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第220話

 

【SeekerNet 掲示板 - North America Server】

 スレッドタイトル: 【速報】米冒険者学校、初の月間ランキング発表!【古参の逆襲と、快適すぎるRVライフ】 Part.1


 1: 名無しのルーキー

 ついに来たな!冒険者学校、初の月間ランキングだ!

 俺、昨日の夜からずっと公式ページに張り付いてたぜ。

 で、結果は…まあ、分かってはいたけどな。


 やっぱり、アメリカの冒険者学校も同じように、現役でC級だった中卒の冒険者達が、トップ100位までを占拠してる!

 日本と同じだ。実戦経験の差は、一ヶ月じゃひっくり返せねえってことか…。

 まあ、俺はランク外だったが、正直そこまで気にしてねえ。

 なぜなら、今の俺の生活、マジで最高だからな。


 2: 名無しの元ファストフード店員


 1

 分かる。めちゃくちゃ分かるぞ。

 俺も、ランキングは1万番台で、スターリング・ファンドの恩恵にはまだ与れてない。

 だが、そんなことどうでも良くなるくらい、この生活は天国だ。

 見てくれよ、俺の新しい「城」を。


[画像:ネバダの砂漠の夕日を背景に、黒い装甲と巨大なオフロードタイヤが特徴的な、最新鋭の個人用装甲RVが停まっている。その横には、小さな焚き火と、折り畳み式の椅子が置かれている。]


 **授業は、この個人用の装甲オフロード高級キャンピングカー(RV)で、完全にリモートワークみたいな感じで受けられる。**朝起きて、コーヒーを飲みながらA級の講師の講義を聞く。午後は、目の前のダンジョンに潜って、実践訓練。夜は、キャンプサイトの仲間たちと、焚き火を囲んで情報交換。

 この天国のような環境で、冒険者生活を満喫してる。

 正直、これ以上の人生があるとは思えねえ。


 3. 名無しの元チアリーダー


 2

 それな!マジで、それな!

 私も、このRVライフ、最高に気に入ってる!

 もっとこう、殺伐としてるのかと思ってたんだ。特に、ダンジョンの前のキャンプサイトとか。

 でも、全然違う。

 ダンジョン前の周りの探索者達が、みんな優しくて、ぬくもりを感じるわ。

 昨日も、車のエンジンが少し不調になったんだけど、隣のサイトにいたメカニック専門のおじさんが、嫌な顔一つせずに見てくれてさ。

「お嬢ちゃん、こういう時はな」なんて、言いながら。

 思ったより、殺伐としてないな。

 まあ、**リモートワークだから、そもそも顔を合わせて学校じゃないからな。**変な人間関係のストレスもないし。


 4. 名無しの元アメフト部


 3

 ああ、分かる。学校だったら、確実にギスってたな。

 特に、あのランキングシステムだろ?

 毎日、教室で顔を合わせてたら、絶対に足の引っ張り合いとか、陰口とか、そういうのがあったはずだ。

 でも、リモートだから、そういうのが一切ない。

 自分のペースで、自分のやり方で、強くなることだけに集中できる。

 俺は、このスタイルの方が、性に合ってるぜ。


 5. 名無しの情報分析官


 4

 確かに、その点は大きなメリットだろうな。

 だが、俺はランキング上位の連中の装備リストを見ていて、一つ面白いことに気づいた。

 日本のスレでも、同じようなことが話題になってたが。


 日本はまだ平和らしい。アメリカと同じように、C級中卒冒険者がランキングを占拠してて、みんな【清純(せいじゅん)元素(げんそ)】と【元素(げんそ)円環(えんかん)】付けてるらしい。

 アメリカも同じだし、国は関係ないのな。

 結局、トップを目指す連中がたどり着く「最適解」は、万国共通ってことだ。

 どんなに環境が違っても、強いビルドは、強い。

 実に、面白い。


 6. 名無しの現実主義者


 5

 ああ。だが、一つだけ違う点がある。

 装備の、値段だ。

 日本のスレじゃ、あの「制服」セットが8万円に高騰してて、悲鳴が上がってたろ?

 だが、こっちのマーケットじゃ、まだそこまでじゃない。

 大体、4万ドル(約6万円)前後で、安定してる。

 これは、単純に国土の広さの問題だろうな。

 アメリカは広大だから、各地のダンジョンの産出で、まだ初心者装備はそこまで高騰してないからな。

 ダンジョンが一極集中してる、日本よりはマシなのかもしれん。

 まあ、そのうちこっちもインフレ地獄になるんだろうがな…。


 7. 名無しのA級(通りすがり)


 6

 はっ、お前ら、本当に楽観的だな。

 その「マシな状況」が、いつまで続くと思ってるんだ。

 スターリングが、この国に何を求めているか、まだ分かっていないらしい。

 彼は、「競争」を求めているんだ。

 お前らが、今感じているそのぬるま湯のような快適さはな、彼が用意した、嵐の前の静けさに過ぎん。

 ランキングが本格的に動き出し、才能のある奴らが頭角を現し始めたその時。

 この国の探索者社会は、日本の比ではないほどの、本当の「格差社会」と「競争地獄」へと、突入することになる。

 まあ、俺は高みの見物をさせてもらうだけだがな。

 せいぜい、今のうちに、その快適なRVライフとやらを、満喫しておくんだな。


 その、あまりにも冷徹で、そしてどこまでも真理を突いた、A級探索者の言葉。

 それに、それまで和やかな空気に包まれていたスレッドは、一瞬にして静まり返った。

 そして、その沈黙を破るかのように。

 最初に書き込んだ、あの18歳のルーキーが、決意を新たにしたかのように、最後の書き込みをした。

 その言葉は、この新しい時代の、全ての若者の心の叫びだった。


 102: >>1

 …A級先輩の言う通りかもしれない。

 でも、俺は、それでもこの道を選んだことを、後悔してません。

 競争、上等です。

 格差、上等です。

 俺は、この最高の環境で、絶対にトップ100に入ってみせます。

 そして、いつかJOKERさんみたいに、自分の力で、運命をひっくり返すような、最高のギャンブルを見せてやる。

 見ててください。

 俺たちの世代が、この国の、いや、この世界の新しい「王」になる、その瞬間を。




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