3話 魔法
ありがたいことに感想をいただきまして、一部文章を修正しました! 指摘ありがとうございます!
まだ、タイトルの一部もありませんが、まだまだ、お楽しみに!
「まったく、寒くてやんなっちゃうな」
パーティを追放されてから、3日程がたった。今僕は、誰もが近寄らないであろう異臭を放つ、ある洞窟の隠し部屋で、少しの灯と魔獣の皮で暖を取っていた。
……この3日間、一言で言えば徒労であった。
追放されてから最初の1日目、早速僕は大きな壁にぶち当たった。
………ズバリ、資金不足である。
旅の中の会計管理は、フウカが行っていたので、手持ちはほとんどない。正直なところ、一泊泊まったところで、手持ちが尽きてしまった。
そこで、ニューライフとお金稼ぎも兼ねて、別の冒険者ギルドのあるカナンという町に行くことにしたのだ。
\\\「空間は、我を監視し、また我は空間を支配する。
『転移』」///
転移の魔法を使用して、座標を固定することで、そこにワープする。
………僕も勇者パーティでは役立たずと言われていたが、それでも勇者パーティに選ばれるくらいには魔力があったし、魔法も、中、下魔法は全て使うことができる。
余談だが、この世界での魔法は、必要魔力と、威力、そして必要熟練度によってランクが付けられている。
下から、基礎的な下位魔法
ある程度威力が保障された中位魔法
適正があり、ある程度熟練度を上げることで使用可能な上位魔法
それこそ、確認はされているものの、所持する人は指で数えられるほどと言われる精霊魔法
……そして、童話や伝記など、妄想とも言われている神魔法
の5つである。加えて、適正のことだが、生命には、生まれながらに適正魔法がある。
そこらへんにもいるスライムは、青、そこのリスは緑、軍隊を組むアリは茶、と、基本どんな生き物にも備わっている先天的なものなのだが、人間族は、ここが他の生物とは異なり、人によって生まれて持っている色が違うのだ。
それこそ、基本的な赤 青 緑 黄 に加えて、特殊な色もあり、僕の色もその集団に入る白である。
色によって適正魔法は異なり、赤なら火属性 青なら水属性 黄なら雷属性 と、さまざまなであり、白はサポート魔法である。
………ゆえに、攻撃魔法は中位までしか覚えていないのであって、魔力だけで言えば、上位魔法も連発できるくらいには保持している。
自画自賛でしかないが、これでも元魔法協会名誉監督であったくらいなのだ。
………ん? 魔法協会のことか? ……それはまぁ、また今度にしよう。 流石に情報が横列に広がってしまう。
転移してからの話は簡単だった。
冒険者ギルドに向かい、新しくギルドカードを作り、初心者用の依頼をとにかくこなす。
流石に今日ギルドに来たやつが、難関依頼をするのはお門違いというやつだしな。
ここは、王都からは随分離れた田舎町だったため、勇者パーティに僕が所属していた、ということを知っているのは、ギルドの一部の冒険者と、ギルドマスターくらいで、悲しいことに、ギルドでいざこざはなかった。
早速、庭の雑草抜き、犬の捜索、スライムの討伐、とりあえず片っ端からこなしたのだが、これがまぁ稼ぎが悪い。
1日15件やっても、宿で一泊すれば財布はパーだ。
それでも、今はそれしかないと2日で50件程やっていたのだが、食事代までは足りず、なんどもツケてもらった。
それには、僕がいつのまにか町の保護者・ナイルと呼ばれ、町人に崇められていたというのも幸いしたのだが、こんな話は後ででいいだろう。
………決して話している途中で羞恥に耐えられなくなるからではない。
そして、今日、3日目なのだが、流石に依頼をやりすぎたのか、ギルドのクエストボードから初心者向けの雑用依頼が消え去り、まわりの冒険者から、「人の人気を取りに来た商業貴族」などと言われ始めたために、流石に下級依頼を受けてきたのだ。
僕が受けた依頼は、下級依頼の中でもかなり報酬のいい『奴隷商人の拘束』という依頼だった。
……依頼によると、昔からある死霊の洞窟というところに、最近になって奴隷商人が拠点を置き、なにやら不穏な動きを始めたらしい。
依頼内容は、この洞窟の鎮圧と、奴隷商人の拘束、および奴隷の救出、とのことだ。奴隷の所持は別に特段違法行為ではないのだが、近頃、不穏な動きを始めてから、魔力を失った奴隷が洞窟の入り口に捨てられているそうなのだ。
流石に大量殺戮の恐れと有ればギルドも動くほかなく、今回は救出も視野に入れている、ということらしい。
とりあえず朝から洞窟に入り、探索しているのだが、あるけどあるけど、あるのは骸骨と毒沼だけ。
流石に長時間の行動に、毒の瘴気を多く吸い込んでしまったのもあり、少し休んでいるのだ。
「にしても、不穏な動きというには静かすぎる。もしや侵入がバレてしまっている、ということでもあるのだろうか」
そんな独り言だが、まるで否定するように石の壁から、何やら出てくる。
「ん? ……これは!」
最初はムカデのように見えたのだが、その後明らかに違うと目が光景を通して、脳に伝播を送る。
……その蟲は、長さが2メートルを超えていた。