8−なにこれ、初恋?その1
「あの、今度お茶でもどうですか?」
「あら、ごめんなさい」
「がーんっ!!!!!」
いきなりフラれた。しかも思わず口で効果音言っちゃったよ。
目の前に飛び出してきた猫は、とんでもなく美人!あ、美猫!
ついつい声を掛けちゃったけど、もうショックで立ち直れそうにない。
「ドンマイ」
笑いを堪えながらセリーヌが言った。
うざい。
ん?あれ?そういえば今「ごめんなさい」って聞こえたよね。
「プリシア!!」
咄嗟にセリーヌが矢を射る。
鋭く放たれたはずだったが、いとも簡単に避けられてしまっていた。
「え、この子が?」
「そう。上位モンスターは人間の言葉を話せるようになるらしいわ」
あぁ、俺みたいにね。
「あら、狩人だったの?」
プリシアは不敵に笑い、俺も含めて強い殺気を放ってきた。
それにしてもかわいい。殺気すごいけどかわいい。
無理。かわいすぎてこの子に手をあげるとか絶対に無理だわ。
「俺は君を傷つけない」
「何言ってんの色ボケ猫!」
なんか戦闘中のセリーヌさんって怖いです。
「どうやらあなたも特別みたいね」
俺?そだよ。よくわかってるじゃん。
「人間と猫、どちらがおいしいかしら?」
あ、食べちゃう系ですか。生ですよね?生なら・・・
「人間です!」
自信を持って発言できたと思う。
そんなことを言ってる中、すでにセリーヌは何本も矢を射って攻撃している。その攻撃はどれ一つとしてプリシアをかすめることはなかった。
「思った以上に強いかも」
さすがのセリーヌにも余裕がなくなってきている表情。
あ、次のボケとか考えてる空気じゃないね。
最近のモンスターとの戦闘で、俺は手加減というものを覚えてきた。
額に集中して、イメージを膨らませる。
「にゃ!」
どうしてもこの掛声が出てしまう。
声と同時に三つの火の玉がプリシアを襲った。
「あらあら」
そう言って、なんなく後退してかわす。その着地を狙ってセリーヌの矢が飛んできた。
「いたっ」
恐らく額を狙ったであろう矢は、プリシアの頬をかすめるだけに終わった。それでも初めてダメージを負わせたことになる。
かわいいし強いし、なんて理想的な猫なんだろう。
「もう!大事な顔に傷をつけるなんて・・・」
言葉を言い終わるか終わらないかの瞬間、プリシアの身体は普通の猫の10倍はあるであろう化け猫へと変身していた。
「許さない!」
なにこれ、詐欺じゃん。
かわいくて強いプリシアはどこへ行ったの?
プリシア戦は二話に分けて書くことにしました。
次話ではロロの本気が見られますよ。
戦闘にギャグを盛り込むのって難しいですね・・・。




