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第1話 「出会いと尿意は唐突に」

「もおおおぉぉぉぉぉぉんんん!!!最後の会社もあかんかったぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


星や星雲が光り輝く超巨大なみんなの居場所・宇宙。

その巨大な世界の中にフリーエンジンに少しガタが来ている中古ビートルを走らせる一人の影があった。

この男こそがこの物語の主人公・町田銀之助である。


《おちんこぉぉぉぉぉぉ!!!!!》


彼は前々からリストラ宣言を受けていた。

何も銀之助が粗相をやらかしたや勤務態度が悪かったなどではない。シンプルに経営難のせいである。

その証拠にリストラ宣言を受けたのは他にも数名いた。

そして彼はその間、色々な会社の面接に行ったもののどれも手応えなし。要は不採用。

そう、どの宇宙も悲しきかな「資本主義」がまかり通っていた。

銀之助は白目を剥きながら左手の人差し指で鼻をほじりつつハンドルをきる。

別にぶつかるものも無いから良いものの、その姿はあまりにも情けなく悲しい。

しかし銀之助はこうなる事を予想していたのか、かなりの貯金をしている。

そしてその金でとある目的のために母星である地球に帰るところであった。


「そろそろワープゾーンやな…。ん?」


カーナビならぬユーナビ(UFOナビ)が小さい反応をしめしている。

普段はこの程度の反応、近くに隕石があるという警告のようかものであるから軽い注意をしつつ流すのであるがどうも何かひっかかる。

銀之助はナビのタッチ画面を操作し、詳細を調べる。


「この下の惑星やんけ…。なんかよぉわからんけども気になってまうな…。降りるか。」


銀之助はナビに従いながら真下の惑星に降り立った。その見た目は中々臭そうな星であった。





「あひゃ…あひゃ…。」


「いひひ。」(ジョロジョロ)


「おんな…おんなぁ…。」


……………………………………………


(ここポン中だらけの星やん…)


ほうれい線がこれでもかと言うほど伸び切り、ちんこがシナシナになっていくのを感じる。

そう、何を隠そう周りにいる奴らは股間が不自然に濡れており口からはヨダレがダラダラと垂れている。

目はあらぬ方向を向いており、口悪くなるが人間のそれではない。

まぁ、異星人であるから人間といっても地球人からはかけ離れている見た目なのであるが。

銀之助は今すぐにでも帰りたかった。

しかし、愛するポンコツ号のバッテリーが着陸と同時に上がってしまい帰るに帰れない。

泣きながら周りを見渡し、助けを求めようと探る。

この惑星自体はかなり小さく、地球の衛星である月ほどのサイズだ。

まさか全地域がこんなことになっている訳では無いだろうと思いつつ、というか無理やり思い込み足を動かす。

できるだけ目をつけられないように。

路地裏などには入らないように。


「きったないの…ゴミだらけやし…臭いも天満橋以上や…。」


銀之助は大阪出身である。

今までは一人暮らし…とはまた違うがおいおい語ることになるだろう。

親元を離れ5年、地球が恋しくなり帰ればいいもののこんな星に降り立った。

激しく後悔しつつ歩みを進めると急にカーゴズボンの裾を引っ張られた。


「アナルッッッッッッッ!!!!!!」


どう見てもそこはケツアナならぬ足である。

ゆっくりと後ろを振り向きいつでも逃げれる覚悟を決める。

そこにはフードをかぶったオオカミの少年がいた。

なんだ子供か…と安心したものの、こんなところに一人子供が居るわけがない。

すぐに薬の売人だとわかった。


「お兄さん、これ欲しいんでしょ…。お金…。」


中々子供にしてはいい声をしている。

フードから見えるその少年の瞳は濁っており、その少年の人生を物語っているようだった。


「いや、俺別に買いに来たわけやないんよ。なんかユーナビから反応もろてここに来たんよね。」


小声で話す銀之助。


「口臭ッ!!!」


ビックリしたオオカミの少年にまたビックリする銀之助。歯は磨いたのに…ってそういう事ではないやろ。


「ヤニ吸うてるからかな…。てかそんなんええやないか!そういう事やからヤクなんかいらんで!ほなね!」


「あ!待って下さい!その反応拾ったって、隕石とかのナビでしたか!?」


先程とはうってかわって子供らしい声で話す少年。

見た目からして【ワーウルフ】である。

どうやら話を聞くと先程拾った反応はワーウルフが送ったものらしい。

どうせ誰も拾わないだろうと思いつつも、きっと誰かが拾ってくれるはず。

そういう2つの思いが重なる時は人間だれしもがあるだろう。


「どういう事や…話してくれへんか兄ちゃん。」


「はい。ご説明の通り、先程の反応を送ったのは僕です。見ての通りここで僕は売人をしています。」


「それでここは星自体が銀河政府にも認知されてない辺境惑星です。つまりはこの星自体、クスリの取り扱い場所になってます。ここに安寧の場所なんかない…。」


「……………そうか…。大変やったな…。兄ちゃんも金で…。」


「はい…。どんな時代になっても金は必要です。病気で苦しんでる親の治療費を払うためにはこうするしかなかった…。銀河政府は何もしてくれない。でも……………。」


「嫌になったんやの。」


クリクリの可愛い目を大きくするワーウルフ。

すぐに理解を示してくれた目の前の口が臭い地球人に驚いたのであろう。


「政府に言うてもなんもしてくれへん。でも流石に警察は動いてくれるはずや。ここやったら…わからんけどギリギリ管轄はタマスージタマタマ警察署が対応してくれるやろう。」


「でもごめんな、俺の愛車バッテリー上がってもうてうんともすんとも言わんのや。せやからまずはバッテリー…もしくは新しいUFOに乗らなあかんの。」


「それなら大丈夫です!アジトのボスのUFOをどうにかして動かそうと思います。」


そうでたか、と脂汗が流れる銀之助。

売人だけがここに居るわけがない。

アジト…つまりは宇宙ギャングも居るはずだ。

そこでUFOをくすんでくると目の前のワーウルフは言うのだ。無茶にも程があるし、何より嫌な予感しかしない。

しかしそうする以外の手立てがない。

銀之助はワーウルフの少年と歩みを進める。


「にしても…なんで着いてきてくれるんですか?僕が何か企んでるかもしれないのに。」


「………目見たらわかるよ。君は嘘ついてへん。ホンマにもうこの現状が嫌になったんやろ。」


「それに君はまだ子供やから罪には問われへんはずや。大丈夫、安心しいな。」


その場でしゃがみ頭をなでる。

本来ワーウルフはトップクラスの毛並みなので撫で心地は美しいはず。

しかしその頭はボサボサで可哀想なものであった。


「レットです。」


「ん?名前か?」


「はい、僕の名前です。おじさんは?」


「さっきお兄さん言うたのにおじさんになってもうたん?一気に老けた俺?俺は町田銀之助やで。」


「銀之助さんですか…。よろしくお願いします。」


「無視かい。」


ダッハッハ!!!

と笑いつつ目的地まで歩く2人。

次の廃墟を右に曲がる。

するとそこには太陽に照らされ、光り輝くちんことキンタマをさらけ出し、服とズボンが鉄筋にひっかかっている少年がいた。

髪は美しい金髪である。

目は瞑っているので何色かはわからないがきっと美しいものであろう。知らんけど。


「…………美しい…。」


「いやどこがよ。はよ助けたらな。」










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