴り上げられる銀之助。

しかしギリギリのところでなんとかガードは出来たのでクリーンヒットまではいかない。

とは言え威力が凄まじいので宙を舞ってしまう。

続けざまにヨーベイガーが両腕を上げながらこちらに向かい走る。今度こそ捕まえる気なのだろう。

銀之助は体を捻りつつ着地。


「スピードだけやったら俺の方が速いぞデカブツ!!!」


相手を撹乱させるために真正面ではなく横に走る。背中に回り込むつもりだったのだろう。

ヨーベイガーは目を笑わせ真横に来た銀之助に対し両腕を構えた。


ビュオッッッ!!!!!!


「ゲッッッ!!!腕伸びるんかいッッッ!!!」


なんとかギリギリのタイミングで迫りくる腕を回避し、ヨーベイガーの後ろに回り込む銀之助。

後ろから攻撃しようとしたのだろう。

ヨーベイガーの身体に触れようとしたその瞬間。


ガクンッ!!!


伸びた腕が次々に折り曲がり銀之助の左腕を掴んだ。


「ゥゲッッッ!!!曲がりもするんかい!!!」


今銀之助の腕を握りしめている腕は片方だけ。

もう片方はなんとか銀之助が蹴りで弾き返したので難を逃れた。

そしてヨーベイガーは銀之助を掴んだ腕でぶん回し始めた。


ブオガガガガッッッ!!!


[ヨーベイガー選手!!!銀之助選手を力任せにぶん回し始めたッッッ!!!]


「オラオラオラァァァッッッ!!!ちょこまか逃げてんじゃねぇぞネズミかテメェはよぉ!!!」


(クソッッッ!!!なんちゅう馬鹿力や!!!)


銀之助はこの土壇場で冷静に状況を分析していた。

このヨーベイガーの伸縮自在な上に相手を捉えることのできる腕。

見た目だけで言うと機械星人か超合金星人。

しかしこの掴んでいる腕にはほんの少しであるが生物共通の【氣】の温かさがある。

ほんの数ヶ月であったが、グラーケンの元で教わったとある事を実践することにした。


(力任せにぶん投げやがって…!!!こ…こうなったら…!!!!!!)


「ここやッッッ!!!」


銀之助は親指でヨーベイガーのワイヤーのような部分の腕に思いっきり突いた。


「ッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!」


ヨーベイガーは堪らず銀之助を離した。

銀之助は上手いこと受け身を取り、反撃のために走り抜ける。


「テメェ…!!!な、何しやがった!!!」


腕が痺れるヨーベイガー。

銀之助は【ツボ】を突いたのだ。

そうは言っても普通に突いたのではない。

ヨーベイガーのボディや肩部分は明らか超合金か何かで出来ている見た目であり、伸びる部分は太いワイヤーそのもの。

普通に触ったら鉄を触っているものとなんら変わりない。そんな触り心地だ。

そのまま殴ろうものならこっちの拳がイカれてしまう。

なので銀之助は持ち前の技術力で親指に魔力を集中させツボを突いたのだ。

いや、押し込んだと言ったほうがわかりやすいかもしれない。

相手は決してロボットではない。

血が通う生き物なのだ。

どこかしらにウィークポイント(弱点)は存在する。

銀之助はヨーベイガーの目と鼻の先にたどり着いた。両手を光り輝く鋼鉄ボディに当て、一気に魔力を放出させた。


魔装按まそうあんッッッッッッ!!!」


発勁の1種。

浸透勁といい、表面に物理的ダメージを与える他の発勁と違い相手の内臓に直接響かせる発勁である。

これもグラーケンから教わったものである。

しかし銀之助の顔が強張った。


(な………なんちゅう分厚さじゃ…ッッッ!!!内臓に届くまでにかき消されてまう…!!!ほなら…!!!)


連発で魔装按を打ち込む銀之助。

無闇矢鱈に打ち込んでも内臓に届かなければなんの意味もない。一体どうするつもりなのだろうか。


「調子乗ってんじゃねぇぞ三下がぁぁぁッッッ!!


焦るヨーベイガー。

防ぐことはできたものの、力任せにぶん殴られる銀之助。

ヨーベイガーは少し腹をさすりつつ顔には冷や汗が流れる。


「ハッ、お前今ちょっと焦ったやろ…。生物やもんなぁ…。内臓はしっかりと存在するっちゅう事や?」


「いい気になんなよ…。訳のわからん動きしやがってクソ地球人が。今度こそ確実に息の根止めてやらぁ。」


ヨーベイガーの三本指の手が物凄いスピードで回転し始める。

魔力を纏っているようだ。


「アームチェンジッッッッッッ!!!バズソーアームッッッ!!!」


なんと両手がバカデカい丸鋸へと変貌。

音を切りつつ丸鋸が恐ろしく回転。


「切り刻んでやらぁ…。お前ごときにやられるわけにはいかねぇ…!!!俺は強ぇ…!!!俺は強ぇんだよッッッッッッッッッ!!!!!!!」




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