15 恋が愛になった夜
自分の気持ちより相手がどう思ってるか、そんなことを先に考えてしまう。
だから、不安感に駆られるのだろう。
「ねえ?」
「ん?」
「鈴木君も……こ、こっちの方に来ない?」
「……うん」
僕は心臓の高鳴りを抑え切れないまま、あゆさんの寝てるベットの中へ移動した。
いつも僕が寝てる布団なのに違った感覚だった。
布団の匂いもいつもと違う。
あゆさんの匂いがしてた。
「恥ずかしいね」
「うん、そうだね」
「あの……あの、私……初めてなので……よ、よろしくお願いします……」
あゆさんのその言葉で僕をベットへ招き入れた理由を理解した。
「嫌になったり、痛かったら言ってね」
「うん」
ガチガチに緊張してるあゆさんが初々しかった。
◇ ◇ ◇
翌朝、昨日の雨や風が嘘のように晴れてた。
まだベットで眠るあゆさんの寝顔を見て僕はささやかな幸せを感じた。
起こさないようにそっと起きると朝ご飯の用意をする。
「ん? あれ? そっか、私……」
「起きた? おはよう、あゆさん」
「あ! おはよう、鈴木く……」
「どうした? 大丈夫?」
「ちょっとジンジンするだけ」
痛がるあゆさんだが笑みも零れてた。
僕の顔を改めて見ると火がついたように顔が赤くなる。
あゆさんらしい反応だ。
「今日、どこか行こうか?」
「うん、どこか行こうよ。こんないい天気なんだから」
昨夜の雨風が嘘のように晴れ、気持ちのいい陽射しが窓けら降り注いでいた。
あゆさんは起き上がるといつもの引っ込み思案とは思えない程、僕にくっついてきてた。
甘えるように抱きつき、大胆に体を寄せる。
思わず下半身が反応してしまう。
「……どうしたの?」
「そんなに体くっつけたらちょっと反応しちゃって……」
あゆさんの視線が僕の下腹部に向けられる。
膨れたのが何なのか気づくと、益々顔が真っ赤になっていく。
「……っもう!」
「仕方ないでしょ?」
僕は構わず、あゆさんを抱き寄せた。
あゆさんは僕の胸に顔を寄せると幸せそうな笑みを浮かべてくれて。
「……工藤さんの言ってたこと、本当だった」
「工藤が? 何を?」
「そんなに不安だったら、抱かれてみたら……って。不安なんか吹き飛ぶよって」
どうやら工藤が一枚噛んでたようだ。
「本当に何にも心配することなくなっちゃった」
何でも工藤に話すのもどうかと思うがあゆさんの笑顔も見ることも出来た。
心も体も繋がった大切な日。
二人にとって忘れられない日になった。