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中二病な美少女?

「ちょっ……うぶ?……起き……い」


だれかが俺の体を揺らしている。


やばい……俺を起こしにくる奴なんて香織ぐらいしか思いつかない……

どうしよう……とりあえず涙腺緩まないように気をつけて笑顔貼り付け作戦でいこう。


「う~ん、ひどい顔してるわね。これは思った以上に重症なのかもしれないわ」


ひどい顔って……ほっとけ!

ってかこの声香織じゃないな……あ、そうだ校舎裏の丘で寝たんだった!

ん? じゃあ見回りに来た先生か誰かかな?

はぁ~それにしても香織じゃなくて助かった……


「あんまり病人を動かすとよくないって言うわよねとりあえず……」


お? 俺を動かしてるのか?

保健室かどこかに運ぶつもりか。

うつぶせにして?

足を持って? まさか引きずっていくつもりか!

顔擦れる! 普通仰向けでしょ!?

引きずるのに普通もクソもないけど。

ん? 今度は足をクロスさせて?


ってかいいかげん起きるか……


「ふぁぁ~おはyいいいいいいいいいいいったあああああああああ!」

「あ、起きた。あなた倒れてたみたいだけど大丈夫?」

「イタイ! イタイ! てめぇそれサソリ固めしながら言うセリフじゃないだろぉ!」

「あら、ごめんなさい。頭とか動かしちゃダメかとおもって……」

「そこまで正しい気絶者の対処法がわかってるのに、どうやったら結論がサソリ固めになんだよ……まったく……」


こいつ恐ろしい精神回路してんなと考えながら起き上がるとそこには……

赤いローブに金髪のツインテールに真っ赤な目、透き通るような白い肌をした同い年くらいの美少女が立っていた。

150cmほどの小柄ではあるが整った顔にほんの少し釣りあがった目が大人っぽい魅力をかもしだしていた。


「……魔法使い?」

「ふっ……あたしは精霊召喚師よ!」

「はぁ?」


俺はあまりに自信満々に言うこいつの美しさに言葉を失っていた。

それにしてもこいつ……なんて格好してやがる……こんな真夜中に魔法使いのコスプレだと?いや、精霊召喚師だっけか……なんだそれ(笑)

怪しい……それにさっきのサソリ固めなんて狂った行動といい怪しすぎる……


「はっ!?」

「なによ!」


ものすごい顔で睨み付けてきてくれやがる。

まさか……こいつは……

いや……でも……まさか……やっぱり……



「中二病をこじらしてるのか!」

「はぁ?なんなのあんた。まさか……不審者!?」

「しかも自覚症状なし!?」


どっちが不審者だよ!

こりゃ重症だ……可愛いのにもったいない……

いや、待てよ!? 『可愛い顔の中二病』か……うん


萌える!!


いやぁ~いいもん見させてもらったぁ~

なかなか出会えるもんじゃぁないからな。


「さっきからなんなのあんた。そのバカにした目……むかつくわね。なんか目腫らせてるみたいだけど泣いてたの?」

「うっ……」


そいつの言葉に俺が怯んでいると、ニヤリと笑みを浮かべそこを突っついてきた。


「あらぁ? 正解だったぁ? なになに? いい年した男がなんで泣いてたのかなぁ? ママに怒られた? それとも好きだった女にでも振られたのぉ~?」

「……っ!」


せっかく思い出さないようにしてたのに……この女……


「ふぅ~ん。正解なんだぁ~男のくせになっさけなぁ~い(笑)」


なんなんだよこいつ……心の弱ってる人間に対してそれはあまりにもひどすぎるだろ……


ウルウル……ぶわっ……


「……うぅ……香織……ひぐっ……」

「え? えぇ!? ちょっ! ちょっと! なにマジで泣いてんのよ!」


頬を染めて幸せそうに拓也を見上げる香織を思い出してしまい涙腺が決壊してしまった。


「あぅ……ごめん! ごめんって! もう言わないから!」

「うぁ……ぐしゅ……うぅ……」

「ほっ……ほら! 私なんかでよかったら話し聞くから! 話してみて? ね?」


うー……ぶん殴りたいほどむかつく女だけど、どうせ会うこともないだろうし、話したらすっきりもするかもな。

これからの身の振り方についていいアイデアでもでれば儲けもんだ。

とりあえず相談してみよう。


「……実は……」


俯きながら幼馴染3人の関係と今日の放課後の出来事について話した。


「ふーむ、そんなことがあったのね。結論から言うと、あなたが悪いわね」

「……」

「いい? 恋なんてのは待ってるだけじゃ一歩も進まないの。あなたが幼馴染だからって甘えたこと言って友達の枠に収まってる間に、その拓也って奴は一生懸命アピールしたんじゃあ負けるに決まってるじゃない。」

