第211話
【SeekerNet - 北米サーバー】
スレッドタイトル:[マジかよ] 日本の雷帝ファンドに700億ドルのブースト&イーサン・スターリングがトップ100の生徒に月7000ドルの奨学金。ゲームのルールが変わったな。 Part.7
1: 名無しのレンジャー
いくぞぉぉぉぉぉぉっ!!!!! (Let's F***ing Go)
起きてニュース見て、まだ夢の中にいるんじゃないかと思ったぜ。
誰か、俺が今読んだことが本当か教えてくれ。日本の「全員に参加賞をあげる」基金に10兆円(700億ドルだろ!?)の寄付があって、しかも我らが「ギガチャド」イーサン・スターリングが、自分独自の競争型奨学金を始めたって?
これ、現実か?
2: 名無しのデュエリスト
1
現実だ、兄弟。紛れもない現実だ。俺たちが寝てる間に、世界は公式に狂っちまったのさ。
俺のギルドのDiscordは、もう火事みたいに燃え上がってる。みんな正気を失ってるぜ。
3: 名無しの新人ウィッチ
1
オーケー、私、新人だから誰か説明してくれる?スターリング・ファンドは分かるわ。新しい冒険者高校のためのものでしょ?でも、もう一方の基金に700億ドルも寄付したのって誰なの?あと、「アットホームな職場」ってどういうこと?もう、わけがわからない。
4: 名無しのスレイヤー(ベテラン)
3
よし、ガキんちょ、座ってよく聞け。スレイヤーパパが分かりやすく説明してやる。
今、盤上では二つの巨大な哲学が、二人の神によって動かされているんだ。
哲学A:日本の「クンバヤ」方式(雷帝ファンド)
概要: 今や65兆円(ほぼ5000億ドルだ)を超える巨大な基金で、全ての低ランク冒険者に初期費用を貸し出す。基本的には、英雄になりたい奴らのためのベーシックインカム(UBI)だな。
新たな寄付: SS級のハイスト専門家集団「名もなき収穫者たち」が、稼いだ10兆円をこの基金にぶち込んだ。
奇妙な点: 「レベル46になって、俺たちと一緒にハイストを周回しろ。すごく『アットホーム』な職場だ」っていうメッセージを残した。これがジョークなのか、脅迫なのか、それとも歴史上最も奇妙な求人広告なのかは誰も知らない。だが、金は本物だ。
哲学B:アメリカの「もっと上手くなれ」方式
概要: 我らが救世主、イーサン・スターリングが日本の「お恵み」を見て、こう言ったんだ。「可愛いもんだな。さて、こっちを見ろ」ってな。
内容: 彼は参加賞トロフィーを配る気はない。勝者に投資するんだ。新設されるアメリカの冒険者高校の、ランキング上位100名の生徒を個人的に支援する。
報酬: 最低でも、月額7000ドル。返済不要。ただ最強であるというだけで、年間8万ドル以上が非課税で手に入る。
落とし穴: ランキングが101位に落ちるか?その瞬間に、金の流れは止まる。無慈悲で、残酷で、純粋な資本主義。そして、最高に美しい。
つまり、日本は底辺を引き上げようとしていて、アメリカは天井を月までぶち上げようとしてるってわけだ。今、起きてるのはそういうことだ。
5: 名無しの新人ウィッチ
4
…うそ。マジで…。
じゃあ、一つは慈善事業で、もう一つは競争ってこと?
それに…「アットホームな職場」?世界で一番危険な強奪計画をやってるグループにとって、それってどういう意味なの?
6: 名無しのバーサーカー
5
そりゃミーム(ネットのネタ)だよ、お嬢ちゃん。そして最高に面白い。日本人は奇妙だが、金持ちで奇妙なら、それは最高の奇妙さだ。
メッセージなんてどうでもいいだろ?700億ドルは700億ドルだ。あのベーシックインカム基金は、もう小国くらいなら買えるほどデカくなっちまった。
7: 名無しのシャドウ
6
俺はそうは思わないな。メッセージこそが最重要だ。あれは、あの「収穫者」たちがどれだけ現実から乖離しているかを示している。彼らは経済を破壊するほどの伝説級アイテムを見つけ、大金で売りさばき、その金を次のスリルへ向かう途中で道端の募金箱に小銭を投げ入れるかのように扱っている。これは、我々とは違うゲームをプレイしている「ポストエコノミー」思想の領域だ。彼らこそが、ゲームそのものなんだ。
8: 名無しのデュエリスト
7
深いな。だが、現実を見ようぜ。本当のニュースは、スターリング・ファンドの方だ。
あれはただのゲームチェンジャーじゃない。人生を変える。
月7000ドルだぞ?ティア1のMODが付いた装備一式が手に入る。夢に見た全てのサポートジェムを買って、全部20/20にできる。
これは、ただの奨学金じゃない。王を創り出すための「キングメーカー・ファンド」だ。
9: 名無しのガーディアン
これがおかしいと思ってるのは、俺だけか?
