自由になりたかった俺、宮廷道化師に転生したので好き勝手に悪戯しまくる!
前世の事? もう覚えてね~な。そんなのど~でも良い。大事なのは今と、これからだろ?
(──はい。今、皇帝陛下の寝室の前に来てま~す! ご安心ください、親衛隊の許可は取ってありますよ? ははは! それではケバケバしく重厚な扉をこっそり開けていきたいと思います……)
親衛隊の見守る中、ゆっくりとドアノブを捻る俺。ひっひっひ! あっ!
(まだ部屋は薄暗いです! あ、あれれ?)
「グゴゴゴゴゴ……ぴゅ~……グゴゴゴゴ……」
(──いびきが聞こえます! 皇帝陛下のいびきです! 皇帝陛下でもいびきかくんですねぇ~。なんだか親近感が湧きますね? あっ、見て下さい! あれが、賢帝の寝顔です……! やすらかですね~! うししし……)
俺は皇帝陛下の鼻を摘まんでみた。
「──ンゴッ! ンゴゴッ!」
(うっひ! どうやらちょっと苦しそうです! ……でもまだおきません! しぶといですね! ではこれではどうでしょうか?)
俺はクマさん人形を取り出した。
(──お姫様からお借りしたクマさん人形です! では添い寝させてみます……)
皇帝陛下の布団の中にクマさん人形を捻じ込む俺。
(──でもまだおきません! クマさんと添い寝する皇帝陛下! 哀愁漂ってますね~! これは相当お疲れの様です! もうちょっと悪戯しましょう!)
俺はクマさん人形の頭を持って、皇帝陛下の頬へキスさせてみた。
(んちゅ~! んちゅ~! ボクはお姫様のクマさん親衛隊長だじょ~! お姫様のお父様に、んちゅ~! んちゅちゅ~!)
皇帝陛下は顔に付いたハエでも払う様な仕草をした。
(──ッ! でも、ま~だおきません! よしよし。ではそろそろ、ぶちかましたいと思います! ──皇后陛下! 今までの募る思い、積年の恨みを、この爆音スクロールでぶちかましちゃってください!)
(──よし! よ~し行くわよ~!)
俺は耳を塞ぎ、皇后陛下は思い切ってスクロールを開いた!
──ドォォォォォォォォォオオオオオオオオンンンッッッ!!
「──うぉぉぉぉぉぉぉぉあおあおぁぉぉあぉあぉぉぉおぉぉぁおぁおっっ!? うおおおおおぉぉぉっおおぉぉおぉぉいいい!? おぉぉぉぉぉ!?」
皇帝陛下はベットから飛び上がると、焦り散らかして床へ転がり落ちた!
「──テッテレー! ドッキリ、大成功!」
皇后陛下がドッキリ大成功の看板を皇帝陛下に見せると、
「え!? え!? ──お~い! なんだよ~っ! うわ、え、なん、ドッキリかよ~! ふぁぁぁぁびっくりしたぁぁぁ~!」
「wwwwwwwww」
俺も皇后陛下も親衛隊も、全員大爆笑!
「おい親衛隊! 何笑ってんだよお前ら! おい! しっかり警護しろよ~! このっ!」
「す、すみません! 陛下! ご容赦をwwww」
「んだよ~! いや~! マジ、暗殺者かと思ったわ~! うわ~! も~!」
「wwwwwwwww」
「おい! 次は大臣やるぞ! あいつ最近、意見ばっかで生意気なんだよな~!」
俺は皇帝陛下へ敬礼して言った。
「──畏まりました~!」