05 彼女
「鈴木君。今日仕事上がりって何か用事ある?」
「あー、はい。今日はちょっと外せない用事があるんです」
今日は彼女の誕生日。
さすがにあゆさんからの誘いを優先させる訳にはいかない。
「そっか。あ、じゃあ帰りにちょっとだけいい?」
「はい。じゃあ、帰りに」
そう言うと僕はいつものように外回りに出掛けた。
あゆさんが何の用事かは全く想像出来てない。
どうせあゆさんのことだから大した用事でもないだろつ。
そんな程度で考えていた。
仕事が上がるとあゆさんが待つ駐車場へ。
先に仕事が終わり、待ってるあゆさんの元へ僕は向った。
「ごめんね。用事あるんだよね?」
「いえいえ。どうかしましたか?」
あゆさんは自分の車の後部席を開けると小さい包みを出す。
「あのてん。はい、これ!」
「ん? 何ですか、これは?」
包装紙に包まれた物からプレゼントなのは分かる。
でも、どうして僕に今日プレゼント渡すのか分からなかった。
「あれ? 今日、誕生日じゃないの?」
「何言ってるですか? 違いますよ、あゆさん」
いつもの天然が勘違いさせたと思っていた。
「えー、そうなの? 私、てっきりそうだと思ってたから驚かそうと思ってたのに」
「あはは。でも、何で?」
「車のナンバー。この数字って誕生日の日付だと思ったから」
あゆさんの勘違いした僕の愛車のナンバー。
確かに、この並びは何かの日付けと思われても仕方ない。
そして、確かに特別な数字を使ってたのに間違いないのだから。
僕は車のナンバーに彼女の誕生日を使ってた。
きっとそれをあゆさんは勘違いしてしまったのだろう。
「あらら。失敗しちゃったね」
「あー、すいません」
「ううん。鈴木君が悪いんじゃないよ。相変わらずドジだな、私」
照れ笑いして申し訳なさそうしてる。
僕はいたたまれない気持ちになっていた。
「その数字……実は彼女の誕生日なんです」
「え? あ、そう。そっか、彼女のか」
「はい」
「そっか、そっか」
あゆさんはそれでも笑みを浮かべていた。
「ちゃんと聞けば良かったね」
「あの、これ?」
「あ、いいの。いつもお世話になってるから、お礼だと思って。せっかくだから使ってよ」
思いの外冷静なあゆさんに僕は逆にどうしていいか戸惑ってた。
「じゃあ、遠慮なくいただきます」
「うん。……あ! 行っていいよ。誕生日、お祝いするんでしょ?」
「はい、一応」
「うん、じゃあね。お疲れさま。」
あゆさんが寂しそうな感じだったのは気のせいだろうか、それとも僕の自惚れだろうか。
彼女の存在を言うタイミングがありながら隠してたことを後悔してた。
包みを空けるとネクタイとメッセージカードが入ってた。
“誕生日おめでとう”そんな文字に、僕はあゆさんのやさしさを感じた。
苦しい思いが込上げる
半分気づいててが無理に自覚しようとしてなかった。
僕はやっぱりあゆさんに対して特別な感情を抱こうとしていた。