第373話
【SeekerNet - North America Server】
スレッドタイトル: [HOLY S**T] A SECOND "THE UNENCUMBERED" JUST DROPPED IN THE US!
1: 名無しのSlayer
…おい、誰か俺を殴ってくれ。
俺はまだ夢を見てるのか?
さっき、A級下位の【キメラ研究所】でデリリウムのボスを倒したんだ。
そしたら、なんだと思う?
出やがったんだよ。
あの、悪魔のジュエルが。
[画像:インベントリ画面のスクリーンショット。禍々しいオーラを放つスモールクラスタージュエル【持たざる者】が、一つだけ輝いている]
2: 名無しのGladiator
1
スレ立て乙。
…は?
…マジかよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
3つ目!?世界で3つ目の【持たざる者】かよ!!!!!!!!!!!!!!!
3: 名無しのWitch
1
信じられない…!JOKERに続いて、ついにアメリカからもドロップしたのね!
おめでとう!あなた、もう億万長者よ!
その、あまりにも衝撃的な、そしてどこまでもアメリカン・ドリームを体現するかのような報告。
それが、引き金となった。
スレッドは、爆発した。
「マジかよ!」「ついに来たか!」「いくらになるんだ!?」
その熱狂は、瞬く間に時差を超え、日本のSeekerNetにも、燎原の火のように燃え広がった。
【SeekerNet 掲示板 - ライブ配信総合スレ Part. 1035】
511: 名無しの国際ウォッチャー
おい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
お前ら、今すぐ北米サーバーに飛べ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
出たぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
二つ目の【持たざる者】が!!!!!!!!!!!!!!!
512: 名無しのゲーマー
511
うおおおおお!マジかよ!
今度は、アメリカか!
やべえ!やべえよ!
513: 名無しの市場ウォッチャー
512
出品者は、アメリカのA級の無名の戦士らしいな。
そして、今回はアメリカの公式オークションで、ドル形式でオークションがされるようだ!
歴史が、また動くぞ!
その報に、日米の全ての探索者が、その視線を一つの場所へと集中させた。
アメリカ公式オークションハウス。
世界の富と、欲望と、そして何よりも「力」が、再び一点へと収束していく。
戦いの火蓋は、切って落とされた。
開始から、わずか数分。
入札額は、前回のオークションを遥かに上回るペースで、その数字を天文学的な領域へと引き上げていった。
誰もが、理解していた。
JOKERが証明してしまった、あの「世界の壊し方」。その価値を。
そして、そのテーブルの主役は、明らかだった。
前回、100億円の涙を飲んだ、中国の赤い龍。
ギルド【青龍】。
彼らは、その雪辱を果たすため、そして何よりも、この新たな時代の覇権争いに乗り遅れないため、その国家レベルの資産を、惜しげもなく、そしてどこまでも暴力的に、テーブルへと叩きつけていった。
落札は白熱し、最終的に、他の全てのギルドが沈黙した、その時。
モニターに、絶対的な勝利を告げる、一つの数字が刻まれた。
【最終落札価格: $135,000,000 USD】
【落札者: Guild_Seiryu_Fund】
日本円にして、約200億円。
前回の、二倍の価値。
その、あまりにも巨大な数字。
それに、日米の掲示板は、再び、そして最後の、巨大な熱狂の渦に、完全に飲み込まれた。
だが、その熱狂は、もはやただの金銭的な驚きではなかった。
一つの、あまりにも巨大な「可能性」の誕生に対する、畏敬の念だった。
【SeekerNet - North America Server】
811: 名無しのPathfinder (理論家)
…決まったな。
オーディンの次は、青龍が【持たざる者】を落札出来たか。
これで、世界に三人目の…。
812: 名無しのTrickster (戦略家)
811
ああ。
JOKER素手スマイトビルド、3人目の誕生か?
JOKERという、予測不能な「原初」。
オーディンのアリスという、S級スキルに守られた「聖女」。
そして、中国の、国家の威信を背負う、未知なる「兵士」。
なんだよ、これ…。面白すぎるだろ…。
【SeekerNet 掲示板 - ライブ配信総合スレ Part. 1036】
955: 名無しのビルド考察家
…決まったな。
オーディンの次は、青龍が持たざる者を落札出来たか。
って事は、JOKER素手スマイトビルド3人目が誕生か?
958: ハクスラ廃人
955
ああ、間違いない。
JOKER。アリス。そして、青龍の誰か。
まるで、三国志じゃねえか。
誰が、この新しい時代の、覇権を握るのか。
最高のショーが、始まったな。
961: 元ギルドマン@戦士一筋
958
うむ。
そして、我々はその目撃者となるわけだ。
なんと、刺激的で、なんと幸福な時代に、我々は生きているのだろうか。
その、あまりにも壮大で、そしてどこまでも熱狂的な、未来への期待。
それに、日米の掲示板は、完全に一つになっていた。
国境も、言語も、そしてこれまでの競争の歴史すらも超えて。
彼らは、ただ一つの共通の夢を見ていた。
これから始まる、三人の「持たざる者」たちが織りなす、新たな時代の、英雄譚を。
その、あまりにも壮大で、そしてどこまでも面白い、神々のゲームの幕開けを。
世界の、全ての人間が、ただ固唾を飲んで、見守っていた。