子供たちにかかるプレッシャーは、とてつもないものになるぞ。16歳で、ランキング99位にいて、たった一度の失敗、一度のテストの不合格が、自分の未来全てを失うことに繋がりかねないと知っている状況を想像してみろ。
燃え尽きたり、精神的に病んでしまう子供たちが出てくるだろう。これは超エリート階級を生み出し、それ以外を塵芥のように置き去りにする。…危険な感じがする。
10: 名無しのレンジャー
9
泣き言はやめろよ。「危険」だと?俺たちは、文字通り異次元から来たモンスターと戦って生活してるんだぞ。
プレッシャーこそが、ダイヤモンドを創るんだ。スターリングはそれを知っている。人の気持ちを心配して、数兆ドル規模の帝国が築けるかよ。勝者を支援することで、帝国は築かれるんだ。
これがアメリカのやり方だ。競争。実力。そして、勝利。熱さに耐えられないなら、キッチンから出て行け。安全でいたい奴らのためには、雷帝ファンドがある。最高になりたい奴らのために、スターリング・ファンドがある。俺がどっちを選ぶかなんて、分かりきったことだ。
11: 名無しのスレイヤー(ベテラン)
10
それな。マジでそれ。
スターリングは4次元チェスをやってるだけじゃない。新しいゲームを発明してるんだ。
考えてみろ。日本のモデルは平均点を引き上げ、安定した中級冒険者の労働力を大量に生み出す。これは、彼らの国家経済と資源供給にとっては良いことだ。社会主義的な戦略だな。
スターリングのモデルは、平均を無視する。ベンチャーキャピタルの戦略だ。彼は、指数関数的な成長の可能性を秘めた「人的スタートアップ」に、ハイリスク・ハイリターンの資本を投資している。彼にとって、100人全員がSSS級になる必要はない。もし、たった一人でも次の雷帝や、次のイーサン・スターリングが生まれれば、彼の「投資」は国力と名声という形で、千倍にもなって返ってくるんだ。
見事で、無慈悲。そして、これこそが俺たちが「勝つ」理由だ。
12: 名無しの新人ウィッチ
勝つ…って、何を?日本とは同盟国だと思ってたけど?
13: 名無しのスレイヤー(ベテラン)
12
お嬢ちゃん、トップを目指すレースに、同盟国なんて存在しない。いるのは、競争相手だけだ。
メジャーリーグへようこそ。
255: 名無しの情報屋 from JP Server
やあ、北米のみんな。お馴染みの情報屋が、こっちのネットで出回ってるネタを持ってきたぜ。興味あるだろ。
[噂] イーサン・スターリングが、アメリカ冒険者高校の初代校長に内定したらしい。
256: 名無しのデュエリスト
255
ふざけんなよ。
マジで言ってんのか?
257: 名無しのレンジャー
255
当たり前だろ。
他に誰がいるってんだ!?
