新しい仲間 スミン
手に走る衝撃にびっくりしながらその場所にある植物を見る。周りの白い花と同じに見えるその花なのだが他とは全く違う部分が存在した。それは茎の部分がバラの茎のようにトゲトゲしているからだ。
「な、何だこの花?他のとは違うのか?」
目で観える名前の欄には白い花としか映っておらずこれが何なのか全く分からん。こんな時こそ植物に関するスキルが活躍するのだろうが持ってないのでわからない。そんな中ゴウカは
「グァ!」
俺が痛い思いをしたことに怒ってくれたのかその花を叩いたのだ。そんな行動をした直後だった。その花からHPバーが出て来たのだ。
「こいつモンスターなのか!?」
確かにMFの作品では植物のモンスターも存在するこの花もそのモンスターらしい。
「未だに名前が出ないな・・・何だろうこれ?」
すっごい気になる。マジで気になる。俺を攻撃したのは自分を潰そうとした俺に対する防衛だったんだろう。たくましい奴だ。そんなことを思っている中でもゴウカはもう一撃食らわせようとしていたのでそれを止めた。モンスターとはいえ動けない相手を痛めつけるのはちょっと嫌だな。それが敵対している相手ならまだしもこっちの不注意で殺しかけてしまったのなら心が痛い。
「・・・捕まえちゃおかな」
「グァ」
これを?という感じで花を指さすゴウカに俺は頷いた。俺はこういう偶然の出会いというのは結構好きなシチュエーションなのだ。そうと決まれば早速契約魔法を発動だ!
「契約魔法発動!ついでに魔法陣作成も!」
スキルを発動するとその花の周りに魔法陣が出現する。魔法陣作成の効果で契約魔法をサポートしてくれているのだろ。そんな演出の後その場にあった白い花はなくなり俺の目の前にウインドが表示された。
『フェイカーナチェルが仲間になりました』
その名前を聞いてようやくそれがどんなモンスターかを思い出した。それはMFの最初の作品に出ていたモンスターで植物に成りすまして育つというモンスターだでも確か種名はナチェルだけだったはずなのだが?フェイカーってなんぞ?
種族:植物型 種名:フェイカーナチェル 属性:風 名前:未登録 レベル:1
攻撃力:5 防御力:5 魔力:4 速さ:1 知力:6
スキル:毒 光合成 擬態 偽装
毒:相手に毒の攻撃をする。確率で毒になる。
光合成:日が差している場所にいるとHPを回復する。
擬態:自身を周りの風景に擬態する。
偽装:自身の情報を隠す
なるほど、擬態で白い花になっていて偽装の効果で名前も同じものになっていたのか。光合成は今は夜だったから発動しないでHPバーが見えて、俺を毒にした攻撃もあると
「面白いなこれでも・・・どこに行った?」
「グァ?」
俺は周りを見渡しても仲間にしたモンスターは何処にもいない契約したならば最大5体までモンスターを連れ歩くことが出来るこれは一パーティーの人数と同じでもある。どうしてだろうと思っていたらインベントリーの中に入っていたのだしかも
『このモンスターは現在出すことは出来ません。適切な場所に出してください』
適切な場所ってなんだ?モンスターなら連れ歩けないのか?と疑問に思いながらもこれ以上長居するわけにもいかないのでさっさと帰ることにした。
「ニアさんなら何かわからないかな?」
花の事ならばと言う事で依頼達成ついでに聞きに行くことになり道中を逃走スキルでかけ向けて街まで帰って来たのであった。
夜でも本屋は経っているのかという疑問もあったのだがどうやら問題なく開いていた。そのまま入るとニアさんとディーさんはそこにいた。
「おや、冒険者さんいらっしゃい」
「さっきの冒険者じゃあないかい。依頼の方はどんな感じだい」
「こんばんは、依頼終わりましたよ」
そう言って依頼品を提出するそれを見てニアさんが笑顔になる。
「ありがとう!報酬だよ」
その言葉通り報酬の200ガルドと花の本を貰った。本来ならこのまま帰るだけなのだが俺には聞かないといけない内容があった。
「すいませんニアさんちょっと聞きたいことがあるんですがいいですか」
「おや?何か要なのかい」
「ええ、実は」
俺は道中で契約したモンスターのことを話す。適切な場所というのが何なのか心当たりがないのかそれを聞くと答えはすぐに返って来た。
「ああ、それなら畑か植木鉢に入れるのがいいよ」
「畑か植木鉢?」
詳しく聞くと植物を育てる際はその二つのどっちかが必要になり畑なら植えて育てることが出来て植木鉢なら持ち運びは出来るけど一度使うとなくなってしまうとの事だ。今回の事で花の種もたくさん手に入ったし俺的には畑がいいな。
「畑は何処で手に入りますか?」
「それなら役所に行けば買えるよ」
そう言われて俺はお礼をしそのままその場所を後にしようそのまま役所に行こうとした時だった。
「グァ!」
「くは!?」
ゴウカに思いっ切り顔を叩かれその場に止まってしまった。結構思いっ切りいかれた。漫画とかなら叩かれた場所がゴウカの手の形に赤くはれていたかもしれない。
「どうしたんだよ」
「グァァ」
ゴウカはジェスチャーでウインドウを出せと合図する。言われるがままに出し契約したモンスターの所で指をさし何かを訴えてくる。
「ググァ!」
「え・・・と」
「グァ」
「自分を指さして何を・・・ああ!名前か!」
「グーァ!」
そうだよと言っている。そう言えば名前の欄は未登録のままだったのだ。
「安心して名前ならもう決めているから、早く出してあげたくて急いでいただけなんだ」
「グァ・・・グァ?」
それならいいと腕を組んで頷くゴウカだったが名前はと首をかしげて知りたがっている。
「この子の名前はスミンだ」
スミンの為にも早く畑を買いに行こう。