【公式ギルド最高幹部以外閲覧禁止】S級ダンジョン以上で出現するアーティファクトPart6
名前:
運命の赤い糸電話
(うんめいのあかいとでんわ)
(The Red String Telephone)
レアリティ:
神話級 (Mythic-tier)
種別:
アーティファクト / 因果律観測具 (Artifact / Causality Observation Tool)
効果:
対になった二つの簡素な糸電話。片方の紙コップを耳に当て、自らの魂の本質(性格、価値観、夢など)を強く念じることで、もう片方の糸電話が世界のどこかに存在する「自らの魂と最も共鳴する、まだ見ぬ運命の相手」の元へと自動的に転移する。
転移した先の相手が、その糸電話を手に取り耳に当てれば、二人の間には物理的な距離を完全に無視した対話が可能となる。二人の間で交わされる言葉は、たとえ異なる言語であったとしても、この糸電話を通じて互いの母国語へと自動的に、そして完璧に翻訳される。
このアーティファクトはあくまで「縁」を結ぶだけであり、相手の居場所を特定する機能は持たない。声と、魂の響きだけが、二人を繋ぐ唯一の道標となる。
フレーバーテキスト:
世界は、あまりにも広く、
人生は、あまりにも短い。
無数の魂がすれ違う、この雑踏の中で、
たった一つの、同じ歌を口ずさむ相手と出会う。
その確率を、賢者は天文学的だと笑った。
だが、愚者は信じた。
声さえ届けば、奇跡は起きると。
さあ、耳を澄ませ。
世界のどこかで、君の歌を待っている、もう一人の君がいる。
【ギルド最高幹部会 - 内部評価報告書】
文書番号: G7-A883-C41
作成日: 20XX年X月XX日
作成部署: 国際公式ギルド アーティファクト管理局 特殊遺物評価分析室
提出先: ギルド最高幹部会
アーティファクト・クラス: 神話級
アイテム名: 運命の赤い糸電話 (うんめいのあかいとでんわ)
脅威レベル評価: E (安全)
現在の状況: 最高幹部会による最終承認済み。近日中に公式オークションへの出品を予定。
1. 概要
本アーティファクトは、所有者の魂の本質と最も共鳴する、未だ見ぬ「運命の相手」と、物理的距離を無視して対話を可能にする、対になった二つの糸電話である。その力の根幹は「因果律の観測」と「縁の具現化」にあり、極めて個人的かつ平和的な結びつきを生み出すことに特化している。
**神話級のアーティファクトとしては極めて異例だが、その本質を俗な言葉で表現するならば、「究極のマッチングアプリ」**とでも言うべき、極めて特殊な因果律観測具である。
2. 市場価値と経済的影響
本アーティファクトの推定価値は5兆円~8兆円と算出される。
その価値は、軍事的・産業的なものではなく、純粋に個人の幸福追求という、代替不可能な需要に基づいている。世界の富裕層や、権力の頂点に立ちながらも孤独を抱える者たちにとって、金銭では決して得ることのできない「魂の伴侶」を見つけ出すという可能性は、計り知れない価値を持つ。
オークションに出品されれば、世界の富が再び大きく動くことは確実だが、その影響は特定の個人資産の移動に限定され、世界経済の根幹を揺るがすものではないと判断する。
3. 社会的・思想的影響の評価:最も安全な奇跡と、その価値
当室による厳密な分析の結果、本アーティファクトの脅威性は、限りなくゼロに近いと結論付ける。脅威0、戦闘性0、精神汚染0。これは、我々がこれまで観測してきた数多の神話級アーティファクトの中でも、極めて稀有な事例である。
内蔵されている翻訳機能は便利だが、あくまで二者間の円滑な対話を補助するための最低限の機能であり、【バベル・オーブ】のように広範囲の情報を解読したり、軍事・経済的に**応用したりすることは不可能であると想定される。**あくまで、魂と魂が直接対話するための、補助的な力に過ぎない。
本アーティファクトがもたらす社会的影響は、むしろ有益であるとすら言える。人種、国籍、文化、言語の壁を越えて、個人と個人の間に、最も深く、そして純粋な絆を生み出す可能性がある。それは、世界の相互理解を、草の根レベルで促進する、静かな、しかし確かな力となりうるだろう。
4. ギルドとしての公式見解・推奨措置
以上の観点から、当ギルド最高幹部会は、本アーティファクトの情報開示、及び市場への流通を、満場一致で承認した。
本件は、【不動の大地、ガイアの礎】のように世界の軍事バランスを崩壊させるものでもなければ、【バベル・オーブ】のように人類の価値観を根底から揺るがす禁断の真実を内包するものでもない。
その力は、あまりにも個人的で、あまりにも優しく、そしてあまりにも、平和的だ。
我々の責務は、危険な力を封印し、管理することだけではない。
人類にとって、真に有益で、その心を豊かにする奇跡を、正しく世界へと還元していくこと。それもまた、世界の真の守護者として、我々に課せられた責務である。
この【運命の赤い糸電話】が、世界のどこかで、孤独な魂を救う一助となることを、我々は願うものである。
この報告書もまた、最高機密として、アーカイブの最深部へと封印するものとする。
以上。




