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ギャンブル中毒者が挑む現代ダンジョン配信物  作者: パラレル・ゲーマー
レジェンダリージェム編

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434/491

第418話

【SeekerNet 掲示板 - 総合雑談スレ Part. 1882】


 405: 名無しのゲーマー

 おい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 タンクニキ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 それで、どうなんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 強くなったのか!?


 408: 名無しのビルド考察家


 405

 そうだ!

 効果が発動するのは、「移動速度が低下している敵」に対してだけだ!

 お前のパーティに、敵をスロウにする手段はあるのか!?

 なければ、ただの飾りだぞ、その首輪は!


 その、あまりにも的確な、そしてどこまでも本質を突いた指摘。

 それに、スレッドの空気が、一瞬だけ凍りついた。

 そうだ。

 この宝石は、確かに強力だ。だが、その力を引き出すためには、それ相応の「準備」が必要なのだ。

 その、あまりにも当然な、しかし誰もが熱狂のあまり忘れていた事実に、スレッドがわずかに冷静さを取り戻しかけた、その時だった。

 当事者である、あのB級タンクが、その全ての懸念を、一笑に付した。


 415: 名無しのリフト周回マン

 …はっ。

 お前ら、忘れたのか?

 俺の、クラスを。


 彼は、そう言うと、一枚のスクリーンショットを、スレッドへと投下した。

 そこに映し出されていたのは、彼の、あまりにも無骨で、そしてどこまでも頼もしい、戦士のスキルツリーだった。

 そして、その中心で、一つの巨大な星が、ひときわ強い輝きを放っていた。

 キーストーン【揺るぎなきスタンス】。

 そして、その効果テキスト。

『地面を揺るがすスキルは、敵を30%減速させる』。


 416: 名無しのリフト周回マン

 俺の、主力スキルは【グラウンド・スラム】だ。

 悪いが、俺のパーティに、足の遅い敵しかいねえんだわ。


 静寂。

 数秒間の、絶対的な沈黙。

 そして、爆発。


『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!』

『なんだよ、それ!完璧なシナジーじゃねえか!』

『天啓かよ!お前、この宝石を拾うために生まれてきたのか!』


 その、あまりにも劇的な、そしてどこまでも美しい、運命の悪戯。

 それに、スレッドは、この日一番の、そしてどこまでも温かい、祝福の嵐に、完全に包まれた。

 そして、その祝福の声に背中を押されるように。

 彼は、その新たな力を試すための、次なる一歩を、踏み出した。


 425: 名無しのリフト周回マン

 …面白い。

 じゃあ、もう一周、行ってくる。

 この、新しい相棒の実力を、確かめにな。

 見てろよ、お前ら。


 その、あまりにも力強い宣言。

 それに、スレッドは、熱狂した。

『行ってこい、勇者よ!』『伝説の、始まりだ!』

 その声援に送られ、彼は、その未知なる冒険へと、再びその身を投じていった。


 ◇


 数十分後。

 スレッドは、固唾を飲んで、勇者の帰還を待っていた。

 そして、その沈黙を破るかのように。

 あのB級タンクが、帰ってきた。

 その書き込みは、もはやただの報告ではなかった。

 一つの、新たな世界の扉が開かれたことを告げる、神の啓示だった。


 511: 名無しのリフト周回マン

 ――ただいま。

 そして、お前ら。

 これは、ヤバい。

 マジで、ヤバい。


 512: 名無しのゲーマー


 511

 おかえり!

 どうだったんだよ!


 515: 名無しのリフト周回マン


 512

 …世界が、変わった。

 今まで、あれほど苦戦していた、ランク20のリフトガーディアン。

 あいつが、溶けた。

 マジで、バターみてえに、溶けていきやがった。

 俺の、グラウンド・スラムの一撃。

 それに、あの宝石のダメージボーナスが乗って、火力が、体感で1.5倍以上になってる。

 もう、何も怖くねえ。


 その、あまりにも正直な、そしてどこまでも興奮に満ちた、勝利の報告。

 それに、スレッドは、再び歓喜の渦に包まれた。

 だが、本当の「祭り」は、ここからだった。


 518: 名無しのリフト周回マン

 …そしてな。

 クリアした後、なんか、見たこともねえウィンドウが開いたんだ。


[画像:リフトクリア後の、オベリスクの前に広がる、報酬選択画面のスクリーンショット。そこには、【試練(しれん)要石(かなめいし)を入手する】という見慣れた選択肢の下に、第二の選択肢として【伝説の宝石をアップグレードしますか?】という荘厳なテキストが、青白い光を放って表示されている]


 …なんだよ、これ…。

 アップグレード…?


