表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ギャンブル中毒者が挑む現代ダンジョン配信物  作者: パラレル・ゲーマー
素手スマイトビルド編Part1

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

382/491

第367話

【SeekerNet 掲示板 - クラフト総合スレ Part. 221】


 511: 名無しの市場ウィッチャー

 おい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 お前ら、今すぐギルドの公式オークションハウスに飛べ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 出たぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 あのジュエルが!!!!!!!!!!!!!!!


 その、あまりにも切羽詰まった絶叫。

 それに、スレッドは一瞬にして、トップスピードへと加速した。

 オークションハウスの「注目アイテム」欄。

 その、最も目立つ場所に、それは静かに、しかし絶対的な存在感を放って、鎮座していた。

 一つの、小さな、しかしこの世界のメタゲームそのものを、根底から覆す可能性を秘めた、スモールクラスタージュエル。


【出品アイテム:持たざる者】

【出品者:名無しのB級盗賊】

【開始価格:100万円】


『うおおおおお!本物だ!』

『デリリウムのボスからドロップしたって、あの伝説のジュエルか!』

『出品者、B級の盗賊なのかよ!とんでもねえもん、引き当てやがったな!』


 スレッドは、お祭り騒ぎとなった。

 誰もが、この歴史的なオークションの、その最初の入札の瞬間を、固唾を飲んで見守っていた。

 そして、その戦いの火蓋は、あまりにも静かに、しかしどこまでも熾烈に、切って落とされた。

 開始から、わずか数分。

 入札額は、あっという間に1億円の大台を突破した。

 世界の、トップギルドたち。

 彼らが、この小さな宝石の、本当の価値に、気づき始めたのだ。

 だが、彼らの計算を、そして世界の常識を、遥かに上回る「熱狂」が、そこにはあった。


 30億。

 50億。

 80億。

 モニターの数字は、もはや現実の金銭ではなく、ただのスコアのように、その価値を増していく。

 その、あまりにも異常なまでの高騰。

 それに、スレッドの有識者たちが、戦慄と共に、その分析を始めた。


 元ギルドマン@戦士一筋:

 …馬鹿な。

 確かに、このジュエルは強力だ。だが、ここまでの価値があるとは思えん。

 徒手空拳ビルドなど、あまりにもピーキーすぎる。

 なぜ、世界のトップギルドたちが、これほどまでに熱狂しているんだ…?


 ハクスラ廃人:

 旦那、あんたはまだ分かってねえのかよ。

 奴らが、買ってるのはな。このジュエルの性能じゃねえ。

 JOKERが証明した、「可能性」そのものだ。

 2日で、18レベル。

 この、あまりにも常識がぶっ壊れたレベリング速度。

 それを、金で買えるんだぞ。

 喉から手が出るほど、欲しいに決まってんだろ。

 **流石に、今後はこのペースじゃないと思うが、**それでも、このアドバンテージは、計り知れねえ。


 ベテランシーカ―:

 ええ、その通りです。

 まあ、金持ちやギルドは、このビルドを真似しようとするでしょうな。

 そして、このジュエルは、そのための唯一無二の「鍵」なのですから。


 その、あまりにも的確な、そしてどこまでも本質を突いた分析。

 それに、スレッドは、本当の意味での「爆発」を起こした。

 そして、その熱狂の、まさにその頂点で。

 オークションは、ついにその最終局面を迎えていた。

 残り時間、1分。

 入札額は、90億円の大台を突破している。

 そして、その最後の殴り合いを制したのは、一つの、あまりにも強大な、北欧の神々の名前だった。


【最終落札価格: 10,000,000,000円】

【落札者: Guild_Odin_Asset】


 静寂。

 数秒間の、絶対的な沈黙。

 そして、次の瞬間。

 スレッドは、もはや制御不能の熱狂の坩堝と化した。


『は!?』

『100億!?ジュエル一個に!?』

『オーディンかよ!あいつら、マジで何でも買いやがるな!』

『これで、オーディンの連中も、レベル1からデルヴ無双するのか…。もう、誰も勝てねえよ…』


 その、あまりにも当然な、そしてどこまでも絶対的な結論。

 それに、スレッドは、温かい、しかしどこか物悲しい、諦観の空気に包まれた。

 天才の、そして金持ちの、独壇場。

 それが、この世界の、変わることのないルールなのだと。


 だが、その空気の中で。

 一人の、名もなきクラフターが、ぽつりと、その流れを変える一言を、呟いた。


『…でもさ。』

『JOKERが、本当に凄かったのって、そこじゃなくね?』

『あいつが、ホリー・ミラーのビルドを、リスペクトを込めて「コピー」した、あの瞬間。俺、マジで震えたんだが』


 その、あまりにも人間的な、そしてどこまでも本質的な指摘。

 それに、スレッドは、はっとしたように、その流れを、変えた。

 そうだ。

 JOKERの、本当の凄さは。

 ただ、強いことでも、運が良いことでもない。

 常に、学び続け、そして変化し続ける、その姿勢そのものなのだと。

 その、あまりにも美しい、そしてどこまでも希望に満ちた結論。

 それに、スレッドは、この日一番の、温かい、そしてどこまでも力強い、賞賛の嵐に包まれた。

 天才は、天才を知る。

 そして、天才は、自らの才能の価値を、誰よりも理解している。

 その、あまりにも美しい、そしてどこまでも残酷な、世界の真実。

 それを、世界の、全ての人間が、ただ固唾を飲んで、見守っていた。

 彼の、新たな伝説が、また一つ、この世界の歴史に、確かに刻み込まれた、その瞬間だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