79-なにこれ、イレギュラー?
とりあえず、俺が勝てない現状にあることはわかったわ。
「さぁ、結着をつけよう?僕が勝ち、僕が勇者を名乗り出てあげるよ」
「なんでさ」
ふと、疑問が浮かぶ。
「なんで、システムのすぐ近くにいるお前はすぐにシステムをリセットしなかったわけ?」
「簡単なことだよ」
「なに?」
「システムをリセットすると勇者は元の世界に戻れるのさ」
「じゃあなんで・・・?」
「ただひとつ問題なのが、それはひとりだけってこと」
「つまり、勇者か魔王かひとりしか帰れないってこと?」
「そう」
「じゃあさっさと帰ればよかったじゃん」
「この世界にいる勇者と魔王が共存している状態だとね、強制的に二人とも送ろうとシステムが働くらしい」
「そうするとどうなるん?」
「ふたりとも時空の狭間で永遠をすごすことになるだろうね」
「なるほどね」
つまり、魔王ベネルは自分の家に帰りたいってことか。
「やっぱ子供なんだね?」
「僕がかい?」
「うん、家に帰ってお母さんに会いたいんでしょ?」
「ははは、そうだね。そうだよ。元の世界に帰りたいに決まってるじゃないか」
そうなんだね・・・。
「だから!だから僕たち魔王は勇者を倒そうとがんばるんだ!」
「じゃあどうして最初に会った時に俺を殺さなかったの?」
「元の世界に戻るシステムの魔力は、倒れた方の勇者か魔王から搾取されるからだよ」
「あぁ、あの時点じゃ俺の魔力だとシステム発動には足りなかったってことね」
それもショックだなぁ。
「今なら大丈夫だ。だから・・・死んでくれロロ!」
軽く千本くらいの闇の槍が出現し、四方から俺を射貫こうと向かってきた。
うはっ、これは避けられないわ。
思わず目を瞑った。
「ダークシールド!!」
あれ?生きてるっぽい?
肉球を開いたり閉じたりしてみる。
生きてるよ俺。
「もう!ロロのバカ!!!」
あれ?ミラの声?
「こっそり行っちゃうとかどういう神経してるのよ!」
「ほらほら、お姉さんが華麗に綺麗に助けてあげるよ?」
「魔王討伐のサポート、お任せください」
あぁ、三人とも来てくれたんだ。
せっかく、巻き込まないようにこっそり来たのにさ。
「あれ、クソ勇者は?」
「まだ戦ってるよ」
見捨ててきたんだね。
「君たちも僕にとっては十分イレギュラーなんだよね」
ベネルがくくくと笑う。
「よくこんな強くて良い仲間を手に入れたよね」
「シナリオ通りじゃないの?」
「彼女たちは、ロロの影響を受けてさらなる強さを手に入れてるってことに気付いた方がいいと思うよ」
俺の影響?
「そうか、おもしろいねロロ。やっぱり君はイレギュラーだよ」
イレギュラーはおもしろいものなの?
ロロのわかる単語とわからない単語の差ははっきり言ってありません!
なんとなくわかる単語とわからない単語があります。