 その、あまりにも未知なる単語。

 そして、世界の理そのものが変質したかのような、異常な現象。

 それに、スレッドは、爆発した。


『は!?』

『アップグレード!?』

『まさか、育成できるのかよ、あの宝石!』


 その混乱の渦の中で、最初にその価値を嗅ぎつけたのは、やはりあの男たちだった。


 525: ハクスラ廃人

 おい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 これ、マジかよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 無限に、強くなれるってことか!?

 おい、タンク!早く、押せ!そのボタンを!


 その、あまりにも的確な、そしてどこまでも欲望に満ちた、命令。

 それに、B級タンクは、応えた。


 528: 名無しのリフト周回マン


 525

 分かってるよ!

 今、押す!


[画像:アップグレード確認画面のスクリーンショット。【伝説の宝石『絶望(ぜつぼう)せし(もの)残響(ざんきょう)』をランク1にアップグレードしますか?】というテキストの下に、必要素材として【ネファレムポイント x 10】【高純度魔石(ませき) x 100】が表示されている]


 …うわ、結構、素材食うな。

 まあ、いい。

 いくぞ。


 その、あまりにも潔い、そしてどこまでもギャンブル狂らしい宣言。

 それに、スレッドは、熱狂した。

 彼が、その最後のボタンを、タップした、その瞬間。

 彼のインベントリが、一瞬だけ、これまでにないほどの、まばゆい黄金の光に包まれた。

 そして、再び光を取り戻した時。

 そこに表示されていたのは、信じられないほどの、奇跡だった。


[画像:先ほどの【絶望(ぜつぼう)せし(もの)残響(ざんきょう)】の詳細情報。だが、その名前の横に、小さく【Rank: 1】という文字が追加され、効果テキストのダメージボーナスが【10.4%】へと、わずかに、しかし確実に、上昇している]


『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!』

 もはや、言葉はなかった。

 ただ、魂の絶叫だけが、スレッドを埋め尽くしていく。

 彼は、成功したのだ。

 神々の領域へと続く、その無限の階段の、その最初の一歩を、確かに踏み出したのだ。


 その、あまりにも劇的な成功。

 そして、その直後だった。

 世界の、あらゆる場所で。

 同じような、しかし全く異なる「奇跡」の報告が、上がり始めたのだ。


【SeekerNet - North America Server】

『HOLY S**T! I GOT ONE! A blue one!』

(マジかよ!俺も拾ったぞ!青いやつだ!)


【SeekerNet - Europe Server】

『Gott im Himmel! Ist das... ein legendärer Edelstein?』

(なんてこった!これは…伝説の宝石か?)


 その、あまりにも衝撃的な、そしてどこまでもグローバルな、熱狂の連鎖。

 スレッドは、もはやただの掲示板ではない。

 一つの、巨大な、そしてどこまでも開かれた、黄金郷への地図と化していた。

 そして、その地図を、最初に手に入れた者たちが、次なる「富」を生み出す。

 世界の、経済が、再び、そしてこれまでにないほどの速度で、動き始めたのだ。


【SeekerNet 掲示板 - マーケット総合スレ Part. 522】


 1: 名無しの市場ウォッチャー

 おい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 祭りだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 伝説の宝石、ついにマーケットに出品されたぞ!!!!!!!!!!!!!!!

 価格が、ヤバい!!!!!!!!!!!!!!!!


 その、あまりにも切羽詰まった絶叫。

 それに、スレッドは、トップスピードへと加速した。

 公式マーケットの「注目アイテム」欄。

 その、最も目立つ場所に、それは静かに、しかし絶対的な存在感を放って、鎮座していた。

絶望(ぜつぼう)せし(もの)残響(ざんきょう)】Rank: 0。

 そして、その横に表示された、開始価格。

『10,000,000円』。


『い、いっせんまん!?!?』

『石ころ一つが!?』


 だが、その驚愕は、まだ序の口に過ぎなかった。

 出品から、わずか数分後。

 世界の、トップギルドたちが、そのテーブルへと、なだれ込んできたのだ。

 オーディン、青龍、ヴァルキリー・キャピタル。

 だが、その狂乱の、さらにその裏側で。

 より、静かで、そしてどこまでも確実な「市場」が、形成されつつあった。

 B級の探索者たちが、自らが手に入れた宝石を、より現実的な価格で、取引し始めたのだ。

 1000万、900万、800万…。

 需要と、供給。

 その、あまりにも原始的な、そしてどこまでも健全な市場原理。

 その中で、価格は、ゆっくりと、しかし確実に、一つの「適正価格」へと、収束していった。

 約1000万円。

 B級探索者が、パーティで数週間頑張れば、手が届くかもしれない。

 だが、決して安くはない。

 その、絶妙な価格設定。

 それが、この新たなゴールドラッシュの、本当の始まりを告げる、ゴングとなった。

 世界の、全てのB級以上の探索者が、その日、一つの共通の夢を見た。

 自らの、魂を賭けた、無限の育成ゲームの、その甘美な、そしてどこまでも深い「沼」に、その身を投じる夢を。



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