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ギャンブル中毒者が挑む現代ダンジョン配信物  作者: パラレル・ゲーマー
宿命のカード編

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337/491

第325話

【SeekerNet 掲示板 - D級ダンジョン総合スレ Part. 220】


 901: 名無しのスロット狂

 あのー、すみません!

 新しくできたD級ダンジョンの【カジノのモンスターランド】ってとこに行ってきたんですけど。

 なんか、【ギャンブラー】のカードが、やたらとドロップするんですけど、これって当たりですか?


 その、あまりにも初々しい、そしてどこまでも空気を読んでいない新人からの質問。

 それに、スレッドの住人たちは、呆れたような、しかしどこか優しいツッコミを入れた。


 902: 名無しの骨拾い


 901

 新人ちゃん、乙。

【ギャンブラー】は、まあ当たりっちゃ当たりだが、大したもんじゃねえよ。

 大抵は、ゴブリンの耳カードになって終わりだ。

 まあ、D級なんてそんなもんさ。

 気にすんな。


 903: 名無しのC級魔術師


 901

 だな。

 まあ、5枚集めて交換してみろよ。

 面白いもんが見れるかもしれねえぞ。良い意味でも、悪い意味でもなwww


 その、あまりにも先輩風を吹かせた、そしてどこまでも親切な言葉。

 それに、新人は素直に従った。

 彼は、そのダンジョンで、さらに数時間、狩りを続けた。

 そして、その日の夜。

 彼は、再びスレッドに舞い戻ってきた。

 その書き込みは、もはやただの質問ではなかった。

 一つの、伝説の始まりを告げる、ファンファーレだった。


 915: 名無しのスロット狂

 あの…。

 すみません、また来ました。

 先輩方に言われた通り、【ギャンブラー】のカード、5枚集まったので、交換してみました。

 そしたら…。

 なんか、見たことないカードが出たんですけど…。

 これ、なんですかね…?


 その、あまりにも無邪気な報告と、そしてあまりにも無謀な質問。

 それに、スレッドの空気が、わずかに変わった。


 918: 名無しのビルド考察家

 …おい、待て。

 なんだ、そのカードは…。

 見たことないぞ…。


 920: ハクスラ廃人


 918

 ああ。

 デザインの、解像度が違う。

 これは、ただのクソカードじゃねえ。

 …新人!早く、効果テキストを上げろ!


 その、ベテランたちの、ただならぬ気配。

 それに、スレッドの全ての視線が集中した。

 そして、その新人は、言われるがままに、その神のテキストを、スレッドへと投下した。


 925: 名無しのスロット狂

 え、えっと…。

 こう、書いてあります…。


 カード名:

 世界(せかい)()らう五匹(ごひき)(りゅう) (The Five Dragons That Devour the World)


 外見:

 薄く削り出された、化石化した竜の鱗のような質感を持つカード。表面には、古代の壁画を思わせる原始的なタッチで、五匹の竜が互いの尾を喰らい合い、一つの歪な円環ウロボロスを形成している姿が描かれている。カード全体が、内側の奥深くで、まるで溶岩がゆっくりと脈打つかのような、鈍い、しかし確かな熱量を放っている。カードの隅には、**(1/5)**という数字が、竜の爪で刻まれたかのように、深く刻み込まれている。


 効果:

 このカードを5枚集め、「交換!」と宣言することで、神話級クラフトアイテム**【神のオーブ】を5つ**入手できる。


 フレーバーテキスト:

 一匹目の竜は、天を喰らい、星々の運行を乱した。

 二匹目の竜は、地を喰らい、山脈を砂塵へと変えた。

 三匹目の竜は、海を喰らい、時の流れを堰き止めた。

 四匹目の竜は、命を喰らい、死の安寧を打ち砕いた。

 そして、最後の一匹は、己を含む全てを喰らい尽くした。


 その絶対的な無の中から、最初の神は生まれたという。

 お前が持つのは、五つの魂か。

 それとも、世界を創り直す、五つの権能か。


 静寂。

 数秒間の、絶対的な沈黙。

 スレッドの、全ての時間が止まったかのような錯覚。

 誰もが、そのあまりにも荘厳で、そしてどこまでも常軌を逸したテキストを、ただ呆然と見つめていた。

 そして、その静寂を破ったのは、一人の、あまりにも素直な、そしてこのスレッドの全ての住人の心を代弁するかのような、一言だった。


 931: 名無しのゲーマー

 …は?


 そうだ。

 誰も、理解できなかった。

 その、あまりにも巨大すぎる、情報の奔流を。

 スレッドは、困惑の渦に飲み込まれた。

『なんだ、これ?』『神のオーブが、5個!?』『コラ画像だろ、これ!』

 その、混沌の中心へと。

 一つの、静かな、しかしどこまでも確信に満ちた声が、響き渡った。

 投稿主は、この世界の、誰よりも深く、そして誰よりも正確に、その理を知る、賢者たちだった。


 955: 元ギルドマン@戦士一筋

 …馬鹿な。

 ありえん。

 これが、JOKERが引き当てた、あの奇跡の正体だったというのか…?