あの男は、文字通り学校のエリートクラス全員に金をばらまいてるんだぞ。ただの投資家じゃない、学長閣下だ。
俺たちの校長は、数兆ドル持ちのSS級冒険者になる。
日本の校長は、いい人だってことで有名な男だ。
これじゃ、フェアな戦いにならねえな(笑)
258: 名無しのバーサーカー
イーサン・スターリングが運営する学校か…。
期末試験は、たぶん敵対的企業買収だろうな。
テストに落ちたら、お前の装備は最低価格で他に売り払われる。
最高じゃねえか。入学するわ。
259: 名無しのガーディアン
どんどん酷くなっていくな。彼は教育者じゃない、捕食者だ。あの学校を、サメだらけの水槽に変えるつもりだ。
260: 名無しのスレイヤー(ベテラン)
259
その通り。そして、サメは海の頂点に立つ捕食者だ。
彼は学校を建ててるんじゃない。怪物を育てるための、飼育場を造ってるんだ。
**これだから、スターリングは史上最高なんだよ。**彼はゲームをプレイするだけじゃない。ルールそのものを創る。
421: 名無しのハクスラ廃人 from Global
待て、もっとすごい話がある。お前らの見方次第では、もっと最悪な話だがな。
スターリング・コーポレーション内部の情報筋が、アメリカ冒険者高校の「支援パッケージ」の詳細をリークしてきた。
奨学金だけじゃない。これは、正気の沙汰じゃない。
422: 名無しのデュエリスト
421
早く言え。今すぐだ。
423: 名無しのハクスラ廃人 from Global
これは、トップ100だけじゃない。アメリカの学校の**「全生徒」**が対象だ。
「兵站の非効率性を排除し、訓練への集中を最大化するため」に、スターリングは以下を提供する。
全生徒一人一人に、個人用の装甲オフロード高級キャンピングカー(RV)。 特別に製造された車両で、強化シャーシ、衛星通信、完全な移動司令部機能を備えている。
各RVに、個人用のギルド認定ドライバー兼整備士。 スターリング社に雇われた、引退済みのB級冒険者たちだ。彼らの仕事は、生徒を国内のどのダンジョンゲートへも送り届け、車両を整備し、戦闘以外の全ての雑務を処理することだ。
生徒たちの唯一の仕事は、起きて、訓練し、戦い、そして強くなること。それ以外の全ては、彼らのために用意される。
424: 名無しのレンジャー
…。
ちょっと、待ってくれ。
彼は、15歳の子供全員に…マッドマックスみたいな豪華バスと…お抱えの運転手を与えるってのか?
425: 名無しのバーサーカー
マジで、どうなってんだよ。
それは学校じゃない、移動要塞だろ。
そのRVには、武器のクラフト台とミニバーが付いてるに違いねえ。
これは、俺が今まで聞いた中で、最も狂ってて、やりすぎで、最高にアメリカ的なことだ。
美しすぎる。
426: 名無しの新人ウィッチ
もう…理解が追い付かない…。
つまり、日本の生徒はローンと、肩ポンがもらえる。
アメリカの生徒は、個人用の戦闘車両と、執事がもらえる。
すごく…バランスが取れてるわね。
427: 名無しのデュエリスト
426
バランスなんて、弱者の言い訳だ。
あるのは、力だけ。そして、圧倒的で、常軌を逸した額の金だけだ。
**それこそが、イーサン・スターリングの格の違いさ。**彼は、ちょっと助けてくれるだけじゃない。ペントハウス行きのロケット推進エレベーターをくれてやって、屋上にいる他の奴らを全員蹴り落とせって言う男だ。
428: 名無しのガーディアン
これは、大惨事になるぞ。我々は、何もかもを与えられて、苦労を知らない甘やかされたガキの世代を創り出そうとしている。彼らは、初めてまともな武器を手に入れる価値も、より良いフラスコのために貯金する喜びも知らないだろう。全てが、プラチナの皿に乗せられて差し出されるんだ。彼らには、根性が欠けている。
429: 名無しのスレイヤー(ベテラン)
428
お前は、まだ分かってない。
苦労とは、フラスコのために貯金することじゃない。苦労とは、ランキングそのものだ。
スターリングは、序盤の人生における、退屈で平凡な苦労を全て排除した。彼は、貧困と兵站を方程式から消し去ったんだ。
なぜか?彼らが、初日から100%のエネルギーを、唯一意味のある闘争、すなわち**「互いとの闘争」**に集中できるようにするためだ。
彼は子供を育ててるんじゃない。彼の新しいコロッセオのための、剣闘士を育てているんだ。そして、チャンピオンへの褒美は、我々の想像を絶する未来だ。
弱い者は壊れる。甘やかされた者は、淘汰される。真に渇望し、真に才能があり、その想像を絶するプレッシャーの中でこそ輝ける者だけが、生き残る。
そして彼らは、神となるだろう。
430: 名無しのレンジャー
429
分かった。俺は、決めた。高校に再入学する。
どこで申し込めるんだ?
これは、もはやただ冒険者になるって話じゃない。
伝説になるための、物語だ。
スターリングのやり方で。
さあ、始めようぜ。
北米サーバー全体が、ハイプと野心、そして新しいゴールドラッシュの、荒々しいエネルギーの炎に包まれた。日本の基金がもたらした静かな善意は、高級RVのV8エンジンの轟音と、残忍で、輝かしく、そして非常識なほど金のかかった未来の約束の前に、遠いこだまとなってかき消された。
彼らにとって、ゲームはまだ始まったばかり。そして彼らは、その勝者になることを固く誓っていた。