「んなことは言われなくてもわかってるよ! もうそのことはいいんだよ! これからどうしたらいいのかがわかんなくて悩んでるんだよ……」

「はぁ……あなたそれだけでもう諦めるの? あんなに泣いてたのに所詮その程度の恋愛だったってことなのね?」

「うぐ……もうそれはいいんだよ! あいつらの幸せそうな顔見たらとてもじゃないけど割り込もうなんて思えないよ……」

「あんたねぇ……そうやってまた逃げるの? さっきからウジウジ、ウジウジむかつくわね! これからどうしたらいいかって? そんなこと簡単じゃないの! 諦めずに頑張るか、スパッと諦めればいいじゃない! そうすればどっちにしたって目の前で2人にいちゃつかれようが、なにされようが気にならないわよ! ほんと腹が立つわ!いいかげん燃やしてあげようかしら?」

「わかってるよ……頭ではわかってんだけど……ふられた日ぐらい落ち込んだっていいじゃんよ!」


あまりに的を得たことを言ってきたので情けなく逆ギレして女のほうを見ると……


「……え? お……おい……なんだそれ……」


手のひらサイズの人の形をした火の塊が女の周りに浮かんでいた


「あぁん?」


さっきから気になってたけど、こいつ……口わっるいなぁ! どこのヤンキーだよ!

って! んなことよりも!


「おっ……お化けぇ!?」

「はぁ? あなたなに言ってんの? んなしょうもないゴーストと精霊を一緒にするんじゃないわよ!」


え? あれ? またまた中二病発症?

ん? CG? んなわけあるか! あ、なんだトリックか! 紐につるしてなんかやってんだな!


「おいおいここまで凝った演出するなんてなかなかに症状の重い中二病だなぁ~」

「ねぇ、さっきから中二病って何なの? あたし別に病気なんかないわよ?」

「んぁ? 中二病ってのはあれだよ。マンガとかアニメとかゲームの世界に入り込んじゃって自分が超能力とか魔法つかえると思ってる奴のことだよ。まさにお前みたいな(笑)」

「まんが? あにめ? げーむ? なにそれ? どんな世界なの?」

「はっ、なにカマトトぶってんだよ。そんだけのめり込んでんだ。どうせお前も相当のオタクなんだろ?隠さなくてもいいって」

「質問に答えなさいよ! 何一人で納得してんの。しかもなんか同類にされた気がしてすんごいむかつく! もういいわ、フレイア! 軽く焼いてあげて!」


周りのちっちゃい火の人に命令してる。

ふふ、なんかおもしろい。次はどんな手品を見せてくれるのかなぁ?

火の人がこっちに近づいてきた。

あれ? なんか速くね? あんな動き紐で吊るしてできるの?

周りに火の玉いっぱい出てきたよ?

火の人が振りかぶって、投げたああああああああああ!


「うわっちいいいいいい! 燃える! 燃える!」

「フレイア! 消して!」


女がそういうと体にまとわりついた炎が一瞬で消えた。


「あんた! なに防御しないで真正面から受けてんのよ! あんな自信満々に立ってるから精霊呼ぶとおもって結構おもいっきり打っちゃったじゃない」


ええええええええ! 逆ギレ!?


「いやいやいやいや! 殺す気ですか! 視界の全部が真っ赤になったの初めてですよ! ってか今の何!? あんなもんCG以外で初めて見たよ!? なんで急に火消えたの!?」

「ちょっと、落ち着きなさいよ……今のはただの火弾、んで消えたのは精霊が火を操れるから。んじゃあたしから質問、あなた精霊は? あとここの学校の生徒じゃないの?」


こいつ……ふざけてるのか? こちとら冗談ぬきに『上手に焼けましたぁ♪』ってことになるとこだったんだぞ!


「だからなんだよ精霊って! ゲームのやりすぎだぞ! こっちはマジで熱かったんだからな! それと、ここの学校の生徒です! 2年3組赤坂圭輝という名前です! あなたこそここの生徒なんですか!?」

「3組、そんなクラスはここにはないはずだけど? ちなみに私もここの生徒、1年風の棟Dクラスのプリム・ウィリアロスよ。なんかさっきからかみあってないわね。あなたここがどこだかわかってる?」


プリム? やっぱ外国人か、あぁ、最近アニメにはまった外国人とかよく聞くもんなぁ、こいつもそのクチか。でもなんか納得だわ、妙に押しが強いとことか、とことん会話ずれてるとことかやっぱり文化の違いだろうなぁ。


「冗談言うのもいいかげんにしてくれ……ここは明稜義めいりょうぎ学園だ! これでいいか?」

「あなた……よっぽどふられたことがショックだったのね。あとで医者に見てもらったほうがいいわ。周りをみてみなさいここはネジュア王国イルミンス学園よ」


医者に見てもらうのはそっちだろって怒鳴りたい! でも話が進まないから言いません。

わぁお! 俺ってオ・ト・ナ。

てか何言ってんのこいつ……国の名前とか以前に王国とか現代日本で滅多に聞くことないわ!

もぅ、ボケなのかマジなのかが全然わからない……たまに正論言うもんだから余計に混乱するな……なんかだんだん怖くなってきた……本当に頭おかしい人とかだったらどうしよう……まぁいいや。

んでなんだって? 周りをみろ?





「ったく……………………え…………なっ……なんで……」





丘から向こうに目を向けると地平線から朝日が上り始めていた。

そしそこからみえるはずの街並みが……





草原に変わっていた。





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