 958: ハクスラ廃人

 おいおい、ギルドの旦那。

 どういうことだよ!


 961: ベテランシーカ―

 皆さん、落ち着いてください。

 ですが、これは、もはやただの祭りではありません。

 世界の、理が、覆ります。

 思い出してください。JOKERが【虚空(こくう)】から引き当てた報酬。それは、【神のオーブ】が5個でした。

 そして、【虚空(こくう)】の効果は、『他の【宿星のカード】がもたらす報酬の中から、いずれか一つをランダムで入手できる』。

 つまり…。


 ――JOKERの当てた神のオーブ×5はこれか!


 その、あまりにも鮮やかで、そしてどこまでも論理的な、証明。

 それに、スレッドは、本当の意味での「爆発」を起こした。

 もはや、それは賞賛ではない。

 一つの、世界の理そのものが、根底から覆された瞬間への、畏敬の念だった。

 JOKERの、あの奇跡。

 それは、ただの幸運などではなかった。

 この、まだ誰も見たことのなかった、神々のカードの「大当たり」を、あの狂乱のギャンブルの果てに、引き当てていたのだ。

 その、あまりにも天文学的な確率。


 その、絶対的な事実を前にして。

 スレッドの、有識者たちが、その戦慄に満ちた、次なる「予測」を、語り始めた。


 1513: ハクスラ廃人

 …おいおい、待てよ。

 じゃあ、このカードの価値は、どうなるんだよ。

 神のオーブ一個が、250億だ。それが、5個。

 1250億円。

 それを、5枚で割るってことは…。

 このカード一枚あたりの価値は、最低でも250億円ってことだ…。

 そして、あの新人は、それを、たった5枚の、おそらくは価値の低いカードと交換で、引き当てやがった。


 1521: 名無しのB級タンク

 いや、マジで夢があるな…。

 俺も、明日からカジノに籠もるか…。


 1525: ハクスラ廃人


 1521

 馬鹿野郎。

 お前が行ったところで、【ギャンブラー】を1000枚集めても、ゴブリンの耳カードを200枚引いて終わりだ。

 これは、選ばれた者にしか、許されない奇跡だ。

 だがな…。


 彼は、そこで一度言葉を切った。

 そして、この世界の、新たな「真理」を、スレッドへと投下した。


 1528: ハクスラ廃人

 この奇跡は、もはやただの偶然じゃねえ。

 お前ら、思い出せ。

 少し前に、このスレで誰かが提唱してた、あの仮説を。

『ターゲットファーミング』。

 特定のカードは、特定のダンジョンからしか出ない、というあの説だ。

 その、最後のピースが、今、はまったんだよ。


 1531: 名無しのビルド考察家


 1528

 …そういうことか!

 見ろ!やはり、我々の仮説は正しかったのだ!

 ゴブリンの巣では、【|ゴブリン《》の親族(しんぞく)】が出る。

蜘蛛(くも)巣穴(すあな)】では、【女王(じょおう)抱擁(ほうよう)】が出る。

 そして、今回の【世界(せかい)()らう五匹(ごひき)(りゅう)】!

 竜って事は、竜関連が出るダンジョンって事か?


 その、あまりにも鮮やかで、そしてどこまでも論理的な、逆転の発想。

 それに、スレッドは、再び、爆発した。


 1545: 元ギルドマン@戦士一筋

 ああ、間違いない。

古竜(こりゅう)寝床(ねどこ)】か?あるいは、まだ見ぬS級の竜の巣か?


 1551: 名無しの国際ウォッチャー


 1545

 待て!**アメリカにも、何箇所かあるぞ!**ロッキー山脈の【ワイバーンの渓谷】とか!

 **日本にも、何箇所かある!**九州の【龍神(りゅうじん)(ぬま)】とか!そこか????


 1558: ベテランシーカ―


 1551

 皆さん、落ち着いてください。

 いやいや、単純に竜と言っても、種類がありますしな。

 カードに描かれていたのは、東洋風の龍か、それとも西洋風のドラゴンか。

 あるいは、もっと原始的な、恐竜のような存在か。

 その、あまりにも多くの、そしてどこまでも魅力的な、可能性。


 その、あまりにも壮大で、そしてどこまでも危険な、新たなゴールドラッシュの幕開け。

 それに、スレッドは、もはや制御不能の熱狂の坩堝と化した。

 誰もが、その未知なるダンジョンに、思いを馳せた。

 そして、そのテーブルに、自らが最初に着くことを、夢見た。

 世界のルールは、今、この瞬間も、目まぐるしく、そしてどこまでも面白く、変わり続けていた。

 その、巨大な奔流の中心で。

 探索者たちの、本当の「冒険」が、今、始まろうとしていた。




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