情報屋アキ
見かねた女性プレイヤーがこちらに来た。見た目は13種の一つ妖魔族の天狗だと思われる外見で妖魔族というのは日本の妖怪をモチーフにした種族だ。
「それ以上彼に絡むなら運営にあんたの事通報するけどどうするの」
「は!なんで俺が!」
「周りを観てみなさい」
男は周りを観ると野次馬達はそれぞれ色んな事を言い合っており内容までは分からなかったけども自分に対しての何かを言われているように感じたのだろう。その男はそのままその場所を走り去ってしまった。
「大丈夫だった?」
「ありがとうございます。いきなりの事だったんでこっちもどうしようかと思ってしまって。俺はソラウミって言います。今お金はないんですけど助けてもらったし何か手伝えることってありますか今日1日俺は予定が空いているんですが」
野次馬達の事も気になるしこの場を早く離れたいのだが彼女には助けてくれた恩もあるし何かしてあげたいなと思っていた。そんな俺の提案に彼女は
「いいの?それじゃあさあっちでちょっとお話しない。私こう見えても情報屋なんだ。ソラウミの称号について色々聞きたいんだけどいい?」
情報屋なんてやっているプレイヤーがいるのかと思いながらいいですよと言って近くの休める場所に俺達は移った。
少し離れた所に情報クラン『わらしべ』という看板があると事に来た。
「まだ出来立てだけど情報クラン『わらしべ』にようこそ白蒼の冒険者さん」
「クラン・・・確か複数のプレイヤーが集まって作る組織でしたよね」
クランとは同じ目的を持ったプレイヤーどうして集まって遊ぶものという考えを俺は持っている。遊び方はそれぞれだしね。
「そうそう、私達は情報を買ったり売ったりしているの。さっきみたいなプレイヤーのせいで扱いにくい情報を私達の所で取り扱って掲示板なんかに乗せたりもしているのよ」
「へ~そんなのもあるんですね。ということは俺を連れて来たのは称号の情報ですね」
「正解!称号の情報は貴重だし欲しいと思っているプレイヤーは多いからね」
これは俺にとっても悪くない話だ。さっきみたいなことになるぐらいならここに売った方が絡まれるリスクを減らせるしここで情報を手に入れることも出来るだろう。
「正直俺も今回のようなことがあるなら情報はここで売りたいですね。掲示板は書かないし扱ってもらえるとありがたいです」
「それじゃあ!情報くれるんだね。こっちもそれに見合ったお金を払うわ」
「家お金は今回要りません。助けてもらえましたしただで話します。その代わりにフレンドになってくれませんか。えっと・・・」
「あ、そういえば名前言ってなかったね。私はアキ。わらしべの副リーダーよ。フレンド交換だけでいいの?」
「はい、アキさんとの縁は俺にとっても良い事ですしお金より価値がありますから」
「ふふ、面白いね貴方」
そんな会話をして俺は持っている称号を話した。それを手に入れた経緯なども話しながら俺の推測なども交えて教えていく。アキさんの目は真剣でりながらキラキラしている。
「逃走者、ヒットマン、スピードスターは検証できるけどジャイアントキリングは難しそうね。レベルの差がどれぐらいで条件が満たされるのか根気よくやらないと」
「そうですね。レベルの差なのかステータスなのかもわかりませんしそもそも複数人で挑んでも複数人に獲得できるかもわかりませんしね」
アキさんと情報を交換しながら話していた時だった。アキさんは俺の首にぶら下がっている物に気づきそのことを聞いて来た。
「あれ?それって装備品のアクセサリーだよね。自分で作ったの?」
「いえ、宝石店で買いました。綺麗ですよね。これで風属性の攻撃を少し上げてくれるんですよ」
それを聞いたアキさんはびっくりしていた。その反応から俺が言ったことが凄い事なのだろうと言う事は察することが出来た。
「宝石店ってなに?そんな店この街にないよね。どうやって見つけたの」
身を乗り出し聞いてくるアキさんを落ち着かせて宝石店までの経緯を話す。真剣に聞いているアキさんに全部話し終えると頭を抱えてしまった。
「大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫。私の頭の固さにちょっと呆れてただけだから。そうよねMMOになっているからってNPCを軽視していたわ。今までの作品がストーリーイベント以外固定テキストだったからこっちでもそうなんじゃないかななんて思ってた」
「ああ、確かに過去作やっているとそんなふうに思いますよね」
過去作では必要なイベント以外はほぼほぼNPCは同じことを言っている固定NPCなのだ。なので大体無視してしまうこともある。この世界ではそう言う事はなるべく避けた方がいいことがわかる。そんなことを考えていると切り替えたアキさんが何かをやっている。
「称号以外の情報を貰っちゃったしこれ受け取っといて」
そいう言いて俺の画面に5000ガルドを貰いますかという物が映った。
「いいんですか?こんなに」
「ソラウミ君の情報はこれからのプレイヤー全体に大きな意味のある情報だしねこれぐらいは払わせて」
「・・・それならありがたく受け取りますね」
アキさんの大げさとも思える言い草に思う所はあったけども断った所で話がこじれるだけなので素直に受け取りました。そして席を立ち最後に挨拶をした。
「それじゃあ俺は行きます。欲しい情報とかあったらまた来ますね」
「ええ、情報を手に入れたならいる時に連絡でもして頂戴」
そのままその場を後にし俺は魔法ギルドに向かった。